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ウインドブレイカーFINAL

作者: らく風

人生20年間の記憶と苦悩と始まりのオリジナル小説。

  プロローグ



「これは大きいな・・・。」


僕はモニターに映っている映像をみて驚いた。


そこには巨大な隕石。まるでもう1つの月だ。


「これがウインドに向かって来てるんですか?」


ガーネットさんに尋ねた。


「正確にはこの巨大隕石が、ウインドの真横を通り過ぎるだけよ。大丈夫よ、ウインドとはぶつからないわ。」


そう言って、


「今年のクリスマスは綺麗な流れ星が見えそうよ。」


ガーネットさんは笑った。


「いや、笑ってる場合じゃ無いでしょう。もしこれが落ちてきたら・・・!」


こんな隕石が落ちてきたら、ウインドは確実に滅亡するだろう。それなのに・・・。


「何か対策はしてるんですよね?」


「対策とまでもいかないのだけど、軍には常時待機してもらっているわ。」


そう真面目に言って、


「・・・大丈夫よ、楽風君。ウインドの技術力は知ってるでしょう。私達はすべてのパターンを考え、計算し、それで安全だと解り、こうして幸せを過ごしているの。・・・この先、永遠に続くように・・・。私達は常に前を見てるわ。先の事を考えてる、思ってる。未来を想ってる・・・。安心しなさい、この巨大隕石はウインドにも地球にも、落ちはしないわ。」


僕は最後に、


「もし隕石が落ちてきた場合は?どうあの巨大な隕石を止めるんですか?」


「・・・考えてあるわ・・・。」


ガーネットさんの言葉に少し不安を覚えた。


「その考えは・・・?」


「・・・楽風君。あなたも分かってるでしょう。」


ガーネットさんは僕を見た。


その目には、涙が見えた。


「・・・人の手で、あの隕石は止める事はできないわ・・・。」




  1.[冬の訪れ]



街はクリスマスが近い事を知らせるように、音楽が流れている。そして街全体が輝いている。


私は胸が高鳴った。


「真っ赤な、お鼻の~~~、トナカイさんーが~~~。」


私は街へと溶け込んだ。


ピピピ・・・!


私の携帯が鳴った。


・・・直人からだ!


私は直ぐにでようかと思った。が、まずは深呼吸・・・。


「すーはー。すーはー。」


・・・ヨシ。


きっとクリスマスだ。クリスマスを一緒にどうだい、とかなんとか・・・!


きゃーーー!


・・・まてまて。私がそこで喜んではダメだ。ここは大人の女性の答え方をしなければ・・・!


・・・直人となら一緒になっても良いよ。


「ぶほーーーーーっ!!!」


周りがこちらを見た。


私は笑顔を見せ、下を見た。そして靴紐を直す振りをした。


ピピピ・・・!


さぁ、真凛。でるわよ!


「もしもし、直人?」


「真凛。今大丈夫かい?」


「・・・大丈夫だけど?何?」


「・・・そのちょっと・・・。」


「何?はっきりしなさいよ。・・・言いにくい事なの?」


「まぁー、そーなんだ。」


ドキッ。


あぁ・・・!私は幸せものだ・・・!


「私は全然平気だから。・・・言って良いよ。」


ドキドキ。


「・・・真凛。伝えたい事があるんだ。」


「・・・。」


「明日から・・・。」


・・・はい?


「明日から、フレンド軍WE1番隊はウインドに集合する事になった。」


・・・コ!


「だから準備しといて欲しい。」


「コ・・・!」


「・・・え?何、真凛?」


「コローーース!!!」


私は周りの視線に構わず、叫んだ。


    ・


「それにしても、どうして私達WE1番隊がウインドに集まるんだろ?」


仕事を終え、エンジェルハウスで私達はお茶していた。


「ねー、綾。何か知ってる?」


私も詳しくが解らないが、たぶん隕石の件だろう。


「それはもしもの事態にならないよう、私達が呼ばれたんでしょ。」


「あーー!せっかくのクリスマスは仕事だぁーーー。」


「・・・どうせ暇でしょ。」


・・・静。それは言っちゃダメでしょ。


「・・・おぉ、静。言うねぇ。けど暇じゃないんだな~~。これが。」


里香は誇らしげに言った。そして携帯電話を取り出し、


ピポパポ。


「あー、真志。悪いけどクリスマスは一緒に過ごせそうにないの。仕事が入っちゃて・・・。そうなのー。だから今度の休みは・・・。え・・・。ちょっと・・・、ちょ・・・、オイ!」


・・・。


・・・。


「クソがーーー!」


・・・さてと。


「もう遅いし帰りましょ。明日の準備しなきゃ。」


私は席を立った。


「・・・そうよね。」


静も立った。


「・・・もう一軒行こ~~~!」


里香はテーブルの上から離れない・・・。


「・・・付き合ってあげるから行くわよ、里香。」


「綾~~~!」


里香が私にしがみ付いた。・・・ホント困った。


「・・・はぁ。」


私と静は溜息をついた。




  2.[任務]



「今回のウインドへの任務を説明する。各自、着席。」


モニターに巨大隕石を映し出す。


「皆も知っての通り、ウインドに隕石が向かっている。ただの隕石なら問題ないのだが、これがまた大きい・・・。大きさは、月を一回り小さくした巨大隕石だ。それが年内にはウインドを通り過ぎると予測されている。」


モニターに隕石の通るであろう予測ルートを映し出した。


「・・・大丈夫そうじゃない。これならウインドには衝突しないわ。」


真凛は率直に言った。


「・・・だがこれはあくまでも予想ルートだ。この通りに進むとは限らない。」


僕は真凛を見て言った。


「楽風君はウインドの計算を信じないと言うの?」


静さんの問いに、

「そうじゃない。もしもの事を考えて、僕達は宇宙で待機する。」


静さんは溜息をついた。


「・・・楽風君。隕石が曲がるとでも言うの?ましてや、あんな巨大隕石、そこら辺の障害物に当たったって軌道を変えないわ。」


僕は黙った。そして、


「・・・なら静さん。こんな巨大隕石が何故、存在すると思いますか?」


静さんは言葉がでなかった。


「僕は今回の巨大隕石の存在に疑問を抱いている。何故あるのか?・・・今回の任務は巨大隕石を調査する事もある。」


僕は皆を見回した。


「僕達は未来を築き上げなければならない。今だけじゃ、ダメなんだ。あの隕石を調べる事で何か分かるかも知れない・・・。僕達は知識が必要だ。そこから未来が広がると、僕は思う。」


そう言って、


「以上を持って、会議を終了する。」


すたっ。


ビシッ!


