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二人寄れば文殊の知恵  作者: ニルス・オーラブ三世
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プロローグ

「光秀よ、お前のことだけは絶対に許さぬ、絶対にだ」

燃えていた。眼前のすべてのものが炎に包まれ燃えていた。

何故だの、どうしてなど今更聞いても答える相手もいない。

わずかな手勢の兵たちももう帰ってはこれない。

「ああ、寺の焼き討ちなんかしたから罰が当たったのかな、来世では神様だけには手を出すのはやめよう」

そう自分に言い聞かせながら信長は目を閉じた。








「ここはどこだ?」

目を覚ますとそこは、昔フロイスという宣教師が建設しよう言っていた教会のような場所だった。

そしてあたりには20人くらいの人が同じく呆然とたたずんでいた。

南蛮人がほとんどであり、おそらく日の本の人間は自分のみであった。

「そうか、仏には見捨てられたがキリストは拾ってくれたのか」

まあそうか、と納得もしつつこれから行くところに光秀は来ないのかと肩を落とした。

もしあいつが来るようなことがあったらいじめぬいてやる。

具体的には白飯に虫を入れたり、厠に入っているときに後ろから大声で脅したり....

「はぁ、なんでだよ本当、結構あいつの面倒見てきたつもりなんだけどなぁ....」

なんとも言えない気持ちになりだんだんと気が滅入ってきたその時だった。

「はい、皆さんこんにちはみんなのアイドル、天使ちゃんです!!!」

突然大広間のど真ん中に天使を自称する羽の生えた金髪の南蛮人の少女が現れた。

信長はこの時、南蛮人や宣教師を保護していたことを猛烈に後悔した。

「みなさんはご察しの通り死んでしまわれました」

「特にここにいる方々は大志を前に亡くなってしまわれた方々です。」

「なので寛大な心をお持ちのわれらの主は皆さんにチャンスを与えてくださりました!!!」

「これから皆さんには別の世界に行ってもらいそこで新たな人生を歩んでもらいます!!」

何を言っているんだこの天使とやらは。

別の世界とは何だ。もし天国にいったら光秀やほかの家臣、はたまた自分より早く逝った者たちと会えるかもしれないのに。別の世界とやらにいってしまったらそやつらに会えないではないか。

お願いしたら天国に行けるのではないか.....

「あ、ちなみにあなたたちに拒否権はないです!」

は?

これが天使か、よし焼き討ちだ。

ほかの南蛮人たちもこれを聞いてすこしざわついている。

「はい~静かにしてくださいね~」

「だいたいあなたたち本来なら地獄送りなんですからね」

「そこをわきまえてくださいね~」

そう天使は口だけは笑いつついった。目が笑っていない、怖すぎる。

まあそうだよなぁ、忘れてたわけじゃないけどわし第六天魔王だしなぁ.....

ほかの南蛮人たちも思い当たる節があったのか静かになっていた。

「えーとそれでですね、別の世界に行くにあたって寛大な私は二つほど特典をつけてあげました~」

今この天使自分が寛大って言ったよね。やっぱこいつ偽物じゃね、焼き討ち確定じゃね。

「一つはあなたの世界にあったのも何か一つ持ってっていいですよ~」

「あ、もちろん人とか土地とかはダメですからね」

「別の世界は危ない獣とかがあふれているので、武器とかがおススメですね!」

「二つ目は一人で行くのもさみしいでしょうしこの中で二人組を作って同じところに飛ばしてあげます!」

「もちろんこれも拒否権ないんでちゃんと決めといてくださいね~」

「じゃあ決まったペアから私のところに来てください!!」


いや、そんなこと急に言われてもこの中、南蛮人しかいないし。

こいつらつれてっても日の本の話とかできないじゃん!!!

