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生まれ変わったら『悪役令嬢』でした。  作者: 黒い猫
第2章 王宮からの手紙
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第3話


 ゲーム上の「カナリア・カーヴァンク」は、実はこの国『グリーンアクア王国』の第一王子である『ゲーテ・アクア』の婚約者だった。


「ただ、どのタイミングで婚約者になったのか……という詳しい説明はなかった」

「婚約者……ですか。しかし、そこからどうして主人公をいじめるなんて結論に?」

「ああ、それは――」


 そして、カナリアは十五歳を迎えた時にこの国唯一の魔法学校へと入学した。もちろん、ゲーテ王子も一緒である。


「ゲームは主人公が魔法学校に途中で編入した一年間の話。その一年間で彼女は攻略キャラクターと好感度を上げて最終的には一番好感度の高いキャラクターと学校を卒業したと同時に結婚するの」

「結婚……ですか。しかし、この話をここに出すと言う事は、その攻略キャラクターの中に」

「ええ、王子も含まれている」


 ――何と言うか……もはや「当然」と言った様子でね。


「まぁ、王子が攻略キャラクターに入るのはむしろ『お約束』みたいなモノよ」

「そんなモノかしら?」

「お姫様にはみんな憧れるからね。しかも、そこに何かしら大きな壁があればそれだけ魅力的に見えるのでしょう」

「……」


 カナリアはそう言いつつ紅茶に手を伸ばす。


 ――壁が高ければ高いほど燃えるってヤツかしら。


 しかし、ディーンは「信じられない」と言いたそうな表情をしている。確かに、この話は「ゲーム」だからこそ許される話だと、私自身も話しながら思っていた。


 そもそも、婚約者がいるにも関わらず手を出すのがおかしな話なのだ。


 ――だからモノによっては「これはフィクションです」って言う表記もされるし、そもそも前提としてプレイヤーも「これが現実だ」なんて思っていないし。


 これがフィクションと現実の「違い」と言うモノなのだろう。


「せめて婚約が成立していない時に手を出すのならまだ分かるけどね」

「ええ、婚約が成立した後では略奪です」


 ディーンの言葉には「ごもっとも」としか言えない。


「だからまぁ、カナリアはそんな自分の婚約者に近づく主人公に対してイジメをするの。最初は教科書を隠したり影で悪口を言ったり」

「随分典型的なイジメですね」


 そもそも、魔法学校に通えるのは基本的に『貴族のみ』で元々庶民だった主人公は最初からカナリアにとって「下に見る対象」だっただろう。

 そんな主人公が自分の婚約者に仲良くしていると分かれば、プライドの高い彼女が何もしないはずはない。


「イジメはしてはいけないし、ディーンの言う通りそもそもやり方が……ちょっとね」


 しかも、最終的にカナリアは卒業パーティーでこれまでのイジメの数々を暴露されて、婚約破棄を迫られる。


 ――まぁ、それ以前にもカナリアは色々とやらかしているからね。それらも含めて……といったところでしょうけど。


「結果的に今まで甘やかしてきた父親や兄たちにも見捨てられて勘当。どのキャラクターでもカナリアは主人公をいじめる立場だったけど」

「全てのキャラクターですか?」


 それに対し、カナリアは「ええ」と肯定した。


 要するにカナリアにとってそれくらい主人公の存在は鼻についたという事だろう。


「その中でもゲーテ王子ルートのバッドエンドではパーティーの場で主人公に魔法を放ってそれを跳ね返した王子の魔法に当たって死亡。その場は騒然となり『王子を国王にするのはどうかという』声が強くなり、最終的に王子はその座を弟に譲る……という感じね」


 簡単な説明にはなるが、大体がこんな感じだ。


「でもまぁ、バッドエンドに関してはどれも死ぬのよね」

「……なるほど」


 一通り聞くと、ディーンは神妙そうな顔で唸る。果たしてコレが何を意味しているのかは分からない。


 しかし、私はそれ以上にディーンの「ある事」が気になって仕方がなかった。


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