第19話
試験監督が終わってからは、害虫駆除や貴重品運搬、来年の試験に向けての受験生指導などの細かい仕事をこなしていた。
そして、合格発表の日、サーシャが部屋までやってきた。
「今日、登録を終わらせてきた」
「おめでとう、サーシャさん」レイガが四人を代表した。
「サーシャでいいよ、これからは仲間だ」
「え?」
「アービィ旅団だっけ?そこに入りたいんだが、ブロンズではだめなのか?」
「いや、そんなことはないけど、サーシャは親衛隊のほうは大丈夫なの?」
「今は開店休業だ、週に二回ラ・カーム様の授業を受け持つ時に王宮にいれば問題ない」
「長期間王都から離れることは可能?」
「事前に分かれば代わりの先生を立てられる」
「俺は入団してもらいたいけど、みんなはどうだ?」
「問題ない」
「大丈夫」
「ぜひ、お願いしたいわ」
「そういうことで、サーシャ歓迎するよ、俺がリーダーのレイガだ、よろしくな」
「おれ、カガって名前、よろしく」
「ヒロです、よろしくね」
「マリです、水魔法が使えます」
「サーシャです、炎、雷、水の魔法が使えます、今回の入団はラ・カーム様の承諾も得ています、よろしく頼む」
「そうだ、聞きたかったんだけど」カガの目がキラキラしている。
「分かることなら」
「ラ・カーム殿下の短剣、すごい威力らしいけど、どうなの?」
「ああ、並みの威力ではないな、ただ、性能その他全て機密で話すことはできない」
「やっぱりそうか、俺もプラスエンチャントの武器欲しいなぁ!」
「チナ殿か」
「ん?なにかあてがあるの?」
「チナ殿はプラスエンチャントの魔法が使える」
「え!?ほんと??ものすごいレアだよ??武器屋で売ったら百金貨だよ?」
「まあ、私もパーティーで顔を合わせたくらいだから、それにあの魔法はちょっと危ないらしくてな」
「簡単には頼めないか、それは高値になるよな」
「カガ、あまり困らせるな、プラスエンチャントの武器は正規ルートで買おう」
「まあ、そうだよなあ、殿下の短剣のことを聞けただけでもテンションあがったし」
「部屋が一つ空いているから、サーシャの好きにしてかまわない、ヒロ、案内してあげて」
「ありがとう、でも、ここで寝泊まりすることはないと思うぞ?」
「ああ、かまわないさ、ただ、仲間だからって理由だ」
「こっちだよ、サーシャ」ヒロがサーシャの手をひいて客室へ向かった。
「ヒロ、ちょっと手を見せて」
「ん?はい」
サーシャはミスリルロッドを手に集中している。ラ・ケアの術式を詠唱しているようだが、マリのものよりも強烈な光が両手に注がれる。
「はい、これで大丈夫なはず」
「あ、傷跡が、なくなった!」
「女の子なんだから、気を付けて」
「ありがとう・・・」ヒロはサーシャに抱き着いた。
「良かった、少しは役に立てたみたいね」
「ううん、本当にありがとう」
「そんなに感謝しなくても、パーティーの一員だから」