会議が終わり、今まで黙っていた吉住さんが歩み寄って来た。


「・・・良く成長したな、楽風。・・・赤坂も喜ぶぞ。」


「僕は赤坂さんの凄さを思い知りましたよ。・・・ホント、僕はなんてバカな事を・・・。」


もしここに赤坂さんがいたら・・・。


「・・・まだお前は若い。赤坂だって、お前と同じように何度も躓いてきた。・・・経験じゃ。赤坂は最後に、お前に教えたかったのかも知れないな・・・。」


「・・・何をです?」


「・・・現実をな。」


僕と吉住さんしか残っていない会議室で、僕達は赤坂さんとの思い出話をした。


    ・


「直人君、遅いよ。」


ウィーアーに乗り込んでブリッジに上がると、綾さんに怒られた。


皆、各自持ち場に着いていた。


「・・・まだ出発時間はきてないけど・・・。」


そこまで言って、口を閉じた。・・・僕はWE1番隊の隊長だ。


「・・・ヨシ!各自発進スタンバイだ!」


「了解!!!」


・・・僕達は、まず先に行動しなければならない。


「里香さん。地球軍本部との通信は大丈夫ですか?」


「オッケーよ。問題なし。」


・・・僕達は、信頼されなければならない。


「静さん。ウインド軍本部との通信は?」


「こちらも問題なし。」


・・・僕達は、前を向いてなければならない。


「綾さん。目的地はウインド軍本部です。宜しくお願いします。」


「了解。」


・・・そして、どんな時もその志をもつ事が、フレンド軍だ!


「ウィーアー!発進だ!」


僕達は、仲間が待つウインドへ飛び立った。




  3.[お茶]



「ジングルベール、ジングルベール・・・。」


今日は楽風君達が来る日。


私とレナは歓迎会の料理を作っていた。


「ユーコ、それは入れちゃダメよ。そんなの入れたら味が狂うわ。」


レナが文句ばっか言う。


「良いじゃない。気持ちが伝わったら。・・・料理は味じゃない、心よ!」


私のオリジナルのソースを出来上がった料理に付ける。


「・・・もー、どーでも良いわ。」


レナはブツブツ言って、完成した私の料理を見て溜息をついた。


ピンポーン。


誰か来たようだ。私は手を洗い、玄関まで急いだ。


「はーい。ちょっと待ってね~。」


ガチャ。


そこにはシャルとクリスがいた。


「ユーコ、もうすぐ楽風さん達が来そうだよ。準備は出来た?」


シャルは可愛らしいドレスを着ていた。


あーーー、抱きしめたい!


私の視線に気付き、


「このドレス、お母さんが作ってくれたの。」


そう言って、くるっと回った。


・・・あぁ、私もこんな頃もあったな。


昔の私なら過去を引きずって言葉を失うが、今の私は違う。


「良く似合ってるわ、シャル。大事に着るのよ。そのドレスは将来、きっと宝物になる。」


シャルは耳まで赤くなり、


「・・・うん!」


眩しい笑顔を見せた。


「ユーコさん、何か手伝う事はありませんか?僕らもWE1番隊のメンバーですから。」


WE1番隊。私達は地球軍とウインド軍の連合軍、フレンド軍に属している。


「そうね。手伝ってくれると言っても、料理の方はもうすぐ終わるわ。けど楽風君達が来る前に、今回の任務について話し合いましょ。」


シャルとクリスを、私の家へと招いた。


    ・


レナがお茶を持って来て、私達のテーブルに置いて行った。


「ありがとう、レナ。」


「レナお姉ちゃん、ありがとー。」


「ありがとうございます。」


レナが座るのを確認して、


「・・・さて、今回私達が集まる事になったのは、ウインドにバガでかい隕石がやってくるためよね。」


そう言って溜息を1つした。


「・・・ウインドに落ちるはずないのに、あのバカがどうしてもと言ったから始まった任務よ。あの隕石を調べるらしいわ。・・・隕石1つ調べた所で、いったい何になるのやら・・・。」


私はお茶を一口飲んだ。


「楽風さんです。何か引っ掛かるのでしょう。なにせ隕石と言っても、歴史に残るほどの巨大隕石ですから。」


クリスは楽風君に賛成のようだ。


「もしかしたら隕石に謎の生物が出てくると予想してそう!」


・・・シャル。怖い事言わないで・・・。


「まぁ、何もせずに待ってるよりはマシね。」


レナは普通に言った。


たしかにそうだけど・・・。


私はお茶を一気飲みした。


「なんでこの時期なの~~~!世界はクリスマス。仕事から離れ、愛の道へと向う準備の月よーーー!なのにあいつは・・・!デリカシーのかけらも無い!」


「僕達は軍人です。」


「私達はそのための軍なの。」


・・・私は女の子です。


そう言いたかった・・・。


「別にユーコは来なくて良いわ。」


・・・レナ、酷い。




  4.[集合]



「おかえりなさい、地球の皆さん。」


ウインド軍本部に着き、ウィーアーを着陸させ待っていたのは、温かい笑顔だった。


「ガーネットさん、これからしばらくの間、宜しくお願いします。」


僕達はお辞儀した。


ドタバタドタバタ・・・。


そして遠くの方から走って来る、ユーコ達が見えた。


「ゴメーン!楽風君。出迎え、間に合わな・・・!」


「楽風さーーーん!お元気でしたかぁ~!」


ユーコを追い越し、レナが僕に抱きついて来た。


「久しぶりって・・・。3ヶ月前に来たじゃないか。それにこの前、電話で話したよね

・・・。」


ブチッ!!!


何やら周りの空気がおかしい・・・。ピリピリする・・・。


しかし、レナは満面の笑顔・・・。気のせいか。


「・・・元気だったよ、レナ。」


僕はレナの肩を掴もうとして・・・。


ダダダダダ・・・!


「ダッァ、シャーーーァ!」


真凛の奇声が聞こえ、何事かと振り返ると、


バコォ!


「だぁーーー!何するんだよ!」


真凛の靴で頭を叩かれた。


「今は勤務中よ!プライベートの話は後でしょ!」


何やら真凛はご機嫌斜めだ・・・。


「直人君、コレ使って・・・。」


綾さんはハンカチを僕に差し出した。


「ありがとうございます。綾さん。」


ゴシゴシ。


・・・ピリピリする。


顔を拭き終え、僕は笑っておいた。


    ・


WE1番隊全員で挨拶しあった後、僕と真凛、綾さんに、里香さんと静さんは、ユーコの家に招かれた。


「・・・なかなか素敵な家ね。」


静さんは周りを見渡して言った。


たしかに素敵な家だと思う。花と植物に囲まれて、それでいて何の違和感も無い。ユーコはデザイナーの才能があるのかも知れない。


「・・・まるで原始人の家ね。」


真凛は要らないセリフを言った。


「真凛ちゃんは、お人形がたくさんある部屋の方が良かったかしら?」


ユーコと真凛は睨み合った・・・。


「楽風さん、シャル達が作った料理、たくさん食べてね。」


シャルは可愛らしいドレスを着ていた。さっきの作戦会議でもこのドレスを着ていた。よほどお気に入りのドレスなどだろう。


「あぁ、たくさん食べるよ。シャルが作ったもんな。僕が食べて、シャルの料理の腕前を確かめてやる。」


「良いよ。ご堪能あれ。」


僕達は笑い合った。


「では、今お持ちしますね。皆さんは席に着いてて下さい。」


クリスは料理を取りに行った。


「あっ、私も手伝うよ。」


そう言って、クリスの手伝いに行ったのは里香さん。・・・珍しい。


僕がそう顔に出てたのか、綾さんが、


「里香は女の子なの。」


当たり前の事を言う。


「なるほど・・・。」


・・・僕は納得した。




  5.[約束]