さみしいなぁ、まあそうしたら家来として使えそうなやつでもつれてこうかな。

とりあえずこの隣でぶつぶつ言ってる南蛮人に声をかけてみようかな。

見るからに禿げ散らかした小太りのぶつぶつ言ってる危ないおっさんだけど、話してみないとわからないよね。

それに第六天魔王の勘でいうとこいつは有能な気がする。それもかなり。



「くそ、ネイめなんであそこで突っ込むんだよ、それにグルーシーもだあの時あいつが引き返して来れば俺は今頃...」


「あの、すみません織田信長ですけど....」

「ああ、一緒に行く人?俺おまえとなら行ってもいいよ」

「え、ちょっとどうします?みたいな話しに来ただけなんですけど」

「いや、だってお前見るからにいい感じのところで部下に裏切られましたって目してるもん」

「いやぁ、それほどでもぉ」

なんだこの禿げデブ、意外と見てるじゃないか。やっぱ自分の勘は信じるもんだ。

「それにそういう奴なら俺の愚痴聞いてくれるかなって」

やっぱりこいつはやめとこう、面倒くさそうだ。

勘なんてあてにしてるから謀反されるんだよな。

「待ってくださいお願いします、そんな無言で立ち去ろうとしないでください」

「自分それなりに役に立つんで、なんでもしますからぁ」

ん?今なんでもするって...

「今なんでもするっていった?」

「言ってないかなぁ....」

「それじゃ」

「いや待って、言った、この際言ったってことにしていいから」

「お願いだから一緒に来てください」

これ以上このおっさんに絡まれるのも嫌だしちゃんと話をしてあげよう。

それにこの信長様をここまで引き留めるとはこいつ意外とできるやつかもしれぬ。

「なんでそんなに一緒に来てほしいの?もしかしてそっち系のひと?わしに惚れちゃった?」

そういった瞬間目の前にいたおっさんの目が鋭くなった。

「お前には似たものを感じる、大志があり、なおかつ俺と同じくそれに向かって突き進んだ、そういった目をしておる」

そこには先ほどまでの禿げ散らかしたおっさんと呼べるものはいなかった。

ただ自分と同じ目をしたライオンのような禿げ散らかしたおっさんがいた。

あれ?結局禿げデブじゃね?

まあわしもちょんまげしまくって髪の毛あんまないけどね!!

「それに何よりお前となら別の世界でも大きなものを築けそうな気がするんだ」

「それは国でも富でも酒池肉林でも、なんであれ」

最後の違いますよねそれ、そういうことすると謀反されるって信長知ってる。

「まあ、そんな感じだ信長、一緒に来てくれないか?」

「よかろう」

迷う暇などなかった。最初に感じた自分の勘は正しかったのかもしれない。

いまだにこいつが何者であり、何をしてきたのかはわからない。

ただ先ほどからこいつの目は確かに自分と同じものであり、何かを成してきた目である。

そう確信しつつ信長は返事をしていた。


「じゃああの天使のとこ行くか」

「え、お前持ってくものとか決まってるの?」

「もちろん」

実は何か持ってけるものがあり、武器がいいと聞いた時から決めているものがあった。

「そうか、さすがは信長公だな」

こいつも決まっているのか、さすが自分が見込んだだけあるな。

ん?てかこいつの名前何だ?聞くの忘れてたわ。

もしかしたら有名な南蛮人なのかもな。

そう思っているうちに自称天使の前についた。

「あら、これは凶悪なペアですね」

「そうだろう」

「いやなにそれ焼き討ちくらいしか悪いことしてないよわしは」

「「それはない」」

同時に言われた。なんだこのおっさん天使の仲間か。

「それじゃあ二人とも何持ってきますか?」

「あ、ベルティエとか秀吉とかなしですからね」

「種子島!!!」

「シャルルビル!!!」

「あぁ~なるほどね、やっぱりそうなりますか」

天使はそう納得したようにつぶやいた。

ていうかシャルルビルってなんだ。南蛮人はやはりよくわからんな。

「じゃあ弾と火薬もなるべく多くもたせてあげますね~」

おお、やっぱり天使だな。焼き討ちはよしてやろう

「それでは、二人とも別の世界でも頑張ってくださいね~」

「くれぐれも虐殺とか焼き討ちとかだめですからね~」

天使はそういいつつ何やら呪文を唱えていた。

だんだんと光が自分たちを包んできた。

あ、そうだこのおっさんの名前を聞くの忘れてたんだった。

「おっさん、名前はなんていうんだ?」

光が強くなりもう何も見えなくなったときおっさんは言った。

「ナポレオン・ボナパルトだ」


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