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桜の朽木に虫の這うこと  作者: 朽木桜斎
第3章 そして虫たちは這い出す
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第61話 実験結果

 目が覚めたとき、わしが見た光景は……おそろしい、実におそろしいものだった……


 この世の終わりのように崩壊(ほうかい)した実験施設……研究員たちの体は引きちぎれ、その顔は恐怖にゆがんでいた……


 わしはすぐに、テオドラキアのことが頭をよぎった――


「テオドラキア、テオドラキアは……!」


 施設内を探し回って、ようやく見つけた……ある小さな処置室(しょちしつ)の中に……手術台(しゅじゅつだい)のようなものの上に寝かされていて、(かたわ)らにはあの魔女グレコマンドラが倒れていた……絶命(ぜつめい)していたよ……


「テオドラキア! テオドラキア、しっかり! いったい何が――」


 すると彼女は静かに、その目を開いた。


「……あ……あ……キョウ……ゲツ……」


「そうだ、僕だ! しっかりするんだ、テオドラキア! いったい何が、何があった!?」


 おぼつかない口ぶりで、テオドラキアはしゃべり出した。


「……実験は……失敗……キョウ……ゲツ……」


「なん、だって……失敗……どういうことだ……?」


「……魔王……桜……の……力……は……想像……以上……だが……」


「だが、何だ、テオドラキア……?」


 すると、ああ……彼女は(・・・)……にわかに、笑い出した……気味の悪い、ひょっとすると……あの魔王桜よりも、ずっとおそろしい『笑い』を……


「だが、わたしは、あきらめない……決して……|わが悲願を果たすまでは《・・・・・・・・・・・》……」


「あ、ああ……まさか、君は……いや、お前は(・・・)……」


 彼女の(・・・)『笑い』はますます、不気味なものになっていった。


「そう、ディオティマですよ(・・・・・・・・・)、ミスター・キョウゲツ……最後の力を()(しぼ)り、アルトラ『ファントム・デバイス』の能力で、グレコマンドラの体から、このテオドラキアに、乗り移ったのです(・・・・・・・・)


「……あ……あ……」


「今回の実験は失敗した……だが、次こそは必ず……あの力を、魔王桜の力を、わが手に……ミスター・キョウゲツ……|協力していただけますよね《・・・・・・・・・・・・》?」


「わあああああっ!」


 わしは逃げた――


 どこをどう走ったのか、それすらも覚えていないほど……


 だが、わしの耳には、ずっと……あの悪魔の高笑(たかわら)いが、こびりつくように()(ひび)いていた……


(『第62話 死と誕生』)

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