「・・・以上をもって、任務の説明は終わりよ。次は部隊編成ね・・・。楽風君。」


ガーネットさんに引継ぎ、僕は席を立ち、前へと進んだ。


隕石の拡大図を出す。


「調査隊は6人。A班は、僕とレナとシャル。B班は、ユーコと真凛とクリス。指揮を取るのは、僕とユーコだ。各員は指示に従うように。」


A班のルートを映し出す。


「まずはA班。僕を中心に右にレナ、左にシャル。その3人がウインド側の上部から下部へと向って調査する。」


B班のルートを映し出す。


「そしてB班。ユーコを中心に右に真凛、左にクリスだ。3人は裏側の下部から上部に向って調査する。」


各班のルートを映し終え、


「一周したら任務完了だ。調査中はセンサーばかり頼らず、自分の目を使ってくれ。何か不審物があるかも知れない。疑わしいものがあれば、各リーダーに連絡して欲しい。」


僕は皆を見渡した。


「間違っても隕石に降りたりしない事だ。衝撃を与えるなよ。あの隕石はウインドには衝突しないルートだが、・・・もしもの事もある。各員、心して任務にあたる様に!」


皆が頷いた。


「それでは、・・・ガーネットさん。行きますか。」


早く自分の心配事を無くしたい・・・。それに・・・。


「えぇ。この任務は異常が見当たらなかったら、終了よ。終わらせて休日を楽しみましょう。」


皆が不思議そうな顔をした。


「任務終了後、全員は休暇よ。しばらくは、ゆっくりして頂戴。」


皆が笑った。


「だからって、気を抜くなよ。・・・僕達が帰って、世界を安心させるぞ!」


僕は拳を高く上げた。


「・・・安心してるけど。」


真凛がここぞとばかり言った。


「すまない、真凛・・・。終わったら、好きなもの買ってあげるから。」


「・・・まー、許してあげるわ。」


真凛は機嫌を良くした。


「・・・まるで子供ね。」


ユーコが要らない事を言う。


しかし、真凛は嬉しそうだ。


・・・終わったら一緒に出かけような。


真凛のそんな表情を見て、僕も嬉しくなった。


    ・


「あの隕石の事、本当はどう思ってるの?」


皆がメモリーズの発進準備をしている時に、ガーネットさんは僕に聞いてきた。


「・・・僕はただ、安全と言う言葉が欲しいだけです。」


僕は前を向いて話した。


「あんな大きい隕石です。・・・恐怖心からくる任務です。あの隕石を調べたいと感じただけです。」


ガーネットさんは何も言わない。


「変だと思いません?何故あるのか?何故あんなに大きのか?」


続けて話した。


「僕は知りたい・・・。今回の任務で何か分かるかも知れない。」


「・・・楽風君は、私達の他に人類がいると思っているのでしょう?だからあの隕石を調べようとした・・・。そうでしょ?」


・・・。


「僕は・・・。」


その時、


「メモリーズ、発進スタンバイ完了です。」


綾さんが言った。


「ありがとう、綾。」


ガーネットさんは里香さんに合図を出し、艦内放送に繋いだ。


「これより私達は巨大隕石の調査のため、宇宙に上がる。各員は待機して頂戴。繰り返す・・・。」


・・・いよいよか。


「綾、カウントをお願い。」


・・・きっと、あの隕石に何かある。


「カウント開始します。10、9、8・・・。」


・・・誰にも話して無いが、僕は感じる。


「・・・3、2、1。発進します!」


ブォォォォーーー!


・・・僕を呼んでいる。




  6.[巨大隕石]



「な・・・!なんて大きさなの・・・!」


里香さんが、いや、ここにいる全員が思った。


「想像したよりも、大きいわね・・・。」


ガーネットさんの言う通りだ。


「・・・楽風君が言ってなかったら、私達はウインドで慌てふためいたわね。」


「大きさは聞いていたけど・・・。この大きさは異常よ。」


静さんと綾さんは、事の重要性が分かったみたいだ。僕もここまで大きいとは思わなかったけど・・・。


「大丈夫だ。この隕石はウインドにも地球にも落ちはしない。皆も知ってるだろ?」


僕は皆を安心させた。


「・・・けど自然に出来たとは、思えませんね・・・。」


クリスが言った言葉で、皆が黙った。


「・・・。」


僕の体が反応している・・・。体が熱い・・・。胸の鼓動が早い・・・。


「行こう。楽風さん。私達はそのために来たの。ただ眺めに来た訳じゃ無いの。」


シャルは僕に言い、皆に言った。


「行きましょう。私達で確認する必要があるわ。」


レナが言い、僕を見た。


僕はガーネットさんを見て、頷くのを確認し、


「・・・行くぞ!俺達はこれより調査に行く!皆はバックアップ、頼んだぞ!」


僕達6人はパワーマシンの所へ向った。


    ・


僕は自分の機体まで急いだ。


「直人!」


真凛の声がして後ろを振り返った。


「何?真凛。」


真凛が僕の方へと向って来ている。


「質問かい?それとも、部隊の事で・・・!」


真凛が僕の胸へと、飛び込んで来た。


「ど、どうした!?」


真凛が顔を上げた。


「・・・これ。あげるわ。」


そう言って、手に持ったものを差し出した。


・・・ネックレスだった。


「プレゼント・・・。何か買ってね・・・。」


真凛が小さい声で言った。


・・・真凛。


「・・・分かってるよ。約束したもんな。」


そう言って、真凛から貰ったネックレスを自分の首へとかけた。


「・・・約束。」


真凛は小指を突き出してきた。


僕はそれに応えた。


「・・・終わったら、一緒に遊びに行こう。」


「えっ・・・。」


僕と真凛は小指を絡めたまま、見つめ合った。


「約束だ。」


小指に力を入れた。


・・・真凛もそれに応えた。


ウサギのネックレスが、僕達を祝福するかのように輝いた。




  7.[発進]



「楽風!皆とっくに発進したぞ!何してた、バカもんがぁ!」


「それは無いでしょ。吉住さん。」


そう言って、吉住さんの前に立った。


「アナザーアースは?」


「何時でも出れるに決まっとるワイ。・・・うまく指揮れよ。何があっても、無事に全員帰艦させる事じゃ。」


「分かってますよ。」


吉住さんに敬礼し、コクピットに乗り込んだ。


「アナザーアース。頼んだぞ。」


キュイィーーーーン。


「こちら楽風。スタンバイ、オッケーだ。」


モニターにモモが映った。


「遅いですよ、楽風さん。私・・・!」


「直人君、皆、発進したよ!遅いよ!」


モモを押しのけて、綾さんがモニターに映った。


「きぃーーー!何この女!」


モモの叫びが聞こえた・・・。


僕は一呼吸して、


「・・・何、ちょっと約束をね。」


そう言って笑った。


「・・・そう。」


綾さん・・・。


「好きなら好きって言いなさいよ!あー、イライラするーーー!」


「・・・な!何を言うの!」


「綾の悪い所だぞー。言いたい事は、はっきり言う。分かったら、楽風君に私を選んでと返事返事。」


「・・・モモ、里香。通信入ってるわよ。」


・・・まったくその通り。


「へ・・・?」


ブチン!


