決闘
フィード草原につくと、お互いに自己紹介を始めた。
「どうせ、俺が勝つが、相手の名前を知らなきゃ意味無いからな。教えてやるよ。俺はスバル・イルバ。13の頃から軍に入ってるぜ。武器は刀だな。魔法は苦手だからあんま使わん。」
スバルはニヤニヤしながら言った。
「俺は、シン・アスタルテ。片手剣を使う。始まる前に一つ言ってやる。お前が俺に勝つなんて、万が一にもありえない。」
その場が凍りついた。そして、大爆笑。
「お前が俺に勝つとか。ありえなさすぎ。」
両者が武器を構える。辺りは静寂に包まれていた。
「戦闘、開始!!」
両者は、ほぼ同時に動き始めた。やはり、動きはスバルの方が速かった。しかし、シンもそれに劣らぬ速さでついて行っている。その速さは物理限界を超えていた。速すぎるが故に辺りには残像が残っていてどれが本物なのか分からなくなっていた。すると、突然甲高い金属音が止んだ。どうやら決着がついたようだ。誰もがスバルの勝ちだと、そう思っていた。しかし、そこに立って見下ろしていたのはシンだった。
「そんな…なんで俺がこんなやつに。」
スバルが悔しそうに呟いた。シンはそれを聞きとり、言い返した。
「人を見下してるやつなんかには負けない。そもそも、実力差は戦ってたお前が一番よく知ってるはずだろ?俺がお前についていってたんじゃなく。お前が俺に付いていってたはずだ。違うか?」
スバルは疑うように聞いてきた。
「そうだったんだな。どうりでなんか引っかかってたわけだ。でも、なんでお前ほどの実力者が、一般兵なんだ?お前の実力なら、指揮官とかをやっていてもおかしくないだろ」
「俺は本気を出していないと言っただろ。つまりはそういう事だな。」
シンの発言に対して疑問を抱きつつも、それを口にしなかった。それからのスバルは気持ちがいいほどにシンを慕っていた。
「それほどの実力を持っているなら、なんも言えねーや。久々に負けた気がするわ。てなわけで、俺は認めるぜ。あんたが遊撃特務部隊、隊長だ。よろしくな。」
皆がしたってくれるってこんなにもいいことなのか。
そんな気分を味わった1日だった気がする。