表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/42

第39話 諦めない希望(挿絵あり)

手描きの挿絵があります。

苦手な方はご注意下さい。

「ど う し た、どうした?

 殴るんじゃ無かったのか?当たらないよ?」


 ウリョクは自身に回避能力を高める能力スキルを三つ付与して、トライスシの猛攻を容易に回避していた。


「ン天使の君は地上では長時間、力を発揮できないだろう。

 それにさっき混沌の邪神から受けたダメージがー、癒えてないようだね。

 私には関係ないがー、このままだとお前消滅するよ?」

「ここで逃げれば、貴方はまた同じ誤ちを繰り返すでしょう。

 ならば、我が命に賭けても、貴方の性根を叩き直さなければならない!」

「ンー、声が弱ってるねぇ。

 いっそ私の手で楽にしてやるか。」


 ウリョクは自身に付与した能力スキルを回避関連から、速度関連をそのままに攻撃関連に付け替える。

 そしてトライスシの攻撃を捌き、地面に叩き付ける。


「神 と 天 使 の 力の差は歴然だよ。

 ンだが、私は加減はしない主義でね。」




 シナンは助太郎を抱え、空にそびえ立つ塔の横を沿い上昇する。

 塔の最上階を目指している様であった。


(シナンは何を、そうか!

 その命が尽きる前に天使か天人に進化する事で、生きながらえられる可能性を考えたのか!

 今トライスシさんを追い掛けても戦力にはなれないなら、それが一番可能性があると思ったんだ。)


 助太郎はシナンの意図を推測する。

 その推測は実際当たっており、天使に進化する事でもうすぐ力尽きる運命を変え、あわよくば力を得てトライスシに援護に向かう算段だった。


 シナンは塔の頂上を目指し、まだまだ飛翔するが、段々と速度が下がってきている。

 速度の低下に気付いたシナンは、塔の筒抜けの窓から内部に侵入する。

 そして残りの力を振り絞り、壁に沿った螺旋階段を低空飛行する。


塔の最上階の一つ下の階層を抜け、螺旋階段を飛行するが、


「ガっ」


 赤い光の片翼が消え、その場にガチャンッと音を立てて倒れる。


「シナン?シナン!!まさか間に合わなかったのか!?」


 ここまで連れて来られた助太郎はシナンが動かなくなり、絶望しかける。

 だが、


「…いや、まだだ。

 俺だけ、諦めちゃいけない!」


 助太郎はシナンを背負う。


「ッ!」


 左腕と左脚が金属製の義肢で身体の左半分は怪物なシナンは、並の人間よりも体重がとても重たいのだ。

 それでも助太郎はシナンを背負い、先の見えない螺旋階段を登り始めた。


挿絵(By みてみん)



......、


 助太郎はシナンを背負ったまま階段を登り続ける。

 手足が痛む。特に足は止まりたいと言わんばかりに、内側からジワジワと痛む。

 だが一度止まれば長時間、動けなくなってしまうだろう。

 だから止まれない、休めない。歩み続ける。


 階段を登り始めて何時間経過したかはもはや分からない。

 空はもうすぐ夕方になりそうだ。

 自分だけが諦めたくない。その一心で歩み続ける。


 そしてその歩みは無駄ではなく、


「!」


 上への階層が見えて来た。

 歩む速度を上げ、最上階へどんどん近付く。


 そして、塔の頂上、100階層。


 周りは風は静かに吹き、何本か太い柱が立っている。

 そしてこの階層の中心には、いかにもな広い台座があった。その台座には魔法陣が描かれている。


 助太郎はシナンを背負ったまま、その台座へ向かう。

 しかし、台座に上がってとうとう力尽きシナン共々、助太郎は倒れた。


「もう、身体が、動か、せ、ない...。」


 助太郎の意識は薄れ、気絶する寸前、台座の魔法陣が光り、空から光が差し込む。


 すると動かないシナンの身体は、光の差し込む空へ消えていった。


「シナ...ン...。」


 助太郎はその光景を見て、深い眠りに着いた。


……………、


 その数分後、助太郎の倒れる台座に何者かが勢いよく降り立つ。

 その者はピンク色と赤色の体に緑色の両腕両脚が付き、緑色の四角い翼が4枚付いている。


「ツセナヲー!かいさ"のく!」


 その者は何か言っているが、眠りに着いた助太郎には聞こえない。


「とくさ、ヌサえねうよんへ。

 ね"よ、ノワキツチよナツせひキさはきのきせはきさわ、サキムスヤモクおヌサくろ。」


 その者は助太郎に寄り添い、白い光を浴びせる。


「ん、疲れが、無くなって、そうだ!シナンは!?

 うお!?」

「ろさっな、クヤすきっな。」


 助太郎は疲労が無くなり目を覚ます。

 目の前のピンク色の者に驚くが、見覚えがありすぐに落ち着く。


「もしかして、シナン、なの?」

「けーの、かか、とくな"。キヤまネンニほツサ"ナな"っなへ。

 とえひツサ"ナまサけわえうんな"っな。」


 ピンク色の者は一瞬光に包まれ姿を変える。

 その姿は、身体が人間部分だけで着物も破れていないシナンの姿だった。


「やっぱりシナンだったのか!」

「ソノマ"まアさわはきせの"、ハヒおキっねうさハンのはすアさう!

 とく、アナチなチハンな"!」

「その仕草、声や喋り方、シナンだ!

 天使か天人になれたんだ!」


 助太郎とシナンはその場で喜ぶ。

 互いに言葉は通じていないが、何を言っているかは大体分かる様だ。


「たか、ノワキツチおナツせひキそく!ヌサやっね!」


 シナンは助太郎に手を出す。


「捕まって、って事かな?」


 助太郎はシナンの手を取る。

 すると、シナンは助太郎を抱え込み、走って助走をつけて塔から飛び降りる。


「うおおおおお!?」

「そえさわアナチナニさ"マチ"えねカっなかほヨイめキスロ!

 とそね"ノワキツチさ"ナナサっねう。」


 シナンは再度、天使の姿となり助太郎を抱えてある場所へ飛翔し向かう。

 その場所は、助太郎とシナンが初めて会った森、ピリオド大森林だった。

ご覧頂きありがとうございました。


今回の台詞を翻訳するとこうなります。


「ツセナヲー!かいさ"のく!」

→「スケタロー!ありがとう!」


「とくさ、ヌサえねうよんへ。

 ね"よ、ノワキツチよナツせひキさはきのきせはきさわ、サキムスヤモクおヌサくろ。」

→「そうか、疲れてるもんね。

 でも、トライスシも助けに行かないといけないから、回復魔法を使うよ。」


「ろさっな、クヤすきっな。」

→「よかった、上手くいった。」


「けーの、かか、とくな"。キヤまネンニほツサ"ナな"っなへ。

 とえひツサ"ナまサけわえうんな"っな。」

→「えーと、ああ、そうだ。今は天使の姿だったね。

 それに姿は変えられるんだった。」


「ソノマ"まアさわはきせの"、ハヒおキっねうさハンのはすアさう!

 とく、アナチなチハンな"!」

→「言葉は分からないけど、何を言ってるか何となく分かる!

 そう、私はシナンだ!」


「たか、ノワキツチおナツせひキそく!ヌサやっね!」

→「さあ、トライスシを助けに行こう!捕まって!」


「そえさわアナチナニさ"マチ"えねカっなかほヨイめキスロ!

 とそね"ノワキツチさ"ナナサっねう。」

→「これから私達が初めて会ったあの森へ行くよ!

 そこでトライスシが戦ってる。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