モニターが消えた・・・。


「僕は・・・。不器用だ。」


膝に手をおいた。


「直人君。カウントを開始するね。」


モニターを見ると、綾さんが泣き顔で映っていた。


「終わったら・・・。私にオムライス、作ってね。・・・約束よ。」


僕は自分の気持ちをはっきり言う事にした。


「・・・毎日。いや、綾さんが食べたいと思ったら、何時でも作るよ。・・・約束します。」


そう言って、親指を立てた。


「ホーーーントに、約束よ!破ったら、私の言う事を聞いてもらうからね!」


綾さんは涙を拭きながら、それでも僕を見ている。


「・・・初恋でした。」


「えっ・・・!」


僕は気合を入れて、


「楽風直人!発進スタンバイ、オッケーだ!」


「え・・・!あ、あの・・・。もう一度・・・!」


「発進、どうぞ!」


モモの声で、レバーを強く握った。


「アナザーアースクロスブレイカー!出るぞ!」


ブォォォォーーーー!


・・・ここまでこれたのは、綾さん。あなたのおかげです。


僕は巨大隕石へと向った。




  8.[調査]



「大きい・・・。」


「大きいわ・・・。」


僕は気を引き締めて、


「レナ、シャル。隕石にあまり接近するなよ。」


感じる・・・!この隕石は一体何なんだ?


「楽風君。こっちは持ち場に着いたわ。・・・楽風君。良く聞いて。センサーに金属反応よ。」


・・・何だって!?


「それは確かか?」


「えぇ、各員のセンサーに反応。一部じゃないわ。・・・この隕石全体かも知れない。」


・・・なんて事だ!


「レナ、シャル!今すぐセンサーを起動しろ!」


僕は各員に伝えた。そして、僕のセンサーも起動した。


「・・・楽風さん!」


「センサーに反応・・・!金属反応よ!楽風さん!」


・・・ははっ。僕のセンサーにも反応がある・・・。


一呼吸して、僕はガーネットさんに通信した。


「どうしたの?何か分かった?」


僕は率直に言った。


「ガーネットさん。隕石に金属反応です。それも一部じゃない。この隕石・・・、もう隕石ではありませんが、この物体すべてに金属反応があります。」


メモリーズの皆の声が聞こえる。


「楽風君。・・・直ちに引き返して。」


・・・帰艦命令?


「何故です!?このまま放置ですか!?調査せず、艦に戻れません!」


「・・・良い、楽風君。アレが隕石では無く、金属で出来た何かなら・・・!」


ま・・・、まさか!


「各員、直ちに固まれ!リーダーの下へ急げ!」


僕は調査隊全員に告げた。


「なんで?この隕石を調べないと、前へ進めないよ?」


「シャル!もう分かったんだ!早く僕の所へ来い!」


「・・・この隕石は、人が・・・!生物が作ったものなの!?」


レナの言う通りだ。金属は自然に出来るものじゃない!


「楽風君!この隕石・・・!動いてるわ!」


「くっ!リーダーの下へ集まった後、メモリーズへ戻れ!」


ユーコの言うとおり、この物体・・・!動いてる!・・・進路を変えるつもりか!


僕はレナとシャルが来た事を確認し、メモリーズへと帰艦しようとした時、


「・・・戻って来なさい。」


なんだ・・・。今の声は・・・。


「楽風さん、早く!」


僕は我に返り、


「あぁ、分かっている・・・!」


一体どうしたんだ。僕は何を考えている・・・。


「・・・約束。忘れた訳では無いな。」


何だ・・・!この感覚は。


体中が熱い・・・!何か・・・!僕は何を思い出そうとしている!?


「楽風さん!」


地球軍にいた記憶、学生の記憶、家族の記憶、そして生まれた時の記憶・・・!!!


「私の名は何だ?」


この思い出は何だ・・・。これが僕だと言うのか?


「・・・エデン。」


この声は、そう・・・。エデンだ。


「・・・おかえりなさい、ラクカゼ。」


その時、眩しい光が視界に広がった。


「・・・ただいま、エデン。」




  9.[エデン]



「・・・どうしても行くと言うの?」


彼女は悲しそうな顔をしている・・・。


「・・・何も変わらないわ。」


そう言われた僕は、笑っていた。


「・・・あなたは何も分かってない。」


彼女は今にも泣きそうだ・・・。


「・・・だからこそ、確かめに行くのさ。」


・・・そう僕は彼女に告げた。


    ・


「おはよう、エデン。」


庭のベンチに座っている彼女を見つけ、僕は声をかけた。


「おはよう、ラクカゼ。」


ここはいつも穏やかだ。街から離れた丘に、ひっそりと建つ家。そこに僕らは暮らしている。


「もう頭痛は治った?」


「いや・・・。まだ少し痛いよ・・・。」


それにしても、この頭痛は何なんだ?エデンはそれが原因で記憶が曖昧だと言ってるが・・・。何にせよ、落ち着かない・・・。


僕がそんな表情をしてたので、


「大丈夫。もう少し、安静してなさい。そうすれば、すべて良くなるわ。」


僕もベンチに座る事にした。


エデンはあまり僕達の事を話してはくれない。そして、この世界の事も・・・。


「・・・私はあなたの世話役なの。」


そう言っていたエデンを見て、僕は彼女を信じている。彼女に嘘偽りは無い。


「・・・街に行こうよ。そうしたら、何か思い出すかも知れない・・・。」


もう何度目かのセリフを口にした。


「まだ私の事を完全に思い出さなければダメだ。」


エデンは毎回そう答える。そして今回も・・・。


一度、拗ねているのかと聞いたら、


「・・・殺すぞ。」


あの時のエデンは怖かった・・・。だけど、そう答えるのが彼女だと、僕は曖昧な記憶の中で思い出す。


僕は首につけているネックレスを手に取った。


「・・・ウサギ。」


ウサギのネックレスは輝いていた。それを見る度、悲しくなっている自分がいた。考えれば考える程、頭痛がひどくなる。・・・何か僕は大切な事を忘れている。そうエデンに言ったが、


「・・・それは私達の思い出よ。・・・そのネックレスは、街で買ったのよ。・・・嫌なら外して良いわ。」


そう答えるエデンは辛そうだった。だから僕は、


「僕は必ず思い出すよ、エデン。・・・それまでは、待っていて欲しい。」


エデンに笑いかける。だがエデンはそれを聞いて・・・、泣いてしまった。


僕は何故泣くのか理解できずに、ただ、


「ど、どうしたの?」


と、聞いていた。そんなエデンを見ると、微かに思い出す・・・。前にこんな事があったなと・・・。


僕は隣にいるエデンを見た。


僕と同じくらいの身長で、髪の色は緑。長い髪を1つに束ねている。そんな彼女に、


「これからも一緒に生きよう。」


僕は自分でも驚いた。・・・なんでこんな言葉がでるんだ。


エデンは僕を見た。その瞳は潤んでいた。


「・・・そうね。私とラクカゼは、2人で1つだものね。」


優しい笑顔だった。


エデンは僕の膝の上に頭を乗せた。


「エ、エデン!?」


僕は身動きがとれなかった。


「・・・このままいさせて。」


彼女の優しい声が聞こえた。


・・・僕のお腹の音がなるまで、そのまま一緒にいた。




  10.[光]



私は・・・!私達は、どうすれば良いの・・・!


