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アセンブル2 ― 14days  作者: 桜木樹
終章 ??? 編

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第6話 采配

 10月14日。時刻は夜の7時を過ぎていた。今日一日ずっと日高を探し回っていたオレは遂にその姿を見つけた。しかも女と一緒だった。


 こんな日が暮れちまった時間に女とデートとかマジでいけ好かねぇ野郎だよ。しかも相手はあの万葉学園の生徒ときてる。


 しばらく道を歩いた2人は近くの公園に入っていった。オレはその後をつけた。


 寂れた公園。昔はここで結構遊んでた記憶がある。でも今はあれが危険だこれが危険だって言ってほとんどの遊具が撤去されあの頃の様子は見る影もない。だから人もあまり寄り付かなくなった。


 人が寄り付かない場所というのはこっちにとっても都合がいい。だが、いい加減日高が一人になってくれないとこっちもしびれが切れそうだ。


 ――いっそ2人とも殺っちまうか?


 日高は言わずもがなだが、それと付き合ってるってことはあの女も信者の可能性が高い。もしそうでなくても、戸浪をやった犯人の犯行ってことで落ち着くんじゃないか?

 そして一番の懸念はこのまま2人は別行動しない可能性があるってことだ。あの日高のことだこんな暗い中を女をひとりで帰すなんてするわけがない。当然家まで送るだろう。


 日高が女を家まで送った後で犯行に及ぶってのもあるがそれまでオレは我慢できそうにない。


 そう思ったらもう止まれなくなった――


 オレは持っていた金属バットをきつく握りゆっくりと日高の背後に近づいた。


「兄さん! 後ろに――!!」


 女に気づかれた――だが、日高が振り向くよりオレの一撃が日高の頭にヒットするほうが早かった。本当はその中心を狙ったつもりだったがやや左にそれてしまった。その理由は女が妙な言葉を口走ったせいだ。


 ――兄さんだと!?


 日高に妹がいるなんて初耳だった。 


 恐怖からか、日高妹(?)は逃げだせずにその場に立ち尽くす。電灯の灯りに照らされる彼女の顔は恐怖に歪み体を小刻みに震わせていた。


 よくみるとかわいい。オレのタイプではないが勇が好きそうな感じの女だと思った。そう思ったらオレはいてもたってもいられなくて両手でバットの柄を握りしめていた。


 察した女が甲高い悲鳴を上げる。やっとの思いで振り絞ったって感じの。でもその声は誰にも届きゃしない。なぜならここは寂れた公園だからな――!!


 女の頭にバットを振り下ろすと両手に痺れが伝わってきた。病みつきになりそうな痺れだった。


 地面に倒れた女は頭から血を流して動かなくなった。


 すると、日高がゆっくりした動きで起き上がろうとするのが視界に入った。やっぱりさっきの一撃は致命傷になっていなかったらしい。ならばとどめを刺さなければならない。


 日高がこちらを向いた。オレの姿を見た日高が間抜け面を晒す。


「い、つみく、ん……?」


 そう。オレだよ。


 これまでカムライ教の信者どもを殺してきたのはほかでもないこのオレだ。


 そしてそれはオマエで最後だ。日高を殺せばカムライ教は終わる。それでオレの目的は果たされる!!


「うわあああああぁぁぁぁっ――!!!!!」


 その時突如聞こえてきた雄叫びに驚いたオレは完全に動きが止まってしまった。


 声のした方を向くとこちらに向かって走ってくる奴がいた。


 勇だった。


「な、んで……?」


 オレの頭がここになぜ勇がいるのかその理由を追い求めようと思考を始める。そしてそれは確実に隙を生む結果となった。


「うおおおおぉぉぉぉぉ――!!」


 背後から別の男の気勢が聞こえてきたその瞬間オレは地面に組み伏されていた。


 これまでが順調だったからといって今後も順調とは限らない。今までがうまくいっていたのはオレが凄かったわけじゃなくて、別に運がよかったわけでもなくて。


 そう……言うなれば――


 単なる偶然に過ぎなかったってことだ。


 握っていたバットはオレの手を離れコロコロと転がっていく。


「杏珠さん! 日高くん!」


 勇は血を流して倒れている女と頭を抑えながら地面に座る日高を心配そうに交互に見つめる。


「くそッ――」


 立ち上がろうともがくがびくともしない。


「お前か!? お前が連続殺人の犯人なんだな!?」


 上から押さえつけてる奴が怒りのこもった激しい口調で言う。


「おい、早乙女! 取り敢えず手錠だ!!」


「は、はい! ――19時42分、被疑者確保!!」


 オレの右手に手錠がはめられた。


 見上げると勇が携帯で電話で救急車を呼んでいた。そしてそれが終わると。オレと視線がカチ合った。


「なあ! オレ、お前のために――」


 精一杯の笑顔で勇に報告しようとした。だけど勇は悲しそうな、憐れむような表情でオレを見おろしていた。


 ――なんだよ。やめろよ……そんな目でオレを見るなよ。あまりにも惨めじゃないか……なあ、勇?


 勇はオレから視線を外し日高を思いやる。


「まだ息があるな救急が間に合えば助かるかもしれん」


 警察のおっさんが言うと勇と日高が安堵する。


 ――なんだよそれ……人の気も知らないで!! ……お前を助けるためにこっちはどんだけ苦労したと思ってるんだよ!! くそっ!! クソクソクソクソクソ……


「……ぁぁ」


 そうか、こいつは夢だそうだそうに違いないオレは今悪い夢を見ちまってんだだから勇はオレに見向きもしないんだよなそうだよなだったら早く夢から覚めないといけねぇよなぁ?


「はは……はっははっ――」


 誰かが笑っていた。その音はオレの口から発せられていた。


「あっははははははハハハッハハハ――!!!!」


 そこにオレの笑い声に反応する奴はいなかった。歪な笑い声は、ただ夜の闇に吸い込まれていった……



 嗤い声を上げるたびに頭痛がする。脳みそが針の筵になったみたいにチクチクチクチクってさ。



 すんげぇ頭痛い。

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