第3話 少女との出会い (挿絵あり)
ヒロインが登場します。
挿絵を追加しました。(2021/5/2)
挿絵は色鉛筆で描いた絵です。苦手な方はご注意ください。
ここは森。開拓がされていないのか道らしい道もなく地面は雑草が生え放題となっている。
時刻は朝、野生の動物達が木に、草むら、空、至る場所に見られる。
そしてこの森全体の中心辺りに木が開け、日が差す地点があった。その場所の空間に突如、光の穴が開き、
「……ぁぁああああああああああ!!!!ぐえっ!」
1人の人間こと青年が落下し地面に叩きつけられた。光の穴は青年が落下したと同時に閉じてしまった。
青年は仰向けから座る体勢に変えながら独り言を言い始める。
「あいたた…あの、宇宙人?話が一方的で俺にあまり喋らせてくれなかったな…〈混沌の邪神〉の討伐かぁ。本当にスキル?というものもくれてはいたみたいだし、せめて話し合った上でならまだ納得できたと思うんだけどなぁ。」
青年、助太郎はあの自称宇宙人の普通は地球人とは大きく異なるのだろうと思う事にした。
それはそれとして自称宇宙人が与えた能力は確かに自分の中にあると実感できた。不思議と身体に馴染むように存在している感じはする。
助太郎は周りを確認する。
(ここは、森かな。地球でも違和感なさそうな光景だな)
本当にここは地球ではない惑星なのだろうか。
地球とは遠く離れた場所にある惑星なのか。
突然の連続でその場でゆっくりと状況を整理する。
そんな彼に複数の獣が近づいている事には気付かなかった。
ガサッ
周りの草むらが踏まれる音がしてようやく彼は気付く。
何かが近づいている。
今の自分の手札を脳内で整理する。
まずは、持ち物。
大学通学に着ていた黒いシャツと茶色のズボンの私服を着用しているが荷物は人を助けるために捨てたためほとんど手ぶらである。
ポケットには電車の定期券と学生証と日本のお金(15602円)が入ったサイフのみ。
次に、貰った能力。
[不老不朽]…身体が老いず朽ちない効果。不死身の効果はないため慢心はできない。
[言語翻訳]…どんな言語も自分に分かる言葉で理解できる効果。かなり便利そうだがそもそも言語を使わない相手には何も意味がない。
[契補送波]…誰かと契約して契約した者に何かしらの強化を与えることができる。今この星に来たばかりだから当然、契約者はいない。
結論としては話せる相手でなければ大ピンチ。会話ができる相手でも上手く話さなければ敵と判断されるかもしれない。
ここまで1秒も経ってはいないが瞬時に動ける身体能力はなく、その場を動けず立ち上がる事すらできなかった。
草むらから現れたのは緑色の体毛が生えた狼のような獣、それも複数。
草むらとほぼ同色で保護色となっている。
計6匹で完全に囲まれた。
(狼!?この星にもいるのか。この狼も肉食だったら俺を狙って…)
狼達は様子を見ている。目の前の獲物を観察する。
匂いを嗅ぎながら、グルル…と威嚇している。
(こ、このままじゃ…喰われて…)
助太郎は怯え震えてその場を動けない。
まさに 蛇に睨まれた蛙 の言葉が合う状況だ。
そしてとうとう狼達が「ガウッ!」と吠え、一斉に襲いかかった。
「うわっ!」
狼達が襲いかかると同時に身構える。
死の覚悟はできていないがもうダメだと諦めかけたその時、
上空から何か人影が降ってきた。
ドオオンッ!と勢いよく助太郎の目の前に着地したその者は狼達を回りながら右足で蹴り飛ばす。
「間に合った!君、大丈夫?」
目を閉じ腕を顔の前に構えていた助太郎はその声を聞き、ゆっくりと目の前の人物を見る。
少女だった。
フワフワしていそうな艶のある桃色の髪にボリュームのあるショートボブ。
桃色の着物に紫の帯、黒いスカートを着ており、桃色のブーツ。
青い瞳に地球人でも違和感なさそうな薄めの肌色。
これだけだととてもかわいく思えて実際にかわいらしいが、彼女の左側は全く異なる姿をしていた。
ロボットのプラモデルのようなデザインの機械でできた緑色の左脚と左腕。特に左手は鋭い爪が付いている。
着物の左側は少し破れており中から赤黒く人とは思えない鎧のような胸部が見え、背中からは緑色の翼のような突起物が生えている。
首から頭にかけて肌に赤い箇所があり、左目は赤い瞳に白目と黒目が半々になっている。
左半分だけ明らかに異様な姿をしており、中途半端に人間の姿と混ざり怪物感を際立たせる。
そんな彼女は笑顔で目の前の人物を心配しているが、目の前の人物こと助太郎は、
「あ、あわわ…えっと…あ、ありがとう…ございます…」
震え、恐怖しながらもお礼を言った。
だが今は自己紹介をする時間はないようだ。
蹴られた狼達が怒り吠えながら戻ってきた。
「初めて見る人だけど、挨拶は後だね。ちょっと伏せてて。」
明るい顔をして少女は左腕を斜め下に出す。
助太郎は嫌な予感がし、言われた通りその場で伏せる。
少女は左手から赤いビームを発射する。そしてその場を一回転し、周りをなぎ払う。
ドオオオオオオンッ!!
ビームの着弾地点が爆発し強い爆風が起こる。
狼達は直撃はしなかったが爆風でまた吹き飛ばされる。
狼達は目の前の人物には敵わないと確信し森の奥へ逃げていった。
「よーし、これでゆっくりと話せるね!私はミナイ シナン。気軽に名前で呼んでよ!君は?」
少女、シナンは笑顔で話しかける。
そして助太郎は伏せた体勢を解いてはいたが、爆発の衝撃で意識が飛びかけていた。
ご覧頂きありがとうございました。
趣味を詰め込んだ結果、複雑な外見になってしまいました…
人間の原型がない怪物を期待していた方には申し訳ありません。




