騒々しい夜
その日の夜、クロニクルはドーン帝国の南にある都市、アルフェリアに来ていた。
「まずは、手配されたホテルに泊まり、朝になったら、食料などの必要なものを調達する。そして、夕方になったら駅で汽車にのり、西のオクスにまで行く。ここまでで何か質問はあるか?」
長い説明を終えて、シンが聞くと、
「その、朝に調達するってことは、それが終わったら自由行動ですか?」
と、ディルアが目を輝かせて聞いてきた。シンが首を縦にふると、ディルアが笑顔になった。シンは、異国での買い物をしてみたかったのだろう、と勝手に想像をした。ホテルに着くと、中が騒々しかった。
「持ち物の検査をしています。現在、戦争中ですので、敵国の兵が紛れていてもおかしくありません。失礼なのですが、協力を必ずお願いします。」
クロニクルにとって、これはかなりまずい状況であった。自分たちが西側の攻略、という命令以前の問題であった。こんなところで足止めなどあってはならない。そう思い、一行がホテルから出ようとすると、
「君たち。待ちなさい。」
帝国軍の兵士に声をかけられた。仕方なく応じると、
「君たちは帝国の紋章をつけていないね。君たちみたいなどこから来たかわからない人達がいるから、我々が苦労するのだ。向こうで事情聴取するから来なさい。」
ここまできては、もう手段を選んではいられなかった。シンが、兵士の手を弾くと、
「各員、3つのチームになり、この場を離脱せよ。集合は後で伝える。それまでは、絶対に捕まるなよ。」
「了解」
クロニクルのメンバーが全員返事をした。
こうして、クロニクルの平和な日は終わりを告げた。