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錯曲戦争  作者: やまかわまよ
【第1話】黒髪の青年
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1-7


「だからいい加減アレはやめろって! さっきも見ただろ? 国の取り締まりも厳しくなってきてる。このまま隠し続けられるわけねえよ!」


いつになく真剣な表情で言うカールの視線を避けるように、ルイは黙って俯いた。



―――言われなくても、わかってるよ。



そんな言葉が喉元までせりあがるが、ぐっと歯を食いしばり押しとどめる。

カールが、親友が、どれだけ自分のことを案じてくれているか。

その心痛を感じているからこそ、ルイは何も言うことができなかった。


「お前、ピアノでヴィルトー科の成績トップなんだろ? じゃあ卒業後の安定は決まったようなもんじゃないか。

作曲することは確かに音楽をする上で素晴らしい行為だけどさ、演奏するのだって同じくらい尊い行為じゃないのか? なんでそれじゃだめなんだよ」


歩き続けるルイの前に回りこんで懸命に話しかけるカールに気圧され、ルイはとうとう歩みを止めた。


「……やめようと、思ってるよ。やめなくちゃって思ってる。

そのために暇な時間は全部ピアノの練習に当てたり、頭が痛くなるくらい難しい本を読んだり、紙やペンを自分の近くに置かないようにしたりして……」


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