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第40話 纏まる3人(挿絵あり)

手描きの挿絵があります。

苦手な方はご注意下さい。

「神と天使の差が分かっただろう。

 私の能力スキルは正直関係ないレベルだ。」


 ウリョクはトライスシの頭を踏み付け、地面に押さえ付けている。


「さて、そろそろアマノに戻って、うん?」


 ウリョクは上空から何かが接近している事に気付き、咄嗟にその場を離れる。


 そしてそのすぐ後に大きな音と土煙を巻き上げて、何かが着地する。

 土煙から一瞬光り、二人の人物が現れる。


「トライスシ!」

「ソヤイクキかん!」


 シナンと助太郎であった。


「!?二人共、何故来た!?

 それにシナン、お前、なったのか、天使に...!」

「はい!スケタローのおかげで!」

「オンソ"なソヤイクキかんろサクえはく!

 はく"なヲエとタアちナイっせ、マクんせ"ウサ"カイ!」


 シナンと助太郎がトライスシを守る形で、ウリョク前に立つ。


「ン仲間を助ける為にパワーアップして戻ってくる展開か、いいーね。

 だが、天使一人と言葉の壁に阻まれた足手まといが増えて何になる?

 今も地球人には言葉が分からないだろう?」


 トライスシは二人に言葉を出す。


「天使になっても普通に喋れるのか…いや、そんな事よりも、

 二人共、何故そこまでワタシを助けてくれるんだ。

 ワタシからは何も返せていないのに...!」

「何を言ってるんですか!

 私達は友達、いや親友でしょう!

 助け合うのは当たり前じゃないですか!」

「ヲエせ"ほ、センキとアイヌウう"やいなセ"イゆナグゼグ。

 ソヤイクキかんほキタンそヲタき"うサイケスたニソさ"あや!サクえかけせウサ"かい!」

「私もスケタローも同じ気持ちだよ!」

「シナン...スケタロウ...。」


 トライスシの中で何か暖かい情が湧き上がる。


「スクラー、シミュレ、ホダ村の皆、分かったつもりでいたが、改めて言う通りだったと実感したよ。」


 トライスシは立ち上がる。


「絆の力は、これ程に人を、強くするのだな。」


 トライスシが水色に発光する。


「トライスシ?」

「ソヤイクキかん?」

「この光はまさか!?この場で、その展開か!?」


 ウリョクは驚くが特に邪魔をする訳でもない。


「助けられてばかりでは、いられないな!」


 水色の発光が収まり、そこには姿が僅かに変わったトライスシの姿がいた。


 変わった点は白い翼が無くなり、紫の胸部、水色メインの体色に、頭部は外側から青,黒,ピンクの配色になっている。

 そして腕と足には額に付いている、先端にトゲが付いたリングがあった。


「この場で天使が神に進化するか!仲間に呼応して!

 ンいいね!」


 ウリョクはその場を飛び上がり、夕焼け空を後方に待ち構える。


「シナン、スケタロウ、ありがとう。

 ひとまず、そろそろシナンはスケタロウと同化した方がいい。」

「どういたしまして!」

「そ"ういさきはきせ!

 わえ、ソヤイクキかんとイっせゆオソあ"ラあゆ。」

「そう言われると確かに疲れてきたかも、スケタロー、一旦同化させて。」


 シナンは前までトライスシが助太郎と同化していた様に、助太郎と同化する。


「わわ、ヲエとタアちナイっさとあ。」

『よし、休まった!変わろう!』

「おとオエイヨセイち...、ほういいと!?

 ラあっさ、フイなきたいせ"。」

「シナン、もう休まったのか。恐ろしく早いね。」


 助太郎はシナンと交代し、シナンはすぐに天使の姿に変わる。

 シナンは力を込めて、両腕の穴から赤い光を吹き出させる。

 トライスシは自身の背後に、白い光の翼を6枚出現させる。


挿絵(By みてみん)



「ンー解せないね。何で君たち、普通に意思疎通ができてるの?

 特に元人工天使のお前。」

「何日かずっと一緒にいた親友なんだから、何を言ってるか大体分かる!」

『オオトアアンく"っそイッキョちいさキンムウたんさ"あや、タチろイっせゆあサ"イサイラあゆ!』

「君達本当に仲良くなったね。

 ワタシは神に、言うなれば〈絆の神〉に進化した事で、絆の深い者とは言語の壁等関係なく、意思疎通ができる力を得られた様だ。」

『こえせ"ソヤイクキかんとイっせゆオソあ"ラあゆとあ。』

「そうか。

 まあ青い方はもう神だからできて当然か。」


 トライスシとシナンは一斉にウリョクへ飛び掛かる。

 同時に攻撃を繰り返すが、ウリョクに当たらない。


「数も力の差も自分たちが有利だと思っているか?

