決別
スバルたちは、ドーン帝国所属部隊と一緒に逃げているところを目撃してしまった。その場面はシンやティアがスパイだったということを裏付けてしまっていた。
「お前…俺たちのことを裏切ってたのか!どうしてだよ!俺たちはそんなに信用出来ないのか?」
スバルは微かな希望にすがるような目で見つめてきた。しかし、シンは冷たく突き放した。
「誰が、なんと言おうと、これが俺の選んだ答えだ。誰にも、曲げさせはしない。」
スバルの目から光が消えた。
「だったら、俺たちと戦う準備は出来てるんだろうな?武器も持っていない状態で、勝てると思ってんのか?」
スバルが怒りに満ちた声で言った。
「ああ。俺はいつでも戦えるよ。」
シンはそう言うと、右手を前に出して、
「全てを切り裂け。セラフィータ!!!!」
シンは右手で剣を握ると走った。スバルも剣を構えて待っていた。2人は同時に剣を振り上げると、切りつけた。シンは剣が交わったのと同時に後ろに飛び下がった。すかさず、スバルが切りに来た。シンはその剣を左手に展開させていた火の魔法、フレイムで受け止めると、仰け反ったその瞬間に剣を横に振った。スバルは、仰け反ったのと同時に、後ろに飛び下がり、辛うじて回避することが出来た。
2人の攻防には戦争以外の意味を含んでいて、マルトやティアには介入することが出来なかった。マルトやティアが見守る中、決着が訪れた。シンがスバルの剣を弾くと、首元に剣先を当てた。
「俺の勝ちだ。負けを認めろ。」
シンは落ち着いた声で言った。すこし、息があがっていた。すると、
「ここにいるの俺だけじゃないんだよね。」
スバルはニヤリと笑った。それと同時に、1発の銃弾が飛んできた。寸前で交わしたシンはすこし体制を崩してしまった。
「(あの時の銃弾は今のやつが…)」
避けたのと同時にその考えにたどり着いた。銃弾が飛んできた方を見ると、そこには、カイトと王宮騎士団のメイジア・ファルトが立っていた。
「今のは惜しかった。向こうの方が何枚か上手だったんだろう。お前は悪くない。」
カイトがそういうと、
「そんなの分かってるよ。なんも言うんじゃねーよ。」
メイジアはそう言った。近距離にはスバルが、遠距離にはカイト、メイジアがいるこの状況を危険と感じたシンは、
「逃げよう、マルト。俺たちはどこまで行けばいい?」
すると、マルトは
「分かった。もう少し耐えて。あと少しで来るよ。」
マルトが言ったのと同時に、後ろから銃弾が飛んできた。しかし、今度はシンを通り過ぎ、カイトの方に飛んでいった。
「待たせたね。」
聞こえた方を向くと、そこにはレグルスのメンバーが立っていた。




