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第35話 混沌の生産者(挿絵あり)

手描きの挿絵があります。

苦手な方はご注意ください。

 シナンの思っている感謝の言葉を聞いた科学者達は、


「試作品だからまだ生きてるのはおかしいよな?

 数ヶ月前に作ったんだから、もう寿命は尽きてるはずなんだが。」

「実際我々が作った試作品は全て寿命が尽きているのを確認済だ。

 もしやアレだけは成功していたのか?」

「いや、他と同様失敗作だ。

 成功作が作れる様になったのは2週間前だっただろ。」


 シナンの声を一切聞いていなかった。

 流石に思う事があったのか、助太郎が前に出て声を挙げる。


「ちょっと!無視はないんじゃないですか!?」

「それもそうだなぁ?」


 今まで一言も喋らなかった赤い怪物が喋り出す。


「皆さーん、彼等の冥土の土産に研究のアレコレを話してやりませんかぁ?」

「…ふむ。確かに自慢の1つや2つしてやりたいな。」


 科学者達は怪物の意見を聞いて語り出す。

 話を要約すると、


 科学者達は人類の進化系である天使を、人為的に再現する事を目的に、5年前から集まった者達。

 人間をなるべく天使に近い存在、人工天使に改造する事が主な活動内容だ。

 改造される人間は、テキトーに攫って集めていた。

 改造内容は細胞の組換えと兵器の取り付けが基本だった。

 しかし、生物的な部分である細胞の組換えが上手くいかず、数ヶ月前までは寿命が1ヶ月も持たない失敗作が続いていた。

 だが1ヶ月前に協力者、『エビル』が現れ自ら被験体となった。

 それから研究はどんどん進み、そして2週間前に人工天使を安定して、完成させられるようになったのである。

 被験体となったエビルは今この場にいる赤い怪物だ。


「どうだ、この天才的な研究は!

 これほど素晴らしい研究を禁忌にするこの世界が訳分からんぜ。」

「寿命を縮められた人達は、私みたいに家族がいない訳ではないんですよ?」

「他人の事なんか知らねーよ!」

「完成したという人工天使になった人達は、どうなったんですか?」

「我々に反抗しないよう自我を消して言う通りにしか動けなくなってるぜ。

 エビルは特別に自我をそのままにしているがな。」

「何だと?戻す方法は!?あるのかッ!?」

「ねーよ、完成したばかりで俺らにも分からん部分はあるんだよ。万一戻す方法があったとしても、探さないけどな。

 さ、エビルよ。そろそろこいつら仕留めてしまえ!」

「あいよ。」


 シナン、助太郎、テンカが研究員に質問を投げかける。

 だが自分達が求めていた解答は、何一つ得られなかった。

 問答が終わったと判断し、研究員はエビルに戦闘を再開させる。エビルもそれにノる。


「エビルとやら、どうやら俺も本気でいかなければならない強さのようだな。」


 テンカがそう言うと、その身が一瞬光り変化した。

 その姿は白く、どこかトライスシの様な雰囲気があった。


「そ、その変わり方…まさかお前、天人か!?」

「だとしたら?」


 研究員はテンカの正体に驚く。

 天人は天使程ではないにしても、人間と比べれば遥かに強いのだ。


「あ、だから試練の内容を知っていたんですね。」

「まあな、何なら細かい内容まで言ってやるべきだったな!」


 テンカは大剣を構えて、一気にエビルへ接近し攻撃を仕掛ける。


「天人ねえ。それなら私もこーんな能力隠してたんですよ。」


 斬撃が当たる直前、エビルの身体から黒い灰の様なものが吹き出る。

 テンカは身体が触れる前に、バックステップで距離を取る。

 黒い灰を見て、助太郎とシナン、アトウは驚愕する。


「あれは、“混沌”!?」

「あーあなた達は混沌と呼んでるんですか。では私も混沌と呼びましょう。

 何回か見た事があるような顔ですねぇ、では私からも教えましょう。」


 エビルは余裕な態度を崩さず、話を続ける。


「私はこの混沌を生み出す事ができるんですよ。

 これを他の生き物に纏わせて、暴行に走らせるの楽しすぎてねぇ。

 驚いた?」


 エビルの言葉にトライスシも驚く。

 助太郎が質問をする。


「嘘だろ?じゃあ今まで起きた“混沌”に関する事件は。」

「全部私でーす!あ、ちなみにまだあなた達には嘘を付いてませんよ?

 では、そろそろ狩るか。」


 エビルは戦闘態勢に入る。

 背中から生えている、手の様な赤い光の翼は“混沌”で赤黒く染まる。


(『スケタロウ、シナン、ここはワタシが戦おう。

 奴は“混沌”そのもの、かなりの実力者だ!』)

((ありがとう!よろしくお願いします!))


 助太郎とシナンはリングを握り、トライスシと交代する。

 トライスシは変化したテンカの隣に並ぶ。

 トライスシもエビルも175cm程の身長なのだが、テンカとは身長差がありすぎて迫力負けしている。


「お前、味方か?」

「ギィッ!」


 トライスシは頷く。


「おいおいおい、本物の天使じゃねーか!」

「何人がかりでもいいぜぇ?」


 後ろの岩陰に隠れて興奮している科学者達を気にせず、エビルは余裕の態度を崩さない。


 “混沌”を生み出していた元凶であるエビルとの戦いが、今始まる。


挿絵(By みてみん)

ご覧頂きありがとうございました。

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