6.貴様は人間だったな。
お久しぶりです、たー兄です!
(待ってくださってる人いましたか?)
・・・まぁいいや。
とにかく本編へレッツゴー!(長くなるかもしれません)
そして日曜日。
「お待たせしましたああああ・・・っ!?」
叫びながら突進していく倫。
ズデーンと大きな音が店に響く。
涙目の倫が振り返ると、布の塊が落ちていた。
「もうっ、知也さん、こんなところに物置かないでくださいよ・・・。」
文句を言おうと店内を見回しても、それらしき人影もなく、返答もない。
店内を一周見回しては首を傾げ、また見回しては傾げ・・・を繰り返していた倫だが、十数回目であるものに目が止まった。
「・・・まさか・・・ね?」
先ほど自身が躓いた障害物。
ただの布の塊だと倫は思っていたが、まじまじと見てみると・・・。
「やっぱり知也さん!ああ、もう!起きてくださいよ!」
激しく知也をゆすっていると、しばらくしてうめき声が漏れた。
眉間に皺を寄せてゆっくりと起き上がった知也は、パチパチと目を瞬かせた後立ち上がった。
見上げる体制になった倫は、唇を尖らせて不満を訴える。
「知也さんって、何でもそつなくこなせますよみたいな顔して、結構抜けてますよね。・・・いろんなとこで寝たり意識失ったりするの止めてもらえません?」
「貴様が遅いからだろう。はぁ・・・行くぞ。」
倫は逆に責められて心外だというように頬を膨らませたが、置いて行かれなかった分いいか、と渋々立ち上がる。
(ホント・・・知也さんが倒れてると、毎回驚くんだけど。)
カラン・・・と店を出て、しっかりと鍵を閉めた後歩き出す。
幸いこの日は曇りのため、知也も平然とした顔で空の下を歩いている。
そして、しばらく経ったころ。
知也がふと呟いた。
「・・・私は、私が身の安全が保障されていると判断した時しか倒れない。それは寝るときも、意識を失う時も変わらない。」
(ちょっと待って・・・。意識失うタイミングって、自分で調整できるの!?)
ツッコみたいところは山ほどあったが、知也の顔に差す影と意味深な言葉に黙り込む倫。
そんなこんなしているうちに、バス停に着く。
倫がそこで立ち止まると、知也が眉をひそめて
「・・・何をしている?」
と尋ねた。
「何って・・・バスで行くんじゃないんですか?」
「そうなのか?」
「そうじゃないんですか!?」
お互いにお互いの考えていることが分からずに黙り込む。
1分か、2分経った後、視線をさまよわせた知也が、唐突にぴくっと動いた。
「そうか、貴様は人間だったな。」
『人間』というワードに反応する倫。
何故なら、吸血鬼である知也が倫を『人間』と言うということは、吸血鬼に関する話題をあげるときだからだ。
(吸血鬼・・・血は吸われたけど、あんまよく分かんないんだよね。)
「・・・行くぞ。」
知也はそれだけ言った後、倫の手を無造作につかんだ。
そして口元に持っていき、右手の人差し指を・・・歯で刺す。
プツッと真っ赤な液体が膨らむ。
思わず顔をしかめた倫が目を瞑ると、知也がその血に自らの血をつけた。
2人の血が合わさり、次の瞬間には・・・。
「おい、目を開けろ、馬鹿。」
「ぅえ・・・えええええ!?ここどこ?魔法ですか!?吸血k・・・」
吸血鬼というワードを言い切る前に、倫の口を知也の両手がふさぐ。
ふがふがと反抗する倫に、
「迂闊にそんな言葉を口にするな。」
と囁いた知也は、手を離した。