プロローグ
ウチと玲香は幼い頃からいつも一緒に遊んでいた。いわゆる腐れ縁ってやつだ。
玲香の提案する遊びは男の子的な物が多かった。
例えば、木にとまるセミを見つけてエアガンで撃ちまくってどちらがたくさんセミを倒せるか競ったり、カエルを思いっきり地面に叩きつけてどれだけ長く失神させられるかを競ったり――みたいな……
小学校の高学年になると、オモチャは虫から動物に変わった。
エアガンが狙う獲物は野良犬に変わり、高いところから猫を落として、どのくらいの高さまでならうまく着地させてあげられるかを実験してみたり……
ふたりして笑いながら――
中学になるとウチらのおもちゃは動物から人間になった。中学の3年間でウチらが誂って遊んでいた人の数は覚えてないが中には学校に来なくなってしまった人もいた。でもそんなのお構いなしでウチらはウチらのやりたいように自由を謳歌していた。
そしてそれは、高校になった今も続いている――
…………
それは2年になってからすぐの出来事だった。
「はい。みんなちゅうも~く!!」
玲香が右手を掲げながら声を上げるとクラスメイトたちの畏怖の視線が彼女に集まる。
「今日からこいつはアタシの奴隷だか、ら!」
玲香が床に寝転がる磯山みなよのお腹にケリを入れた。鈍い音がして「ごぉっ――」と磯山が潰れたカエルみたいな声を出してお腹を抱えて縮こまる。
玲香が磯山に目をつけた理由は正直なところよくわかってない。ただ、1年の頃からグズでの要領の悪い磯山に苛立っていた。そして2年になって彼女と同じクラスになったことで玲香はこれまで誂って遊んでいたおもちゃを変えた。
「あんたら全員こいつのこと無視すること~。いい~?」
クラスのみんなは居心地悪そうな表情で顔を背ける。
「いいですか~? 約束破ったら~」
玲香がクラスを見渡して、「ターゲット変えっから」とものすごいドスの利いた声で言い放った。
その日から、磯山みなよはクラスのみんなから無視されるようになった。
誰も何も言わない。何も言えない。逆らうなんてあり得ない。
今のウチらは無敵だ――