メモリーズの艦内は慌ただしくメンバーが動いている。


私は皆に加わる事も出来ずに、1人自室にこもっている。


直人は消えてしまった・・・。機体と共に・・・。


私は訳が分からない・・・!なんで直人なの・・・。


「どこにいるの・・・?直人・・・。」


私を・・・。私達を導いてよ・・・。


隕石はウインドへと確実に向っている。


    ・


「・・・ですから、今すぐ軍をウインドへまわして下さい!・・・間に合わない!?だったら間に合わせなさいよっ!あんたら危機感、あるのかよっ!」


里香は地球軍へと救援を要請している。


「会議・・・!?アホかお前ら!偉そうな事言うなよ!さっさと来なさい!・・・私はあんたらが、ウインドへ向うまで言い続けるぞ・・・!」


直人君・・・。一体どこにいるの・・・?


「・・・お願い。アレを何時でも発射できるようにして頂戴。・・・急いでね。」


お願い・・・!助けに来て・・・!


「・・・皆、良く聞いて頂戴。楽風君が消え、隕石がウインドへと衝突のルートに変えた・・・。私達は、認めなければならない。新しい人類を・・・。そして、楽風君は連れて行かれた・・・。消していなくなった訳じゃない!彼は生きている・・・。私達の前に必ず現れるわ!・・・後ろを向かないで。前を・・・、前だけ見るわよ!」


・・・そう、彼は約束してくれた。・・・必ず行くよと。


「私達は密かに、あの巨大隕石がウインドへ衝突のルートを変えた時のための、迎撃兵器を作った。そうよね、モモ。」


「そうです。迎撃兵器トゥモローです。」


そう言ってモモは、モニターにその兵器を映した。


「このトゥモローは、私達の最高傑作です。超遠距離砲スターライトブレイカーを発射します。スターライトブレイカーは、月を一撃で破壊すると想定されています。」


モモさんは力強く言った。


「現在トゥモローは、巨大隕石・・・。エネミー1でも言いますか、その軌道ルートを調整中です。」


・・・そう。アレは隕石じゃない。・・・楽風君を連れ去った、敵よ!


「しかし問題は、スターライトブレイカーは発射して1時間は何も出来ないと言う事です。・・・私達の現在の技術では、どうにもなりませんでした・・・。」


敵は・・・。敵は排除する。


「・・・モモさん、ありがとう。私達は最後まで諦めないわ・・・。そして、平和な世界を取り戻す・・・!もう泣かない世界を・・・!」


私は自分を抑えられない・・・!


「アレは巨大隕石じゃない。敵です。私達から直人君を奪った敵・・・。私は直人君の事が好き・・・。大切な人なの・・・!」


何故今になってこんな事が言えるのだろう。


「綾・・・。」


静が、皆が私を見た。・・・不思議と怒りが治まった。


「大丈夫よ、綾。楽風君は必ず戻ってくる。だって楽風君よ。・・・大丈夫。皆、綾と同じ気持ちよ。」


そうだ・・・。皆だって直人君の大切な人だ。私だけじゃない・・・。


「戻って来るわよっ!」


・・・真凛ちゃん。


ドアの前から、真凛ちゃんは私の所まで来た。


「でも戻って来るのは、綾さんの所でもユーコの所でも無い。ましてや、レナの所なんかじゃ無い!」


・・・ブチ。


「私の所なのっ!」


・・・前から思ってたけど、この子はずうずうしい・・・。


「それを決めるのはお子様じゃないけど、楽風さんは1番に私の所に来ると思うわ。だって1番楽風さんのタイプだもの。」


「・・・な訳無いわ。私の所に決まってるわ。私の気持ちを知っているんだから!」


私はレナとユーコの言葉を頭から消して、


「・・・今までどこ行ってたの?真凛ちゃん。・・・皆、真凛ちゃんも消えたと思ったんだから。・・・でも良かったわ。ここにいて。・・・心配かけないでね。」


そして頭を撫でてやった。


ゴリゴリ・・・。


「・・・綾さん。なんで、グーなの・・・!」


私達に笑顔が戻った。




  11.[幸せ]



・・・胸の鼓動が早い。


記憶を取り戻そうと考えれば考える程、僕は頭が痛い・・・。」


自分の首につけているネックレスを手に取る。


エデンと話せば話すほど、彼女から貰った物のじゃないと判断する。これは彼女からのプレゼントじゃないとすると・・・!


「約束・・・。」


今・・・、僕の中で声が聞こえた。とても寂しそうで、とても強がりな女の子の声だ・・・。


その女の子はエデンじゃない。違う・・・!この子は・・・!


「ラクカゼ・・・。」


我にかえるとドアの前にエデンがこっちを見ていた。


エデンは僕を見る。僕もエデンを見る。ながい沈黙の中で彼女はただ僕を見ている・・・。

その瞳に宿るのは、確かなる願い。僕はエデンの何なのか・・・。感じるのは、僕は彼女の大切な人だ。そして僕にとっても・・・。


「・・・そろそろ夕食にしよう。何か食べたいもの、ある?」


僕は立ち上がり、エデンの方へと行った。


「・・・オムライス。」


・・・なんだろう。僕は今とても胸が締め付けられる・・・。


「終わったら・・・。私にオムライス、作ってね。」


・・・泣いている女性がいた。優しい女性・・・、すべてを包んでくれる女性。彼女は僕の・・・。


「・・・オムライスは得意だ。」


僕は呟いた。


「・・・!」


エデンは少し驚いた表情をした。僕は笑って見せた。


「少し待ってて。今すぐ作るよ。・・・僕の得意料理、オムライスを。」


そう言って、僕は台所へと向った。


僕はラクカゼ・・・。楽風だ。でも同じなんだ・・・。今の僕も、そして今の僕も・・・。違うのは世界・・・。いや、それは僕の心の安らぐ場所。でも変わらない・・・。例え世界が変わろうが、僕は・・・、僕だ!


エデンの視線を感じる。・・・僕は彼女に告げなければならない。僕は今は楽風・・・。地球育ちの楽風直人だ。僕はまだ・・・!


