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第6話 三人の始まり

序章の終わり予定です。

 魔物に叩き落とされた青い人物がいるであろう地点へ急ぐシナンと助太郎。(助太郎はシナンに掴まれている)


「普段は体が重い感じがして体調も正直優れないけど、契約してから身体がとても軽くて気分も良くなったよ!」

「このスキルは契約相手の体調も良くするみたいだね。」


 そんな話をしながら目的地へ辿り着く。

 そこには青い体をし、四枚の翼を身体に折り畳んでいる先程の人物が倒れていた。

 身長は助太郎(170cm)よりも少し高いくらい。

 助太郎とシナンはその人物に近づく。


「あの、先程は助けて頂きありがとうございます。

 えっと、傷の治療は...」

「よければこの回復薬を、あれ、口はあるの?」


 目の前の人物は自分達に魔物を向けさせない立ち回りをしたようにも見えたため、一応礼を言う。

 そしてシナンが手持ちのそこそこ良い回復薬を飲ませようとするが、口はマスクのような硬い物に閉ざされ飲ませることができない。


「どうしよう、このままじゃ…」

「さっきから動いてないし、まさか、間に合わなかった...。」


 一切動かないため既に手遅れなのだと思い始めたその時、

 声が聞こえた。

 男性のような渋めの声である。


「ワタシは薬ではその身を治せない。もう人間ではないのだから。」


 目の前の人物が首をこちらに向け話し掛けてきた。

 助太郎達は少し驚くも彼の話を聞く事にした。


「ワタシはトライスシ。神の見習いの一人、神からは天使と呼ばれている。」

「天使…。」


 シナンが神や天使の単語に反応するが今は助けられる方法があるかを聞く事を優先した。


「俺は参橋 助太郎で、この子はミナイ シナンです。

 トライスシさん、あなたを助けられる方法はあるのですか?」

「私達にできることなら何でも言ってください。

 死人は見たくありません。」

「何でもか。君達はもう少し慎重になった方が良い。

 …お言葉に甘えるとワタシはこれでも限界なんだ。

 身体を治すには生きた人間に憑依しなければならない。

 憑依すれば治療されるよく分からない体質でね、

 神はともかく、天使は地上で長く生きられない。

 君達のどちらか一人に憑依させて貰えると助かる。

 ついでにこの場に残る額のこれも肌身離さず持っていて欲しい。

 それがワタシの頼みだ。聞き入れる気はあるかい?」


 トライスシが二人に聞く。返答は、


「じゃあ、俺を使ってください。

 この星の人間ではありませんがそこは大丈夫ですか?」


 助太郎が即答する。


「異星人か。前例はないからやってみなければ分からないな。

 そちらのお嬢さんも問題ないかい?」

「えぇ、もちろん。駄目だった時は私に憑依して。」


 天使に何か思いがあるのか少し鈍いシナン。

 トライスシは早速、助太郎に憑依する。

 助太郎の感覚には特に違和感はなく憑依が完了し、

 トライスシが倒れていたその場には額に付いていた上部が尖ったリングが残る。

 そのリングをシナンが拾う。


「スケタロー、大丈夫?」

「うん、特に異常は感じないよ。」

『それは良かった。』

「「!?」」


 二人が話していると頭の中からトライスシの声がした。

 あまりに突然で驚く二人。


『驚かせてすまない。君の体でも問題ないようだ。

 ワタシは治療に専念するが、いつ話しかけてくれても構わない。

 ワタシの力が必要になればお嬢さんが拾ったリングを二人で掴むといい。』

「意志は俺に優先してくれていつでも話せるんですね。」

「私にも声が聞こえるのはこのリングを持ってるからかな。」


 なんとか落ち着く二人。

 そしてシナンは気になる事があった。


「早速ですがいくつか質問させてください。

 天使という存在はもしかして人間の進化ですか?

 そしてその進化方法は?

 それとあの黒い魔物は一体?」

『そうだね。まずは天使は人間の進化についての質問だが、

 確かにその通りだ。』

「!」


 シナンが目を見開く。


『次に進化方法だが、攻略をすると特殊な力が身につく試練は知っているかな。各大陸に一つずつ存在する全三つの試練を攻略し、世界の中心に建てられた塔の頂上へ登れば天使へ進化できる。ちなみにこれは別に隠し事ではないよ。』

「やっぱり、試練を攻略すれば力が付くんだ。

 誰でも助けられる力が…!」


 シナンのやる気が上がる。

 天使に対する思いが晴れる。


『最後に黒い魔物についてだが、あれは“混沌”によるものだ。

 最近、魔物が黒い瘴気を纏い凶暴化し強くなる事件がごく稀に起きている。

 ワタシが地上に来たのもその“混沌”をどうにかするためだよ。

 いざ対峙したら地上での弱体化でやられてしまったがね。』

「“混沌”?」


 今度は助太郎が反応する。


「“混沌”ってもしかして〈混沌の邪神〉というものと関係ありますか!?」

『邪神?“混沌”については特に詳しい事は分からないな。

 すまない。』

「いえ、おかげで選択肢が少し縮まりました。

 ありがとうございます。」


 思わぬところで〈混沌の邪神〉について知れると思ったが、そう上手くはいかなかったようだ。


「よし、それじゃ街へ行こう!

 そろそろお腹空いてきたでしょ、私が奢るよ!」


 シナンは機嫌が良さそうな声で言う。

 助太郎とトライスシも賛同する。




 〈混沌の邪神〉か帰還の手がかりを探り、故郷へ帰りたい地球人の助太郎。

 誰かを助けながら誰でも助けられる大きな力を求める怪物のような体のシナン。

 身体の治療のために二人に同行し“混沌”をどうにかしたい天使のトライスシ。


 人間と怪物と天使の三人の冒険はここから始まる。

ご覧頂きありがとうございました。

次はキャラクター紹介か新章になる予定です。

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