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透明な血を流すあなたへ

作者: 結衣

「見て、あの子泣いてる」


 その日、彼女は目から透明な液体を流した。同僚の心ない言葉が原因だ。しかし周りは同僚を咎めず、泣いた彼女を責めるような視線を向ける。


「あれくらいで泣くなんて」


 彼女は何も言わず、泣いたままその場を立ち去った。


 青年は彼女が心配で、こっそり彼女を追う。


 彼女は傷つき、苦しんでいるのだ。放っておくなんてできなかった。


 人は膝をすりむけば血が出るし、指を切っても血が流れる。つまり傷つけば赤い血が流れるのだ。


 彼女は心が傷ついたが故に泣いている。その瞳から流れる透明のそれは、血であるとも言えないだろうか。 赤ではなく透明ではあるけれど。


 彼女は今、透明の血を流しているのだ。


 指を傷つけて血が出た際に渡されるものが絆創膏ならば、心が傷ついて流れた血を止めるために差し出すべきは……。


「これ、よかったらどうぞ」


 青年は静かに彼女に声をかけた、柔らかなハンカチを手に持って。

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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして、西尾和也です!  拝読させていただきました。これだけの短い文で、人のっ感情というものがよくかけていたと思います。こういう発想好きです。 [一言]  泣いている時に優しくされ…
2016/02/06 21:57 退会済み
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