表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜の朽木に虫の這うこと  作者: 朽木桜斎
第3章 そして虫たちは這い出す
44/82

第43話 処刑

叔父様(おじさま)似嵐(にがらし)家名(かめい)(けが)した罪で、処刑いたします」


「面白かったぞ、(みやび)。アクタとウツロをすっかり骨抜(ほねぬ)きにしたな。あの腑抜(ふぬ)けたツラ、見てられんわ」


「同じ穴のムジナでしょ、叔父様? 人間を玩具(がんぐ)にするという点においてね」


「ほざけ雅。ミイラ取りをミイラに。お前もわしの玩具になってもらうぞ。今度こそバラバラに切り刻んでその肉片(にくへん)傀儡仕掛(くぐつじか)けにし、姉貴(あねき)の前で人形劇(にんぎょうげき)としゃれこむのだ」


「ああ、やだやだ、下劣(げれつ)な男。わたしをそんな目で見ないでくれる?」


「ふん、悪女(あくじょ)が。そうだ、どうせなら後ろの役立たず(・・・・)とまとめて(おり)の中へ(ほう)()み、見世物(みせもの)にするというのはどうかな? わしは見物料(けんぶつりょう)をたんまりせしめて、お前たちは一緒に気持ちよくなれる。一石四鳥(いっせきよんちょう)じゃないか?」


(けが)らわしい……ぶち殺す……!」


「ふん、本性(ほんしょう)を現しおったな。やってみろ」


 (つい)大刀(だいとう)を、星川雅(ほしかわ みやび)は突きだすように(かま)えた。


「わたしの二竪(にじゅ)で、あの世へ送ってあげるよ」


 その目は爛々(らんらん)と殺意に(かがや)いている。


「なるほど、二竪か。姉貴の両面宿儺(りょうめんすくな)を小型にしたレプリカだな? 母の真似事(まねごと)では、わしは倒せんぞ?」


「レプリカじゃないし。それに、真似事かどうか、(ため)してみなよ――!」


 星川雅は強く、大地を()った。


「――っ!?」


 早い――


 中空(ちゅうくう)でくるっと横に回転しながら、右の刀を袈裟(けさ)に振り下ろす。


 似嵐鏡月(にがらし きょうげつ)はその攻撃を黒彼岸(くろひがん)で止めた。


 少女とは思えない重さ、そして――


「ぬっ――!?」


 間髪(かんぱつ)置かずにさらに回転し、今度は左の刀の攻撃がくる。


「くっ――!」


 似嵐鏡月はかろうじてそれを(はじ)(かえ)した。


 星川雅はくるっと蜻蛉返(とんぼがえ)りをして、じゅうぶんな間合(まあ)いを保った位置に着地する。


「なるほどな。片方(かたほう)の刀で注意を引き、その(すき)にもう片方で攻撃する。理にかなった戦法(せんぽう)だ。やるじゃないか、雅」


「うふ、右が阿呼(あこ)で、左が吽多(うんた)っていうんだ。叔父様の血を欲しがってるよ? このままあなたを切り刻んであげる」


「ふん、偉そうに。お前の母が()()したやり方ではないか。しょせんは劣化(れっか)コピーではないのか? あーん、雅?」


「なめやがって、ぶっ殺す……!」


 桜の森の間隙(かんげき)をぬって、二つの影が激しくぶつかり合う。


 斬撃(ざんげき)につぐ斬撃の応酬(おうしゅう)――


 虚空(こくう)静寂(せいじゃく)蹂躙(じゅうりん)して、鋼鉄(こうてつ)どうしがこすれる音と、(しょう)じる火花(ひばな)()(みだ)れる。


 森の桜よりもなお、美しいような――


「ふん、なかなか楽しませてくれる。アクタやウツロなどよりよっぽど使いよるな、雅?」


「あは、まーね。教える人のレベルが違うから、ね?」


「ふん、いちいち生意気(なまいき)(むすめ)だ。姉貴を見ているようで怖気(おぞけ)が走るわ」


「あなただって吐き気を(もよお)すおぞましさだよ? 毒虫の鏡月(・・・・・)?」


「おのれ、まだ言うか――!」


 黒彼岸の(にぶ)一撃(いちげき)を、星川雅は受け止めた。


 そのまま体をひねって回転し、また間合いを取る。


「叔父様、こんなのはどう?」


(『第44話 絶技(ぜつぎ)』へ続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