第8話
明朝、サース邸の車寄せで五人は集合した。
「三時間なら俺が走らせます」カガは申し出て御車台へ乗り込む。
「悪いな、帰りは俺がやるよ」レイガが客車に乗り込みながら言った。
「気にしない、大将、帰りも俺がやるよ」
「悪いな、飛空艇の銀貨は運賃でお前に渡すよ」
「さっすが、太っ腹こっちは遠慮なくいただいておくぜ」
いくら温暖な気候のキリスオーと行っても二月の早朝はまだ寒かった。
「ちょっと寒いですね」レイガが気を遣ってジェニファーに話しかける。
「ですね、最近暖かかったからコートを持ってきてよかった」
「はい、四人乗っているから、馬車の中はすぐに暖かくなると思いますよ」
「そうね、お友達君がちょっとかわいそうかな」
「カガは頑丈なのだけが得意ですから、大丈夫です」
「おーい、きこえてんぞ」
「ところで、ダンジョンなのですが」
「はい」
「最短ですと一日で終わりますが、二日かかると考えてください、夜の行動は危ないので夕方までにクリアできなければ一度地上に戻ってキャンプにします」
「分かりました、そちらにお任せします」
さらにしばらく走ると、オーガニアダンジョンが見えてきた。
オーガニアダンジョンは地下にできた巨大迷宮である。なぜこのような巨大建築物ができたかは分かっていない。地上のフィールドにはいない強力なモンスターと貴重な財宝が眠っている。
地下十五階まであるとされているが、その奥まで到達した冒険者はおらず、さらに地下深くまで迷宮が続いている可能性もある。
「到着しましたね」先に降りたレイガが女性陣の降車を手伝う。
五人はダンジョンの入り口に立つとフォーメーションの確認をした。
先頭はカガ、二番手にレイガ、三番手がマリ、四番手にジェニファー、最後はヒロという順番だった。
「みんな無理はするな、カガの動きに合わせろ、カガは後ろの動きに合わせてあまり急ぐなよ、ジェニファーさんも頼みます」
「はい、よろしくね」
「では、探索に入る、午後五時までに終了しなかった場合ここに戻る、万が一負傷者が出た場合は俺の指示、俺が指示できない場合はカガの指示に従ってくれ」
二月二十一日午前十一時、オーガニアダンジョン探索は開始された。