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クリス・リックマンという名の箱船第12回●イーダは私の本名を読んだが、私は振り切り、自動操縦ヘリコプターにより全都市管理センターに戻ることができた。

クリス/リックマンという名の箱船第12回

(1976年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/



■「待って下さい。話があるの」

イーダの声を私は振り切った。


私は杖に内蔵されている送信機をつかい、センターからヘリコプターを呼びよせた。


「誤解しているのよ。クリス、帰って来て」

クリスだと。なぜ、本名を。

私は杖をジェット噴射して、上空へ昇ろうとしていたが。私には衝撃だった。


彼女は私の本名を叫んでいる。誰もしらない本名を。


杖につかまった私はメリダ市の上空にあがり、センターから呼び寄せた自動ジェット=ヘリに乗り込

む事ができた。


そのヘリの中で私は泣いていた。


なぜなのかわからない。


しかし、涙は私のほほを濡らしていた。私は自分自身に裏切られたような気がしていたのだ。


■自動操縦ヘリはセンターに近づいた。


上空から見て、そこは何の変哲もないハゲ山だった。ヘリは山肌にぶつかりそうに接近

する。次の瞬間、山腹の一部が開き、ヘリを一飲み込んだ。

               

暗くて長い空間を徐々に降下していく。

急に目の前が開けてきた。人工光線に照らされた、私が大事に育てている日畑

が全面に拡がっている。


ここが私の都市管理センターだった。私一人の。


 地下何10㎞の所に、センターは造り上げられている。この地下の大空洞は私が発見した

もので、侵略者には知られていない。


 このはげ山近辺の地域の天候を私はコントロールし、何人たりとも近づき得ない天険状

況を作りあげていた。特殊な雲海を発生させ、上空からの発見も不可能にしている。



 私のヘリは畑の中央部にあるタワーの側の往機場へ着陸する。タワーから見てもこの空

をすべて見渡すことは不可能だ。ロボット作業員が収穫に余念がない。ロボットの作業は

すべて、タワーのコントロールセンターのコンピュータが計算し行っていた。


空、つまり空洞の天井の下に多数の人口太陽球が光り輝き浮かんでいる。


タワーの基部になる地下駐車場には、各都市向けの食糧トラックが並んでいた。



クリス/リックマンという名の箱船第12回

(1976年)「もり」発表作品

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


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