プロローグ
街の住人たちが寝静まった頃、とある廃工場にてで一人の男とそれを囲む30人ほどの集団の姿があった。
いや、もっと詳しく表現するのならば、一人の男とその周囲に倒れている30人ほどの亡骸だ。
『任務完了。目標は全員始末した』
『了解。後処理はこちらがやっておきますので、帰投してください』
『了解』
通信を終えて男が消え去ったそこには血の臭いが残っていて、その匂いも緩やかに吹いた風が拭い去っていった。
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少女は夢を見ていた。
あれは6年前のことだった。家族に追放されて路頭に迷いさまよっていたところを研究所から脱走してきた人工魔獣に襲われて逃げまどっていて、殺されそうになっていたところを1人の少年に助けられたのだ。親に捨てられて世界に絶望しかけていた自分にその少年は『世界のことを何も知らないくせに勝手に絶望するな。それにどんなに周りがお前を見捨てて忘れようとも、俺だけは覚えといてやるからよ』と、そう言ってペンダントをくれた。
今でもその少女はときどきそのを見て、寂しさと温かさを覚えている。
時は2170年。ここは異能と科学の世界、地球。今日もどこかで異能者たちの戦いが始まる。