シンの過去
「は?な、何言ってんだよ。それじゃあ、俺はエルってやつとも友達だったってことか?」
シンは動揺しながらも、冷静に聞いた。
「そうだよ。あなたと…私と…彼女…は…昔…とても…仲が……良かった。」
「じゃあ、お前らは俺の過去を知ってるって言うのか!」
「そういうこと。でも…12くらい…からの…あなたのこと…なら…ドーン帝国…の…ほぼみんな…が知ってる。」
「そ、そんな。なんでそんなに知ってるんだよ。おい!教えてくれ。俺の生まれはどこなんだ。俺はなんで神衣なんてものが使えるんだ。なぜお前達は俺のことを知っている。俺はどうして記憶を失った。俺は一体…何者だ?」
銀髪の娘は、首を振ると最後に、
「また…会えてよかった。まだ…分かり合えるよ。」
人間らしい笑顔を見せて、彼女は消えてしまった。シンはようやくたどり着いた、自分の過去に少し恐怖を覚えていた。
「(もし、俺がドーン帝国の人間だとしたら、あいつらは変わらず、受け止めてくれるのだろうか。)」
シンが色々なことを考えてるうちに、いつも帰っている時間を過ぎていることに気づいた。シンが慌てて部屋に戻ると、そこにはティアがいた。
「私、王位を受け継がなきゃいけないの。どうしたらいいかな。シン。私には無理だよ。もういっそ、シンに受け継いでもらいたいよ。」
シンはビックリして、
「そ、それって、プ、プロポーズ?」
ティアは顔を真っ赤にして、顔を手で覆ってしゃがみこんでしまった。
「ちっちがうの。べ、べつにそういうつもりじゃなくて-」
「ありがと。ティア。でもね、王位はティアに持ってて欲しいな。だって、その方が安心出来る。それに、君の最強の矛にもなれる。俺はそういう存在でいたいな。」
シンは言い終えると、ティアの頭をポンポン叩くと、
「だから、任せたよ!」
「分かった。やってみるね。」
今まで見せたことのないくらい眩しい笑顔だった。
俺はこんな笑顔を守りたい。そう思った。