「・・・約束。」


彼女が待っている。


    ・


エデンは静かにテーブルで待っている。彼女も分かっているのだろう。


僕は料理を持って、エデンが待つテーブルに向う。


「お待たせ、エデン。これが今の僕の腕前だ。」


オムライスをエデンの前に置いた。


エデンは笑って見せた。


「今と言うけれど、一体何の事?」


エデンは僕を見ずに言った。


「・・・それは心だよ、エデン。食べて見てくれ。」


エデンはスプーンを持ち、オムライスに手をつけた。


・・・スプーンが震えている。


エデンは震えていた。


「僕はね、世界が僕達のように幸せに暮らせるようにしたいと、ずっと、ずっと思ってきた。僕らの幸せが皆に、世界に、すべての者が同じような気持ちになれる世界をね。」


エデンは震える手で、オムライスを食べた。


「それは不可能かも知れない。けど違うんだ。1つの心さえあれば、可能なんだよ。」


彼女は泣いていた。


「1人1人は、大切な人。世界で1人しかいない、かけがえの無い人だ。」


彼女は時折、声を出しながら泣いていた。


「僕達、人は2人になって終わりじゃない。ましてや3人、4人になっても終わりじゃない。家族と言うのは、スタートだ。そこから広がる、第一歩だ。」


カラン。


エデンがスプーンを落とした。


それでも僕は言い続ける。


「僕達は好きな人は、必ずいる。・・・大切にしてあげれば良いんだ。その気持ちが一人一人にあれば必ず、その先に幸せがある。僕はそう思う。」


エデンは泣き続けた。


「・・・好きな人が悲しんで、好きな人が喜ぶ。皆が幸せ、それは本当に不可能な事だと思うよ。・・・けど!」


エデンは泣きながら、


「無理に決まってるじゃない!なんであなたはそうなの!?分かりきった事じゃない!・・・世界中が幸せなんて、不可能よっ!身近な人を泣かせているのに、何が大切にしてあげれば良いよっ!」


・・・確かな事だよ。けど、僕達は成長しなければならない。


「その思いがダメなんだよ・・・、エデン。」


彼女は僕を見た。


「・・・確かにおかしな事だと、人の本能がそう言うよ。でも、その感情が少しでも・・・、少しでも良いから薄れたら、どうだろう。」


「・・・嫌だ!」


自分でも頭がおかしいと思う。僕だってそうだよ、エデン。僕とエデン、2人でずっと一緒に暮らせていったら、どんなに幸せな事だろうと・・・。僕は思っていたよ。


「だからと言って、幸せじゃない人を見過ごす事が出切る?」


「・・・なんでそう言うの。」


彼女はもう嫌と言う風に、首を横に振り続けた。


「僕はもう疲れたんだよ・・・。争いが起こるのは、決まって幸せじゃないから。僕はその事に気付き、考えた。すべては争いの無い未来のために・・・。そして僕は前を向いた。歩き始めたんだ。エデン・・・。君は僕のすべてを理解し、地球に連れて行ってくれた・・・!」


エデンは泣きながら、


「こうなるとは思って無かった!ラクカゼは普通に暮らし、毎日をだらだらと過ごすかと・・・!」


僕も泣いていた。


「今になって思うよ、エデン。僕は確かに穏やかな生活を望んで生きてきた・・・。軍に入ったのは、ただそんな生活を望んだから・・・。僕は・・・!僕は変えたい!未来を!」


・・・幸せは生きていれば、必ず訪れるものだと、そう信じていたんだ。けど違ったんだ・・・。幸せはこの手で掴むものだと・・・。




  12.[スターライトブレイカー]



「ガーネット!トォモローのエネミー1との軸合わせが完了した!」


モニターに髭の濃い男性が映った。


「ありがとう、ジーク。発射まで後どれくらいかかりそう?」


「もうすぐだ!・・・オイ!各員全力でやれ!」


ジークと呼ばれる方は、口調が焦っていた。


ウインド衝突限界ラインまで後3時間をきった・・・。2発は確実に発射出切るが、あの大きさだ、2発で破壊出切るかどうか・・・。


「どう思う?静。」


私は静に聞いた。


「・・・何も言えないわ。」


静の声は震えていた。良く見ると涙を堪えていた・・・。


私は静を見ずに、視線を前に向けた。


「・・・ねぇ、静。神様って信じる?」


「・・・。」


静は何も言わない。


「・・・私はいないと思うんだ。」


静は私を見た。


「神様と呼ぶ人・・・。人じゃないかも知れないけど、そんな人は私達と一緒なんだと思うの。」


「・・・どうして。」


静の・・・、いや皆の視線を感じる。


「私達人間は、全生物の中で1番偉いと言われてるでしょ。・・・人間は言葉を使うから・・・。」


私は想像する・・・。


「言葉より上をいくモノってあるのかな?」


私は更に想像する・・・。


「そんなモノなんて無いと思う。あるとしたら・・・、心よ。」


「・・・心?」


辺りは静まり返り、静の声がはっきり聞こえる。


「そう、生物にとって1番大切な心よ。神様と呼ばれる生物は、その心がすごいんだと思うの。・・・誰にも負けない心が、神様と呼ばれる象徴・・・。」


私は直人君を思い浮かべる。


「神様は信じる事が出来ない。・・・だって一度も見た事が無いから。」


私が信じるのは神様と言う存在なんかじゃない・・・。


「助けを求めるのは、いつも親しい人・・・。私達は神様と言う存在は、考えなくて良いと思うの。私達は自らの力で生きて行かなければならない・・・。」


私は瞳を閉じた。


・・・そう教えてくれたのは、直人君。あなたなの・・・。


「ガーネット!発射スタンバイ、オッケーだ!・・・発射するぞ!」


ジークさんの声で私達は現実に戻った。


「ジーク!撃って!」


ガーネットさんの強い声が艦内に響いた。


「スターライトブレイカー!発射だ!」


私達は艦内の先端に集まった。エネミー1にスターライトブレイカーが・・・!


「砕けろっ!!!」


里香が叫び、エネミー1に命中した!


エネミー1は、スターライトブレイカーのパワーに・・・、負けている!


後退している・・・!


「・・・ガーネットさん!これなら・・・!」


私は期待を胸にガーネットさんを見た。


「・・・何故、砕けないの・・・!」


「えっ・・・。」


確かに・・・。私はスターライトブレイカーに押されるように後退しているエネミー1を見た。


「・・・こんなの見た事ないです。スターライトブレイカーは最強のビーム兵器、どんな物でも破壊できる・・・、はずなのに・・・!」


モモは怯えるようにエネミー1を見ている。


「アレは・・・!何なの!?」


ガーネットさんは困惑している・・・。


「・・・ダメなの!?」


静の叫びと同時に、スターライトブレイカーの光が消え始めた・・・。


「・・・もう一発!もう一発だっ!」


ジークさんの叫び声が聞こえたが、私はアレを見続ける・・・。


「また動き出した・・・。」


私達はただ、アレを見る・・・。


「人の力で、あんなモノを止める事なんて・・・!」


ガーネットさんは泣いていた。


「・・・泣かないで下さい、ガーネットさん!私達は一体、何を信じれば・・・!」


・・・待ってて下さい、綾さん。


その時、直人君の声が聞こえた。


何ものにも負けない声、彼の温もりが私を包んだ。


「スマン!真凛ちゃんが・・・!」


艦内に吉住さんの声が聞こえたと同時に、エネミー1に向って飛んで行くパワーマシンが見えた・・・。


「真凛ちゃんがエネミー1を止めに・・・!」


・・・真凛ちゃんも感じたのね。


私はもう一度、彼の温もりを感じる。


「・・・遅いよ、直人君。」




  13.[CHANCE!]