 経験値が違うのだよ。」


 ウリョクは攻撃能力と知覚能力と速度を高める、三種の能力スキルを自身に付与する。

 シナンはウリョクの動きに着いていけず防戦一方になるが、トライスシがウリョクの動きを捉える。


「ハァッ!」

「へえー、神になったばかりなのに、私に着いて来れるか。

 今までどんな経験して来たんだよ。」


 トライスシは天使時代に神になるための訓練を欠かさず、人間時代で多くの人と絆を結び天使へと進化を果たせた。

 今の〈絆の神〉としてのトライスシは今まで繋いだ絆の数が多く、その一つ一つが深いほど、トライスシの力を高めるのだ。

 素の実力と繋いできた絆で、トライスシは能力スキルを盛ったウリョクにも引けを取らない実力を発揮出来ている。


 だが、それでも神としての経験値が高いウリョクの相手には決定打がない。

 長期戦になれば、シナンと助太郎は完全に着いて来れず、経験の深いウリョクが有利となる。


 シナンはトライスシの援護をしようにも二人の動きに着いて来れず、飛び出せない。


「どうしよう、このままじゃ私達は何もできない。」

–シナン、スケタロウ、聞こえるか?–

「『!!』」


 シナンと助太郎の脳内にトライスシの声が聞こえる。


–このままでは正直こちらが不利だ。–

–だから、ワタシがこっそり二人に力を与える。–

–そして、ワタシがウリョク殿と戦っている間に光線の準備をするんだ。–

–ワタシを信じてくれ!–


 声はここで終わる。


 気付くとシナンは水色の暖かい光に包まれている。

 助太郎の方もその光の暖かさを実感する。


『こうあ、』

「そう言う事ね!」


 シナンは光線の発射準備をする。

 そして助太郎と共にこれまで出会った人達を思い出す。


「カット街の皆さん、私が気の試練を攻略するまでずっとお世話になったなあ。

 今度またお礼に行かないと。」


 カット街…シナンが助太郎とトライスシと同行し始めてから最初に来た街の名称である。


『サムライの里のサムライやニンジャの皆さん、大きなトラブルがあったのに1泊させてくれて助かったな。

 料理のレシピも参考になったな。』


 この星は地球に似た感じの食材がそこそこあるため、地球に帰ってもレシピは覚えて損はないのだ。


「勇者教団の人達は凄かったね。

 あんなに人助けを積極的にする団体がいるのは正直驚いちゃった。」


 勇者教団は今でも魔法大陸全域で奉仕活動を続けている。


『あのレッサーゴブリン、今はヒイロだっけ、元気にしてるかな。

 悪そうな感じはしなかったし、盗賊団に利用された分、幸せにいて欲しいな。』


 現在レッサーゴブリンことヒイロは、強くなりたいという目標を持って、魔法大陸随一の名門校への入学を目指し、人の言葉や常識を勉強中である。


「精霊の森から魔の試練の案内までしてくれた、タヌとツネも元気かな。

 森全体と精霊の管理は忙しそうだし、落ち着いたら何か手伝いに行こう。」


 現在、タヌとツネは大忙しである。


『あの村、ホダ村にも物資の補充で地味に助けられたね。

 トライスシさんの大切な村。』


 ホダ村は現在、天使トライスシの目撃情報でまた活気が戻っていたりする。


「アトウさんを助けてくれて、筋の試練の案内や戦闘まで助けてくれたテンカさんには感謝しても仕切れないなあ。」


 テンカはアトウと共に、サバイヴ大陸の発展のための活動をしている。


 

『右も左も分からない状況で、俺を何から何まで助けてくれたシナン。』

「私の旅路にずっと着いて来てくれて、支えてくれたスケタロー。」

「『そして、』」

「私達だけではどうしようも無かった状況を助けてくれたトライスシ。」

『俺達だけではどうしようも無かった状況を助けてくれたトライスシさん。』


「『この出会いに感謝を込める!!』」


 二人の動きはシンクロし、水色の光が腕に纏まる。

 それに気付いたトライスシはウリョクの一瞬の隙を突き、羽交い締めをする。


「むぅ、お前まさか心中する気か!?

 いや、寸前で避けるつもりか?

 そんなオチはつまらんぞ。」

「安心しろ、避けはしないし心中するつもりもない。」


 ウリョクは防御関連の能力スキルを三種、自身に付け変える。

 完全に受け止める姿勢に入った。


「二人共!!今だッ!!!」

「『いっけえええええええええ!!!!!』」


 シナンの両腕から赤く水色の光を纏った光線が放たれる。

 その光線はトライスシが羽交い締めして押さえたウリョクに直撃した。

ご覧頂きありがとうございました。


今回は助太郎の台詞が現地民視点となりました。

台詞を翻訳すると以下の通りです。


「ソヤイクキかん!」

→「トライスシさん!」


「オンソ"なソヤイクキかんろサクえはく!

 はく"なヲエとタアちナイっせ、マクんせ"ウサ"カイ!」

→「今度はトライスシさんを助けます!

 まずは俺の中に入って、休んでください!」


「ヲエせ"ほ、センキとアイヌウう"やいなセ"イゆナグゼグ。

 ソヤイクキかんほキタンそヲタき"うサイケスたニソさ"あや!サクえかけせウサ"かい!」

→「俺でも、天使の回復ぐらいは出来るはずです。

 トライスシさんもシナンと同じく大切な人だから!助けさせて下さい!」


「そ"ういさきはきせ!

 わえ、ソヤイクキかんとイっせゆオソあ"ラあゆ。」

→「どういたしまして!

 あれ、トライスシさんの言ってる事が分かる。」


「わわ、ヲエとタアちナイっさとあ。」

→「ああ、俺の中に入ったのか。」


「おとオエイヨセイち...、ほういいと!?

 ラあっさ、フイなきたいせ"。」

→「この声色的に...、もういいの!?

 分かった、無理はしないで。」


『オオトアアンく"っそイッキョちいさキンムウたんさ"あや、タチろイっせゆあサ"イサイラあゆ!』

→『9日間ずっと一緒にいた親友なんだから、何を言ってるか大体分かる!』


『こえせ"ソヤイクキかんとイっせゆオソあ"ラあゆとあ。』

→『それでトライスシさんの言ってる事が分かるのか。』


『こうあ、』

→『そうか、』


これ以降の台詞は言葉そのままです。

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