10月8日
ウチの登校手順はバスで上納駅前まで行ってそこから上ノ木行きのバスに乗り換え学校の近くのバス停で降りてそこから徒歩で高校まで行く。
玲香とは特に示し合わせることもなく、だいたい上納駅のバス停で一緒になる。理由は上ノ木行きのバス自体が数本しかなくてそれを逃すと遅刻確定だからだ。だいたいと言ったのは玲香はたまに遅刻して学校に来るからだ。
その日の朝、玲香は駅前にやって来なかった。
遅刻か……なんて思っていたけど、結局玲香はその日学校に来ることはなかった。病欠でもない限り多少遅刻してでも学校に来ることは欠かさなかった玲香が、その日に限って登校してこなかった。
スマホは修理中だし、家の電話番号も知らないので玲香と連絡を取る手段がない。
まさか昨晩のことでウチと顔を合わせにくいと思っているのかと考えたけど、玲香はそういう事を気にする性格じゃない。
玲香がいないまま帰りのホームルームがはじまる。
そして……
「ウソでしょ!?」
――昨夜、戸波玲香さんが亡くなりました――
帰りのホームルームが始まってすぐ、先生が言ったその言葉で、ウチは思わず席を立ち上がっていた。
クラスの視線がウチに集まり、やがてクラス中がざわつきはじめる。
玲香が死んだ――
それは、朝倉が言ったことが現実になったということ。
ウチは昨日、夜遅くまで玲香と一緒に遊んでいた。玲香が殺されるタイミングがあったとすれば、昨日カラオケ店から出て警察に呼び止められた際に玲香だけが逃げ出したあのタイミングでしかない。
――あのときウチも一緒に逃げられていれば玲香は死ななかった?
「ウチの……せい?」
そうは思いたくない。だって玲香はあんなに自信満々だったじゃないか。犯人を返り討ちにするんだって――
でもできなかった。
犯人は玲香以上に強い人だったってことか……
ウチがいろいろ考え事をしてる間に、帰りのホームルームが終わっていていた。
校門を出たところで何人かの人がウチに向かってなにか話しかけてきたけど、今は誰かと話をするような気分じゃなかった。
ウチは独り寂しく帰途についた……