エデンに連れられ、僕は地下へと降りていく。


「・・・ここは私達の思い出の場所。あなたはここから歩き始めた・・・。覚えてる?」


電灯が時折消える階段に、長い年月を感じる。・・・思い出す。ここは僕達の・・・。


「この家は君のために僕が建てた、新しい居場所・・・。戦争が終わり、ここで僕達は暮らしていた。」


長い長い戦争があった。僕はまだ子供だった。両親はいない。僕は妹と戦争から逃げるように、毎日を生きていた。・・・幸せだった。何も無かったけど、僕は苦しくなんかなかった。・・・大切な人がいたから。どんな時も一緒だったから。・・・笑顔があったから。


「そしてここは、争いの無い未来のための力がある。」


階段を降り終え、大きな扉を見つめた。


「お前は私に言った。・・・力が欲しいと。助けたい人がいると。」


・・・僕は妹が笑って欲しかった。幸せであって欲しかった。・・・守りたかった。


「僕はもう一度、ホワイトウイングに乗るよ。・・・そして今度は誰も死なせはしない。」


エデンは少しすまなそうに、


「・・・悪かった。ウインドにあの隕石もどきを放ったりして・・・。だが私は・・・!」


エデンは僕を見なかった。


「・・・良いんだ、エデン。君には心配かけたから。だからもう、そんな顔は止めてくれ。」


エデンは僕を見た。・・・少し笑っている。


「・・・けど帰ってきたら、1年間、朝昼晩と毎日料理を作ってもらうからな。覚悟しとけよ!」


エデンは顔を膨らませた。


「なんでだ。私はお前なら出切ると信じてだな・・・!」


「反省しろ。」


エデンはそっぽ向いた。


「大体お前が悪い。私を誰だと思っている!」


「・・・僕を心から心配してくれる人だよ。」


エデンは変な顔した。


「ふ・ざ・け・る・な!・・・もう良い。開けるぞ!」


ゴゴゴゴゴ・・・!


・・・皆、僕は元気だよ。地球に来て大切な人に出会えた。


「・・・もう一度、見せてもらおうか。」


・・・この星で皆で幸せに暮らしてきたように、地球でも幸せに暮らしているよ。


「お前は私に教えてくれた。人の力を、大切さを・・・。」


・・・皆は今、何をしているの?僕はまだ、そっちには行けそうに無いよ。


「お前が望む世界を私に見せてくれ。」


・・・僕はここで、皆が見た夢を叶えるよ。


静かに、そして力強く、過去を背負ってホワイトウイングへ歩き始めた。


「・・・エデン。」


立ち止まり、僕はホワイトウイングを見たまま話しかけた。


「もう一度、約束するよ。」


振り返りエデンを見つめた。


「僕は必ず帰ってくるよ。・・・そして人の力を見せてやる。人は1人じゃない。ましてや2人でもない。力と言うのは1人では対等だ。・・・幸せも同じ事。」


エデンも僕を見つめる。


「僕の力はエデンの力・・・。それにヴィクトリー隊の力だ。」


皆の力強い笑顔を思い出す。


「僕の幸せはエデンの幸せ、ヴィクトリー隊の幸せだ。」


幸せな毎日を思い出す。


「・・・そして楽風直人は、地球とウインドの思いを胸に今日まで戦って来た。」


真凛、綾さん、ユーコ、ガーネットさん・・・、吉住さん、赤坂さん。


「今の僕には誰にも負けない力がある。・・・エデン、君がいなかったら僕は世界に押し潰されていた。・・・ありがとう。」


エデンは静かに笑った。


「・・・あなたを動かす源は何なの?」


僕は少し考え、


「・・・愛だよ。」


エデンは何故か泣きそうだ。


「・・・あなたは受け身よ。自分のしたい事を後回しにする、とてもバカな考えの人。」


僕は何も言わない。・・・甘えたい気持ちが僕の返事に出てしまいそうだからだ。


エデンの所まで戻る。


「・・・!?」


僕はエデンを抱きしめた。


「・・・行ってくるよ、エデン。」


エデンの温もりを思い出し、その温もりを体に染み込ますように力強く抱きしめた。


「・・・行ってらっしゃい、楽風直人。」




  14.[楽風直人]



直人の声が聞こえる・・・!


アース4を最大出力でエネミー1へ向った。


その声が待っていてと聞こえても、私は待ってなんかいられない。


「・・・この状況で待っていられる訳ないでしょ・・・!」


巨大隕石の調査で来て、その隕石が隕石じゃなくて、その上直人が消えた・・・!


「・・・ホント、訳が分からない。」


私は世界が滅亡する時が来ても、別に構わない。・・・ただ私1人じゃ、嫌だ!


「・・・まだ私には決められた未来がある。」


直人は私に言った。・・・約束してくれた。


「・・・コイツさえいなかったら!」


私は目の前のエネミー1に両手を広げて突っ込んだ。


ガシャ!


アース4とエネミー1がぶつかった衝撃が、コクピットにいる私に、コイツの大きさを思い知らされた。


「直人が来ても何とかなる訳ないでしょ。・・・こんな大きな塊をどうやったら壊すのよ!」


そう口にしてみたが、何故か私の顔は笑っていた。


私は直人を知って5年。・・・まだ5年なんだ。配属先にエースパイロットがいると聞き、いざ見るとただの間抜けな男が1人いた。話してみてもバカな男だった。彼は周りがどう思おうが別に構わないと言った風に感情をだす。・・・喜怒哀楽が激しかった。そして何かを探しているようにも見えた。・・・彼は何者にも黙らせる信念があった。


「直人は変わっているわ・・・!」


その信念は私には分からなかった。彼の信念は何なのか、一度聞いた事がある。


「愛だ!」


その答えを聞いて私は彼の顔面を殴った事を思い出し、少し笑う。


「直人・・・!」


彼といると楽しい。そう思い始めて、私は彼について行った。どんな時も一緒にいた。・・・さすがに一緒に寝たことは無いが。


「直人・・・!」


彼の笑顔が好きだ。・・・私を包み込んでくれる。


「直人・・・!」


彼の優しさが好きだ。・・・私を自由にしてくれる。


「直人・・・!」


彼の信念が好きだ。・・・私を導いてくれる。


「・・・直人ーーー!」


私は彼のいない生活なんて考えられない。


    ・


ブォォォォーーー!


「隕石もどきの近くに誰かいる・・・。」


ブォォォォーーーー!


「・・・待っててって言ったのに。」


ブォォォォーーー!


「・・・真凛!」


ホワイトウイングを更に加速させた。


    ・


「エネミー1に高速で接近する物体が!・・・速い!」


里香が叫んだ。


・・・ここからでも見える。白い翼を広げてエネミー1に向っている。


「拡大させて!」


「速すぎて拡大出来ません!」


・・・いつか彼はとんでもない事をすると思っていた。


「エネミー1と・・・、衝突します!」


    ・


ピピピ・・・!


「・・・未確認機?」


ピピピ・・・!


「・・・直人!?」


ドーーーン!!!


私は直人が乗っているであろう機体がエネミー1に激突した衝撃で後ろに弾き飛ばされた。


「・・・ホントに、バカなんだから・・・!」


エネミー1を両手に力いっぱい支えている白い機体。


「・・・直人。」


その機体はまるで天使のように両肩から白い光を放出させている。


「遅くなったな、真凛。・・・もう大丈夫だ。」


アース4から聞こえる直人の声。・・・まだそんなに時がたってないのに、懐かしく感じる。


「・・・一体どこにいたのよ。」


怒らなくちゃいけないのに・・・!


