表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落の影  作者: ナラク
3/12

第4章:闇の目覚め

健太とリムは、森の中を静かに進んでいた。

木々の間から差し込むわずかな光が道を照らしていたが、森全体は薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。時折、遠くから聞こえる不気味な鳴き声が、二人を一層緊張させた。

「この森、なんか嫌な感じがするな…」健太は小さな声で呟いた。

リムは前を向いたまま答える。

「ここは元々、低級な魔物しかいない場所だったの。でも、最近は状況が変わってきているみたい。油断しないで。」

健太はリムの言葉に頷きつつも、自分の中に芽生えた「闇の力」について考えていた。

先ほどの戦いで発動した力が一体何なのか、どうすれば再び使えるのかが気になって仕方がなかった。

「さっきの…その、闇の力っていうのは、俺自身が持っているものなのか…?」健太はリムに問いかけた。

リムは一瞬立ち止まり、健太を振り返った。「闇の力?何のこと?」

「いや、さっきの戦いで…なんて言うか、俺の影が勝手に動いて、怪物を倒したみたいなんだ。」健太は言葉を探しながら説明した。

リムは驚いた表情を見せたが、すぐに真剣な顔つきに戻った。「それが本当なら、かなり特殊な力ね。闇を操る者はこの世界でも滅多にいないし、強力な力を秘めていることが多い。でも、無闇に使うのは危険よ。コントロールできなければ、自分自身が闇に飲み込まれるかもしれない。」

「そ、そうだよな…」健太は焦りを隠しながら、再び歩き始めた。

二人はしばらく無言で進んだが、健太は頭の中で何度も自分の影を見つめ、どうすればその力を再び呼び起こせるのかを考えていた。

影をじっと見つめたり、意識を集中させてみたりしたが、何も起こらなかった。

「どうすればいいんだ…」健太は苛立ちを覚えながら、再び歩き出した。

その夜、二人は森の中で簡単な野営をすることにした。健太は疲労と空腹で意識が朦朧とする中、リムが持っていた少しの食料を分けてもらい、横になるとすぐに深い眠りに落ちた。

夢の中、健太は再び荒涼とした大地の上に立っていた。周囲は暗闇に包まれており、視界は限られていた。その時、背後から低く囁くような声が聞こえてきた。

「…お前が主か…」

健太は驚いて振り返ると、そこには影のような存在が立っていた。漆黒の霧の中から現れたその姿は、形が曖昧で、まるで闇そのものが具現化したかのようだった。

「お前は…誰だ?」健太は恐怖を抑えながら問いかけた。

「私はお前の下僕…闇そのものだ。お前の意思が私を動かす。」影の存在は静かに語りかけた。

「俺の意思…?どういうことだ?」健太は混乱しながら尋ねた。

「闇は全てお前自身だ。お前が望めば、闇は形を成し、お前の敵を滅ぼすだろう。」影の存在はそう言い残すと、再び霧の中に溶け込むように消えていった。

健太はその言葉に驚きと戸惑いを感じながら、目を覚ました。夢の中での体験は鮮明であり、まるで現実のように感じられた。

「闇は…俺自身…か…」健太は呟きながら、横に座っているリムを見た。

「どうしたの?何かあった?」リムが健太の様子に気づき、心配そうに尋ねた。

「いや…ただの夢さ。でも、その夢の中で…いや、何でもない。」健太はリムに詳細を話すのをためらいながらも、再び考え込んだ。

翌朝、二人は再び森を進み始めた。健太は夢の中で聞いた言葉を思い出し、闇の力を再び使えるようになるための手がかりを探し続けていた。そして、その力が自分にとって何を意味するのかを理解しようと試みた。

森の中で起こる様々な出来事や、リムとの会話を通じて、健太は少しずつ自分の力と向き合う覚悟を決め始める。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