第14話
四人はオーガニアのギルドへと戻った。
「お疲れ様にゃ」
「これがクエストカードです」
「確認しますにゃ、ロビーで待ってるにゃ」
「ふー、本当にしんどかったなー」カガはソファーでぐったりしていた。
「ほんとに、きつかった、マリ、ラ・ケアありがとう、あれだけ使ったらしんどかっただろう」
「だいじょうぶ、それよりヒロ、腕の傷、跡にならないかな・・・」
「大丈夫だよ、ありがとう、カガありがとうね、オオカミの時、ちょっとドキッとしたよ」
「え?ああ、ヒロみたいな子どもに言われてもなぁ・・・」
「なに、文句あるの?」ヒロの声がかなり低くなっていた。
「いあ、あれだ、あれ、なあレイガ」
「あ、そうだな、ヒロに言われたら感謝しなくっちゃ、もうね、涙でそうな感じになったんだよな、カガの照れ隠しだよ」
「あっそ、もう二度と言わないんだから、ぷん」
「アービィ旅団様、アービィ旅団様受付カウンターまでお越しくださいにゃ」
「お、呼ばれたな」
「クエスト終了の確認が取れました。報酬は口座に振り込みますが、ポイントはどうなさいますかにゃ?」
「たしか七百ポイントですよね?」
「はいにゃ」
「最低五十ポイントは振らないといけないんですよね?」
「ですにゃ」
「それなら、レイガ五十、カガ五十、マリ三百、ヒロ三百にしてください」
「確定でいいですかにゃ?」
「はい」
「少々お待ちくださいにゃ」
「これで四人ともシルバーランクだな!」カガが興奮していた。
「受けられるクエストが増えるんだよな、でも、今回のきつさを考えたらあまりきついのは勘弁」
「誰だかメノ・インヴォースの調査行くとか言ってなかったっけ?」
「絶対行かない」
「処理が終了しましたにゃ。おめでとうございますにゃ、マリさんとヒロさんがシルバーランクになりましたにゃ」
「ありがとうございます」
「とりあえず、何日か休暇を取ろう」レイガが提案した。
「いいね!どっちにしても次の飛空艇は二日後だし」カガも賛成だった。
「今回はクエスト報酬をはるかに超える臨時収入があったから、ホテルに泊まりましょう」マリがざっと帳簿を見ながら言った。
「ちょっと計算しただけでも普通の家庭の四年分くらいの臨時収入になってない?」レイガが帳簿を覗き込む。
「あんたらが持っていたらすぐに武器だなんだって使うでしょ?ロマンとか、マリに全て任せなさい」ヒロが正論を言う。
「せめて臨時ボーナスとかほしいなぁ」カガが自分の巾着を見ながら言う。
「それなら、レイガから飛空艇の十銀貨返してもらえるはずよ」マリが冷たく言い放った。
「十銀貨かぁ、短剣一本じゃん・・・」
「牙と目玉をラーのオークションに出せばかなりの金額になる、それをみんなで分けよう」レイガが提案した。
「まあ、そうね、今回は現金収入が多かったから、そっちはみんなで分けましょう」マリもそこは同意してくれた。
「やったー!プラスエンチャントの短剣欲しかったんだよ、噂ではラ・カーム殿下の短剣は一振りでイグニクェトゥアの軍団を全滅させるらしいぜ」カガは目をキラキラさせていた。
「ほんとか?しかし、プラスエンチャントの武器は外れがないよな、団長のやつもすごいし」レイガも魂が武器屋に飛んでいた。
「ほんとにロマンばっかりね、男はこれだから」ヒロが溜息をつく。
「ヒロはまた貯金?」マリがたずねる。
「うん」
「団長のため?」
「そう、あの人はいっつも戦場の一番危ないところに突っ込むからさ、間違って足の一本でもなくすかもしれないでしょ?それでも、あの人貯金なんてしないどころか、部下や部下の家族のために全部使っちゃうんだもの、私がちゃんとしてないとね」
「なにかあったら国がちゃんとしてくれるわよ、英雄の中の英雄なんだもの、ヒロはもう少しお金使ってもいいんじゃないかな?」
「う・・ん、体を守るプロテクターくらい買おうかなって思った」
「ヒロ、それなら一番いいプロテクター買ってやるよ」レイガがヒロの腕を見ながら言った。
「え?いいの?」
「ああ、それは必要経費だ、俺が出す」
「ん、ありがとう、レイガ」
「マリ、近くのホテル予約してくれ、細かいところは任せる」
「はい、行ってきます」
「あー私も一緒に行く!」ヒロがマリのあとを追いかける。
「今回はきつかったな」カガが呟いた。
「ああ、シルバーランクで留まるのも一つの道だな、次のミスリルランクまではまだまだだし、今回以上のクエストとなると他のパーティーと合同でやるか、新たにパーティーメンバーを加えないといけないかもしれない。まあ、プラスエンチャントの武器でも持っていれば別だけどな」
「牙と目玉、いくらで売れると思う?」
「良くて、五十と二十か、合計で七十金貨だな」
「それを四人で分けたら二十金貨ないのか」
「そうなるな」
「それじゃ、プラスエンチャントの武器は買えないな」
「ああ、外れのやつなら買えるかもしれないが、意味がないからな」
「まあ、今後のことはお前さんに任せるよ、レイガ」
「りょうかい、今のパーティーは最高だよ、役割分担からみんなの呼吸も合わせてな、だからなるべく四人のままでクエストはこなしたいんだよな」
「そうだな、ゆっくりしようぜ、大将」
「だな、冬の海でもみんなで見に行くか」