「・・・ゴメン。」


怒らなくちゃいけないのに・・・!


「・・・なんで急にいなくなったの。」


私の声は誰にも聞かれたくない言葉。


「・・・真凛。」


私の顔は誰にも見られたくない顔。


「・・・私を1人に・・・、させないで・・・。」


もう自分を飾るのは嫌だ・・・。直人に知って欲しい。・・・私の気持ちを!


「・・・僕は真凛が好きだ。真凛の辛い顔なんて見たく無い・・・。」


白い機体が光輝いている。


「僕はバカだから愛してくれとは言わない・・・。」


直人の機体の両肩から放出している光がエネミー1を包み込んでいく。


「・・・でも僕は真凛を愛している!」


  BREAKER SYSTEM


エネミー1を包んだ光の翼が更に輝きを増す。


「・・・私は直人が何者でも良い!私の側にいてーーー!」


激しい音がし、私の視界に眩しい光が広がった。




  15.[FIND THE WAY]



数日後。


私達はクリスマスには間に合わず、年末に地球へと帰って来た。


「・・・まさか楽風君が地球人じゃなく、別の星の人類だったとはね。」


私と里香と静の3人は、エンジェルハウスで話し合っていた。


直人君がホワイトウイングと言う機体に乗って私達の前に現れ、エネミー1を破壊した。ホワイトウイングは地球で生まれる前に乗っていた機体だと言う。


「ガイア人とか言ってたわ。ガイアと言う星で生まれ、そして地球へと生まれた・・・?」


静の言いたい事は分かる。一体どうやって生命が再び赤ん坊に戻れるのだろう。


「直人君のお父さんとお母さんは、どんな気持ちなのかな・・・。」


私達は沈黙した。


「・・・それでも私は直人君を愛してるの。」


里香が色っぽく言った。


「・・・誰だお前。」


静は距離をとった。


「綾の真似よ。」


私は体中が熱くなり、


「わ、私は、過去に何があっても直人君は変わらないと思うの!だから・・・!」


と、身振り手振りして直人君の事を伝えた。


「楽風君がガイア人で地球にやって来たと話した時の綾の視線は、正しく愛する人の目だったよね~。」


里香・・・!


「・・・でも誰が地球に生まれさせたとは聞いてないわよね。」


・・・静の言うとおりだ。私達は肝心な人の名前を聞いていない。


「・・・神様だったりして。」


「・・・。」


「・・・。」


・・・そうなのかも知れない。直人君がその人を話す姿は何者にも触れてはいけない、なんて言うか私達が口出ししてはいけない・・・。そんな気がした。


「彼ならいずれ、話すでしょ。・・・私達はその時が来るのを待っていたら良い。彼だって思い出したばかり・・・。また巨大隕石を落とそうとする意思は無いと言ってるのだから。彼の・・・、楽風君の愛人は。」


ピクッ。


「そうよね~。楽風君の愛しい人は優しそうだからね~。」


ピクピクッ。


「・・・私をイジメないで~~~!」


・・・私はその人が直人君を愛しているんだと強く感じる。その人は今も直人君を帰るのを待っている。毎日毎日、彼との思い出を感じているのだろう。私はそこに入っちゃいけないのかな。・・・いつか会いに行ってみたいな。楽風君が尊敬し愛している人を。


    ・


ムカムカ・・・。


「いや~、綺麗な景色だね。そう思わない?真凛。」


ムカムカ・・・。


「たまにはこうして真凛と出掛けるのも悪くないね。」


ブチッ!


「・・・ねぇ、直人。」


私は今最高の気分だ・・・。


「何?来て良かった?」


「・・・私を愛してるって言ったよね。」


直人をジロリと見た。


「・・・そうだ。」


直人は少し照れながら私を見た。・・・何勘違いしてるのよっ!


「私1人だけよね・・・。」


私のセリフに直人は動きを止めた。


「・・・僕達は幸せを求めて生きているものだ。1人1人の幸せを僕は守っていきたいと思っている。それが例え愛しい人をまき込んでも・・・!」


ゴン!


直人の脳みそがある頭を殴った。


「なっ、何するんだよ真凛!?」


ゴン!


もう一発殴った。


「き、聞いてくれ、真凛。僕達人は変わらなくちゃいけない!このまま同じように愛する人、守るべき人を人間の本能に任せたら、何も変わらない!また争いが起こる!僕は1人1人を大切にしたいんだ!」


私は直人を睨んだ。


「・・・現に争いが起こってるじゃない。」


「・・・可愛いもんだろ。」


ゴン!


・・・ホントに直人は訳が分からない。


頭を押さえている直人は小さく見える。私はそんな直人しか知らない・・・。たまに大きく見える事もあるけど。


・・・でもそんな直人が好きだ。


直人の言う事は私にとって寂しい。けど孤独じゃない・・・。声を掛ければ来てくれる。私を見てくれる。そう意識すると楽しくなる。


・・・寂しくなんか無いか。


直人の首を見る。


そこには、うさぎのネックレス。


・・・直人に似合うな。


直人は寂しいんだと思う。直人は隙が無い。友達関係も恋愛関係も・・・。それはただバカじゃなくて知られたくないから・・・。自分の心を知られたくないから。直人は探してる・・・。自分の幸せな世界を。


「争いの無い未来のために。」


直人はどんな気持ちで言ったのかな。


「・・・直人。」


私は直人を見る。・・・最愛の眼差しで。


直人はまだ頭を押さえている。・・・ホント、バカなんだから。


「・・・誕生日おめでとう・・・。」


    ・

    ・

    ・


あの時の直人の顔は、私は忘れない。涙を拭くことも無く、ひたすら泣いていた。何度も呻き声を上げ、何度も子供みたいに私の名を呼んだ。・・・そんな直人を私は抱きしめた。彼の目が閉じるまで・・・。




  エピローグ



「争いの無い未来のためにか・・・。」


丘の上から見下ろす世界を眺める。海の向こうから何十と言う戦闘機がこの街へと向って来ている。


「・・・一体何をすれば訪れるのだ。」


私は戦闘機と言うマシン、ブレイカーマシンを冷めた目で眺める。


「・・・彼だけなのか。こんな殺戮を止められるのは・・・。」


しかしその彼はもうこの星にはいない。


「・・・エデン様。ここは危険です、今すぐ避難を。」


「・・・私も出る。」


彼が置いて言ったアナザーアースクロスブレイカー。


「・・・分かりました。」


男は下がり、1人の女が私に話しかけて来た。


「・・・ラクカゼをなんで返したの?この戦時下に・・・。彼を呼び戻すと言ったのはあなたよ、エデン。」


「・・・アイツは必ず来る。」


「・・・手遅れにならない事を祈るわ。」


そう言って女は下がった。


「・・・それはそうだな。」


私は笑った。


「・・・ラクカゼを連れて来るか。」


ついでにアイツの大切な人を見に行くとしよう。


「お前の大切な機体・・・。少しいじらしてもらうぞ。」


そう言い、私はアナザーアースクロスブレイカーの所へ向った。


「お前にはまだ働いてもらうぞ・・・、楽風直人。」






最後まで読んで頂きありがとうございます。レッツエンジョイ。

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