表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
革のかばんに原稿用紙  作者: たびー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/21

実体験を物語へと変換させることについて

あまり生々しくなく、でも説得力のある物語ってどう書けばいいのでしょうか。

私も分かりませんが(;^ω^)

 実体験を織り込むと、風味が濃くなると思います。

「いいたい事だけ書く」ならば、ブログや日記でいいわけで、そうではなく、その体験を物語にしたいと思うのはなぜか。

 実録だと、あまりに生々(なまなま)しくて書いている本人が当時の感情を思い出して落ち込む、あるいは特殊(特別)な体験を軸に書いたら面白そうだ、とか。そんな感じでしょうか。


 さて、こういう物語を書くためのエッセイなど書いておりますと「何を偉そうに」とか「じゃあ、あんたの実力はどれくらいなの? ずいぶん態度が大きいけど」と思われても仕方なく、正直先日の短編『On the bridge.』をあげる時にはガクブルでした。

 てなことを思われていなくても、自分自身が勝手に思って「ハードルあげちゃったなあ」というのが本心です。


 さて。

 自作にどれくらい実体験を織り込んでいるか。

 わたしは結構な割合、入れているかなと思います。

 たとえば『フルサトRadio』におけるコタローとオトウサン・オカアサンのやりとりは、私と両親との会話そのままです。

『追憶』にイタチが出てきますが、書いている最中に家のそばでイタチを実際に見ました(イタチの名前は近所の猫の名前です)。


 その他、経験した仕事は『書林ラビリンス』、あるいは友人から聞いた話は『月のみぎわ』の素になりました。


 今作の『On the bridge』は半分ほど書いて二ヶ月くらい放置していました。

 主人公の非常勤のやるせなさを書いていたら、同じく図書館司書時代非常勤だった時のことを思い出して、書いていられなくなったのです。感情移入しすぎ。

「ああーうわー!」って←号泣……

 そんなわけで、気持ちが安定せず放置しました。

 情けない。


 書くときには、書いている自分と読者である自分の二人を用意しておかないと、めちゃくちゃになるという典型です。入れ込む感情が強すぎて、制御できなかったんですね。

 では、こういった「愚痴」をブログに体験談として書いたらどうでしょう。

 なんか、恥ずかしい。

「わたしはこんな苦労をしました。虐げられました」とは、声高に言えないです(別に叫んでもかわまないでしょうが、私はちょっと)。


 いいかげん忘れかけていた先日。ポメラくんのファイルを確認したら残っていたので書くことにしました。以前よりは頭が冷えて客観的に見られるようになったと判断したので。

 初期の原稿には主人公の名前は出てこず、もっと一人称よりの書き方でした。前回書いていて座りが悪かったのはそのあたりにも原因がありそうだったので、名前をはっきりと出して三人称にしました。


 この話のポイントとして考えたこと。

「非常勤講師を続ける主人公がもう一度がんばろうと思えるようになって終わる」

 短いのでこれに絞る、と。それから

「残雪のエピソードを使う」

 いや、別に使わなくてもいいんだけど、初期段階から決めていたので。本や物語を入れることが好きなんでこれは完全に趣味。

 しかし、その「残雪」をうまく使えないということで前回は止まったという経緯があり、これは必要なのかどうかと、しばし悩みました。


 だいいち「残雪」のクイズを出す男の子と出会うことで、どうやって希望を見いだすのか。


 これがネックだなあと。なんでかなー、と。どうやったらいいのか、と思ったとき。

 男の子を迎えにきた父親がいたらどうだろうと思いつきました。

 親子の掛け合いから何か動かせないか。

 そこで、普通の親子ではなく、継父で若くてヤンキー、子どもは躾がよくて賢いという対比はどうだろうかと考えました。


 あ、なんかいけそうだ。と思ったとき、ヤンキー継父から「子どもからしたら、正規も非正規かわりない。どっちも先生」という言葉がポロリと出ました。

 これは、ずっとまえにバイトしていた時に言われた言葉です(わたしは教職ではありませんでしたけれど)。


 この言葉で主人公の心を動かせないだろうか。

 ついでに、継父と息子のほのぼのも入れよう(いや、入れたい。是非にも!←ホンとはいらなかったかも知れない。いまも悩むとこ)。


 と、いう感じで今度はあまり怒りをフィードバックさせることなく書けました。

 そして、ようやく完成。ふだんの自作のトーンよりすこし濃い目の風味になったような。好き好きが分かれそうです。


 実生活には切れ目がなくて、なんというか「オチ」は存在しないわけです。それに反して物語には「オチ」があります(どんな形にしろ)。


 そのオチをどうするか。きちっと片をつけるか、あるいは読み手にゆだねるか。

 ゆだねる為のさじ加減、難しいです。どの程度ならばいいのか。親切過ぎても不親切すぎても困ります。そのあたりもまだまだ考えたり経験を積んだりしないと掴めそうもないです。

 私はできれば、明るいくなくてもなんとかプラス方向に、そして余韻が残ったらいいなと思って書いています。


 その他、全体的に見渡して、エピソードを呼応させる。

 この作品の場合だと、「寒くて心まで凍りつきそうになってる→温もりを取り戻す」「交差点の向こうとこちら」「捨てたいと思っていたバッグを担ぎなおす」の三点。

 短い中にも、そういった回収が入ると、収まりがいいかなあと(このへんは好きずきでしょう)。



 難しいっす。

 あと一本、書き書けで放置しているものがありますが、こちらは糸口が見つかるのはいつの日か。



体験は物語として加工することで心の整理になるのかも知れません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