第18話
三月六日、集団演習の試験日である。
集団演習は前衛と後衛を登録した後抽選で組み合わせがあり、パーティー訓練だが採点は一人ずつ行われる。
集団演習は一組十分、前衛による模擬攻撃と後衛による模擬攻撃、魔法使いの場合は攻撃魔法、補助魔法、もしくは回復魔法、前衛、後衛の連携などを見る。仮想敵は木の人形であり、ロープによってかなりの速さで動く。
レイガとカガは採点係、マリは救護室、ヒロは昨日と同じ総合受付だった。
人数が多いため四組同時にスタートし、次々と受験生パーティーが試験を受ける。
最後の試験だけあって、受験生もかなり気合が入っている。
この日はこれといったトラブルもなく過ぎて午後五時には全て終了した。
四人は総合受付で集まると、ギルドへ向かった。
「今日の試験官、終わりました」レイガが受付カウンターへ申請する。
「はい、ご苦労様でした、ギルドカードを提出してください」
四人はそれぞれギルドカードを提出する。
「確認しました、ギルドカードを返却します。今回は五十ポイントが付与されます。報酬は口座のほうに振り込まれます」
「よろしくお願いします」
四人は、部屋に戻ってきた。
「疲れたー、先に風呂入るな」カガは帰るなり風呂へ向かった。
「俺も次入るわ」
「二人ともお疲れ様、マリは見えなかったけどどうだった?」
「私は、今日のほうが大変だったかな、骨折した受験生がいて」
「あ、そうだったんだ」
「大変だったけど、ギルド試験の裏側が分かって良かったよ、来年はもうやらないけど」
「そういえばサーシャさん?だっけ、ちょっと特別だね」ヒロは挨拶をしにきた少女を思い出していた。
「見た目からしてインパクトありすぎだろ、協調性なさそう」レイガがひどい評価をする。
「どうかしら、トリプルマスターか、魔法使いとしては尊敬するけど」マリは魔術院から正式な認定はもらっていない。
「たしか、炎と雷と水のマスターだよね」ヒロが思い出す。
「今日の集団演習でなにかやらかすかと思ったけど、そつなくこなしていたな」レイガは刀の手入れをしていた。
「皇子親衛隊に選ばれたのは魔術の才能だけじゃないと思うな」マリはサーシャのことを高く買っているようだ。
「ヒロはサーシャのことどう思う?」
「私、あの子のこと少し知っているんだ、近くの村だったから、あの子も私と同じ、戦災孤児」
「そうなのか」
「多分、向こうも私のことを知っているわ、あの人のほんとの娘じゃないことも」
「サーシャの考えが分からないが、少し難易度の高いクエストをやるときにパーティー組んで欲しいんだよな、今のままじゃ戦力不足だ」
「皇子親衛隊か、クエストをやっている時間はあるのかな?」ヒロが当然の疑問を口にした。
「無理かな?まあ、合格したらあいさつに来るだろうから、その時にでも確認してみよう」
「レイガ、風呂空いたぞ」
「はいよ、じゃあ入ってくるわ、お二人さん」
「いってらっしゃい」