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パニックJKと冷たい吸血鬼がもてなす喫茶店  作者: たー兄
喫茶店『クリムソン』の吸血鬼。
1/21

序章

初めましての人は初めまして、たー兄です。

あ、たーにいって読みます。


今回は吸血鬼ものですね。

前作・「青い海に消えたお前に」が恐ろしく駄作だったので、削除しました。

こちらは沢山読んでもらえたら嬉しいです(切実)

「いってきまーす!」

「気を付けてねー!変な人に会ったら、すぐに助けを呼ぶのよ。」

「もー分かってるって!てか友達が家の前にいるし!」

 バタバタと落ち着きがないポニーテールの女の子が、家の玄関で頬を膨らませる。

 まるで11、2歳の子供のような女の子は、バックを肩にかけ、制服のブレザーを少し可愛く着崩していた。

 口論の相手は、彼女の母親だった。

 一見おっとりと優しそうな母親・・・いや実際そうなのだが、実はこの母親、娘を女手一つで育てたシングルマザーである。

 対して、その母親に苦労して育てられた倫は、あの事件(・・・・)を除けば、ごく一般的な女の子だった。

(うう・・・この会話絶対、みんな聞いてんじゃん。うわぁ、ガチで恥ずいんだけど。)

 青春真っ盛りな訳で、今日も週初めから親友3人が玄関の前で待っている。

 防音では役割を果たさないドア1枚に遮られただけのその空間は、中の声も外の声も駄々洩れである。

 事実、今も倫の耳には

「倫、小学生やん。」

「それ言えてる!あたしもそう思う!」

「え?倫ってホントに高校生?ってなるよね。」

 という親友の声が入っている。

 ジトッと母親を睨む倫だが、彼女は相当のマザコンである。

 思春期でも、1日平均30分は話していたほどだ。

 ちなみに、幼児退行して1時間母親に抱っこされるのは、通常営業である。

 もう一度言おう。 

 1時間母親に抱っこされるのは、通常営業である。

 彼女の友達が言う通り、正直、高校生には見えない。

「気を付けてね。いってらっしゃい。」

「はいはい、いってきまーす!」

 倫が処理するように適当にあしらってドアをバタンと閉めた後で、母親が頬に手を当て、はぁ・・・とため息を吐いたことを倫は知らない。



「倫のお母さん、ホント心配性やね~!うちなんか、何も言わずに出ても心配されんわ。」

「ゆりあ、それはそれでどうなんだ?ま、なんでもいいけどね!」

「ふふ、でもまぁ、倫のお母さんは、ボクの家とはくらべものにならないほど心配性だもんね。」

「てか、人の母親を心配性っていうなー!」

 毎日毎日このテンションで登下校。

 そのせいで遅刻しかけることも少なくない。

 まるでママ友である。

 クラスメイト達がひっそりと、『テンション爆上げ組』と呼んでいることなど知らずに、ずーっと学校でもこのテンションなのだ。

 倫は基本、誰とでも仲良くなれる。

 ただ、この3人は倫にとって特別だ。

 関西から移住してきた、明るい担当・ゆりあ。

 運動は花丸、勉強はバツの、豪快担当・茉奈。

 ボクっ子ショートカットの、可愛い担当・清花。

 そして情緒不安定の、アホ担当・倫。

 特に気が合って集まった4人。

 まだ半年の付き合いにも関わらず、お互いの性格や家族は理解しつくしている。

 恐らく、将来の恋人よりも、お互いを知っていると言っても過言ではないだろう。

「元はああじゃないからね?・・・私が、8年前に誘拐されてから、異常に心配するようになっただけで。」

 倫の誘拐。

 それは、人生に1度あるかないかの事件だろう。

 8年たった今も、倫の生活に根深く関わっている。

 そう、まるで呪いのように。

「あー、倫が何歳の頃やっけ?」

「8年前だから、7歳かな。」

「どんくらい誘拐されてたんだ?」

「1週間。」

「それでPTSDになったんだっけ?」

「ま、そうだね。」

 PTSD。正式名称、心的外傷後ストレス障害。

 命の安全が脅かされるような出来事・・・倫の場合は誘拐・・・によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、起こる精神障害である。

 倫の症状は3つ。

・事件の前後の記憶が抜け落ちている

・誘拐された時の悪夢を見る

・関連する事物で、パニック状態に陥る

「たまにパニックになると、息切れとかめまいとかして大変。夜も寝れない日とかあるし。」

「そっか。しんどかったら言ってね。」

「相談にも乗るぞ!」

「力になれることがあれば・・・」

「ありがとう!」

(いい友達を持ったなぁ・・・。)

 倫は、誘拐の件ではとことん運が悪いと言えるが、その他の人間関係には恵まれているのである。

 そう、人間関係に。

 まさか、この後、人間以外と関わるなど、誰が想像したであろうか。

 倫たちが騒ぎながら歩いた道路に、カランカランと音を立てて、外に看板を出す人物がいた。

1日おきに投稿します。

次の投稿は明後日です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「青い海に消えたお前に」読みたかったなぁ。 続きも楽しみっ! あ、タメ口って失礼ではありませんか?
[一言] 挨拶のところで地味に告知しているところに思わず笑ってしまいました。 1コメだった!?コメント欄寂しいですね。(ド直球) ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ…
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