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アセンブル2 ― 14days  作者: 桜木樹
第四章 磯山みなよ 編

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陌壽ァ九→迴セ螳

『ほほぅ。つまりそのトナミなる者がお前さんにとっての敵というわけじゃな』


「ええ、まぁ……」


 私は戸浪さんのことをニコチンさんに相談していた。


『自分よりも強い者に挑む。()いではないか』


 ニコチンさんはガハハとひとしきり笑って、スッと冷静な顔つきになった。


『ところでお主……武器や防具の(たぐい)は持っておらんのか? まさか今のままで勝負を挑もうなどと考えてはおらんだろうな?』


 ――武器? ――防具?


 ゲームの中でしか聞いたことのない単語だ。そんなもの持ってるわけない。


『なんでもいいから身につけておいたほうがいいぞ。某のように腕に自身があるならまだしも、見たところお前さんは素人のようだしな。最悪の場合ケガでは済まんぞ』


 そう言われると不安になる。私は部屋の中を探し回って、適当なものを身に着けてみた。


「これでどう?」


 サングラスとマスクを装着して訊ねる。


『5点じゃな』


「あと半分足りない……」


『何を言っとる! 100点満点中じゃ』


 全然足りなかった……


「どうすればいいですか?」


『敵を倒して奪うか、金で買うかじゃな。だが、敵を倒すにしても結局のところ武器と防具が必要じゃ』


 つまり買うしかないってことだ。


 私とニコチンさんは武器と防具を買いに出かけることにした。


 …………


 ニコチンさんの案内でやってきたのは何でも揃うメガストア『鈍器放って』。ものすごく物騒な名前の店だけど、強力な装備が売ってそうな名前でかなり期待できる。


『某がコスパの高い装備を見繕ってやろう』


 ニコチンさんの口からコスパって単語が出たことに妙な違和感を覚えつつお願いすることにした。


 連れてこられた売り場には実に様々な物が揃っていた。


 かぼちゃをくり抜いて作ったような兜。ポンチョ風の黒いマント。シルクハットに白い仮面。種類はかなり豊富だが、全体的に色が白、黒、赤系統ばっかりだ。その中から私は、黒いマントと白い仮面を手にとった。


『ほほぅ、目の付けどころは悪くないぞ。仮面は知力が上がるしマントは回避率が上がるからのぅ』


 ニコチンさんが褒めてくれた。


 こっちは特に何も考えてなかったんだけど、ニコチンさんがそう言うならこれでいい。


『次は武器選びじゃな』


 私とニコチンさんは武器売り場に移動することにした。その途中どこからかヒステリックな声が聞こえてきた。


『あれは!?』


 声のした方向を見たニコチンさんの表情が強ばる。エプロンを身に着けた男の人が粘土でできた丸い体の人形に一方的に口撃されているようだった。


『クレイマーじゃ!!』


 ニコチンさんがそちらへ向かっていくので私はその後を追った。


「ちょっとどういうことなの!? この店で買ったダイエット食品を1ヶ月使い続けたんですよ! なのにちっとも痩せないじゃない! どういうことか説明してください!!」


 クレイマーが尚も口撃を続ける。


 男性は「すみません」「申し訳ございません」と謝るばかりで反撃しようとしない。


「いい? お金、返してもらいますからね!!」


『さすがクレイマー、相変わらずの苦情口撃じゃな』


「あ……そういう……」


 粘土だからクレイでクレイマーだと思ってたけど、クレイマーではなくクレーマーってことらしい。


「あら? なんですかあなた?」


 私たちに気づいたクレーマーがこっちを見た。


『お主、先程ダイエット食品を使い続けたが痩せないと言ったな?』


「ええ、言いましけど……あなた、変な喋り方ですね」


 クレーマーはなぜかニコチンさんではなく私に向かって言った。


『それはお主が悪い』


「な、なんですって!?」


 クレーマーが鬼の形相で睨みつけてくる。なぜかその相手はニコチンさんじゃなくて私だった。


『よいか? ダイエットという単語はそもそも痩せるという意味の言葉ではない。だから痩せなくても当たり前じゃ』


「な、なんですって!?」


 さっきと同じセリフ。けど今度は驚いた表情になった。


『お主の買ったものがどんな商品かは知らぬが、その商品のパッケージのどこにも“痩せる”という言葉は書かれてないじゃろ。なぜかわかるか?』


「い、いいえ……」


『パッケージに痩せることを保証するような文言が入っておると、裁判沙汰になったとき絶対に会社側が負けるからじゃ』


「な、なんですって……」


 また同じセリフ。今度は愕然とした表情をしている。


『以前あった裁判では、ダイエットは痩せるという意味の言葉ではないとして、訴えた側が敗訴してるのを知らんのか』


「…………」


 クレーマーは押し黙った。


『恨むなら学のない自分自身を恨むんじゃな』


「ムキー!!!!」


 クレーマーは顔を真赤にして頭からたくさんの湯気を出して逃げ出した。


 それから、エプロンの男性からお礼を言われる。お礼を言われたのはニコチンさんではなく私だった。


 なんで――?


 その後、私とニコチンさんは武器売り場にて包丁をゲット。これくらいなら私でも十分に扱える。


 黒いマントに白い仮面と包丁を無事購入して店を出た。


 …………


 帰る途中で身体が段々とだるくなってきた。


 家に着く頃にはすっかり夕方になっていて、さっきまで一緒だったはずのニコチンさんもどこかに消えていなくなっていた。


 自分の体に鞭打ってなんとか、ようやく自分の家にたどり着く。


 全力で運動した後のように息が荒く汗も大量にかいている。


 そのまま自分の部屋に戻ってベッドの上に倒れ込むと、すぐに睡魔に襲われた。

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