第13話
「今回は楽勝だったな」
「だな、ここのお宝は?」
「サイクロプスの目だな、牙ほどじゃないが高く売れるはずだ」
「巾着に入っている金貨は三枚みたい」言ってマリが金貨をしまう。
「ジェニファーさん、この先にオビアヌスがあるはずです」
「はい、みんなありがとう」
サイクロプスの奥にあった扉を開けた。
そこには、一面に白い花が咲いていた。
ラ・カーム王国では見たことがない花だった。これがオビアヌスであろう。
ジェニファーは花を一輪摘み、バスケットに入れた。
「ありがとう、みんな、本当に」
「まだ安心しないでくださいね、ダンジョンから出るまでは危険です」
「はい、頼みます」
一行は来た道を引き返し地下一階への階段まで戻ってきた。
「やっぱり地下一階のほうが危ないな、カガ頼む」
「あいよ」
カガからの合図を待って地下一階へ上がる。
東へ、注意を怠らずゆっくりと進む。
どうにかスライムの部屋まで戻ってきた。
「休憩したいが一気に行こう」
そのまま東へ
二月二十二日十三時二十分ついにダンジョンから地上へと抜けた。
「馬車も無事か」一同は安堵の溜息をつく。
「帰りも俺がやる」カガは御者台へと向かった。
「とりあえず離れよう」一行は乗り込んだ。
帰りの馬車はさすがに全員疲れているのか言葉も出なかった。
夕方となり、サース邸に馬車が到着した。
「みんな、本当にありがとう、私にとってはこの花はとても大切なの、なんて言ったらいいか、今度はギルドを通さないで依頼するわ、それと、マリさん、これを受け取って、みんなで分けてね」
マリに金貨が数枚渡された。
「ありがとうございます、ここに署名をもらえますか?」マリはクエストカードを提出した。
「もちろん」
「短い間でしたが、お世話になりました。ギルドでの手続きもあるのでこれで失礼いたします」
「本当にありがとう、みんな、また会いましょう」