第11話
カガ、レイガ、ヒロの順番にオオカミに迫る。オオカミもパーティーの役割が分かったのか、前衛の三人よりマリとジェニファーを襲うように動く。
しかし、オオカミは女王護衛の二匹が離れられないため、自由に動けるのはすでに一匹となっていた。
三人はその一匹から狙う。
カガがまるでオオカミのような速さで間合いを詰める。
オオカミが距離を取って後退する。オオカミと前衛とマリたちの中間地点でレイガはヒロを待たせる。後方への攻撃を恐れた。
カガとレイガでオオカミを追い詰める。
オオカミは女王オオカミと護衛オオカミに合流する。
四匹が固まったことで後方への攻撃はなくなった、レイガはヒロを呼ぶ。
さっきの反省からか、カガは左手に短剣を持ち二刀流になった。
オオカミ達は飛び道具を警戒し、八の字を描くように絶えず動いている。
カガが動こうとした瞬間、それまで目立った動きをしていなかった女王が動き始めた。
巨体に似合わない速さ、護衛の二匹もそれに従う。
ヒュッ
ヒロの弓が左の護衛を狙った、が、ヒロの弓が初めて外れる。
「まずい、マリ達のほうに走るぞ」
三人の間を抜けてパーティー後方へ三匹のオオカミが走る。
まず、カガが反応し、全速で女王の下へ、ヒロの弓を警戒しまっすぐに走っていない分間に合った。
カガの剣が女王の後ろ足付け根に刺さる。
女王と護衛の足が止まる。
その瞬間、ヒロの弓が一匹の護衛を貫いた。
もう一匹の護衛が態勢を整えている間にレイガが間に合い対峙する。
ヒロがもう一匹の護衛に矢を放とうとすると、残っていた一匹がヒロに襲い掛かってきた。
間一髪で避ける。
間合いを詰められると弓は扱いにくい。それが分かっているかのようにオオカミはヒロに連続して攻撃をしかける。
「カガ、ヒロのほうに」
カガは姿勢を低くして走る。
手負いの女王と護衛はその隙を見逃さずレイガへと攻撃をしかけてくる。
大きい
三メートルある女王の大きさと速さ、一撃の重さに体が震えた。
さらに護衛もまるで一体のような動きをしてくる。
牙と爪をガードするのもやっとだった。
オオカミの攻撃をぎりぎり避けているのはヒロも同じだった。
両手はオオカミの爪で無数の傷がついている。
何度目かのオオカミとの対峙の時、カガが間に合った。
「待たせた」
「待った」
カガの出現に戸惑った瞬間、短剣がオオカミの喉を切り落とす。