第5話
四人が揃うまでギルドの受付は待っていてくれた。
「オーガニアギルドにようこそにゃ!」キリスオーの大半の住民がそうであるように、受付嬢もまた亜人だった。
キリスオーの亜人は耳がまるで猫のようであり、寿命は普通の人と変わらないようであるが、年をとっても老けない体質であった。
「すみません、もう閉鎖の時間ですよね」レイガが代表して謝る。
「とんでもないにゃ、わざわざラーから来てもらって感動だにゃ」
「じゃあ、とりあえず手続き、大丈夫ですか?」
「はいにゃ、ギルドカードと名簿、それと紹介状を渡してにゃ」
「あ、はい、これです」
「はい・・・・ん・・・これは?そこのヒロ・ミィさん」
「はい?」
「あなたダナ・カシム様の娘さん?」
「あ、いいえ、あの人は、保護者ではありますけど」
「大陸一の剣士の娘さんかにゃ、これはうちのような田舎のギルドにはびっくりするにゃ」
「いえ、私はそんなんじゃありません、あの人は命の恩人です」
「もう遅いし、レイガさん?がリーダにゃよね、ギルドの隣に宿舎があるから泊なさいにゃ、依頼主には明日紹介しますにゃ」
「あ、いいですか?なんかそこまでしてもらったら悪いような」
「有名人のお嬢様も来ているし、遠くから来たんだから、甘えていいにゃ」
「じゃあ、お言葉に甘えます、ありがとうございます」
『ありがとうございます』他の三人も声をそろえた。
宿舎は男子用と女子用に二部屋用意してくれた。四人は男子用の部屋でいったん集まった。
「ヒロが有名人なおかげで宿代助かったなー」カガはリビングを見渡していた。
「命を助けてもらっただけで、もう十分以上なんだけどな、こういう借りはつくりたくないな」
「団長はそうは思ってないみたいだよ、アービィ村を巻き込んだのは俺の責任だって、ヒロの家族を巻き込んだ責任を感じているみたい」マリはヒロに会いに来るダナ・カシムからよく話を聞いているようだ。
「戦争なんだよ、いくら北部方面軍の団長だって、一人の人が責任を感じることないよ、私はただ、命の恩人ってしか思ってないから、私のヒーローなんだよ、あの人は」
「今日はオーガニアのギルドの人の厚意に甘えよう、そろそろいい時間だし寝ようか」レイガが話をまとめる。
「明日も早いしそろそろ寝ますか」カガも同意した。
「じゃあ、部屋に戻るね、おやすみなさい」ヒロが少し小さな声で二人にあいさつをした。
次の日の朝、ギルドに四人は顔を出した。
「おはようございますにゃ、ところで四人のパーティーネームはなんといいますにゃ?」
「おはようございます、パーティーネームですか、ラーのほうではミスリルランクにならないと付けないんですよね」
「こちらでは手続き上必要になりますにゃ、簡易的なものでもいいので教えてほしいにゃ」
「おーい、どうする?」レイガがカガに振る。
「そうだなー、これは難しいな、ヒロはなにかないか?」カガがヒロに振る。
「難しいわね、マリはどう思う?」ヒロはさらにマリに振った。
「そうねえ、ヒロの故郷のアービィにちなんで、アービィ旅団でどうかしら?」
「たしかに、ラーだとみんな使うし、アービィでいいか」レイガも同意し、他の二人も同意であった。
「アービィ旅団様ね、了解にゃ、手続きをするからロビーで待っていてほしいにゃ」