2 ハーフエルフといちご
いちご。紅くて、甘酸っぱい、人気の果実。水ですすいでそのまま食べても、ジャムにしても、焼き菓子に使ってもおいしい。しかしただ美味しいだけでなくきちんとした薬効がある。
ロドルフはわさわさと生い茂る緑の葉っぱの中から真っ赤に染まった大ぶりのいちごを鋏でぱちん、と切り取る。隣で同じように作業しているゾエの授業を聞きながらひたすらぱちん、ぱちん、と収穫していく。春とはいえ5月。外で作業居ていると少し汗ばんでくる季節だ。
「ロドルフ。いちごは、夏バテや熱中症の予防、便秘、体の熱っぽさの解消に役立つ。あとは美容だな。肌荒れに効く。食べすぎは駄目だ。食べすぎると消化不良やトイレが近くなる。水分が多くて消化しにくい成分があるからな。」
「ふうん。じゃあ、何個までならいいの?」
「1日に約200g。一気に食べるのはよくない。そうそう、いちごはドライフルーツにして紅茶に入れても美味しいんだ。お前も何度か飲んでいるだろう。」
「うん。けど僕、オレンジのほうが好き。レモンとか。」
「ふふ。お前は大人舌だな。ドライいちごの紅茶は綺麗な赤になるし、何よりいちごの甘さが紅茶に溶けていて砂糖いらずでおいしい。」
甘党のゾエが楽しそうに言うが甘いものが苦手なロドルフは微妙な表情になった。お菓子は好きだがゾエのレシピ通りの砂糖の量では作らないし、紅茶に砂糖やはちみつをたっぷり入れることもしない。
そうこうしている間にロドルフが一抱えするぐらいの大きさの籠が6個分、いっぱいになった。
「さて、そろそろいいだろう。1籠はドライフルーツ、1籠は家用、残りは全部ジャムにしてしまおう。さあ、大変だぞ。明日は柚子も収穫しようか。」
「先生、まずはいちごのジャム完成させてからにしないと。」
楽し気なゾエにロドルフは困ったように、しかし楽しそうに冷静に話す。ふふふ、と笑いながら井戸の水で家用の籠を除いた5籠のいちごを軽く洗う。
その間にロドルフは家に入りキッチンで大きいボウルを取り出しゾエが洗ったいちごの水気をふき取りへたを地道に取っていく。数が多いので大変だがジャムに葉っぱが入っているのは見た目的に好きではないルドルフはきちんと取り払う。戻ってきたゾエも参戦し黙々とヘタをとる。取り終えたらボウルに山積みになっているいちごにいちごの半分の量の砂糖とレモン丸々1個絞り3時間ほど寝かせる。乾いた布巾で覆いおいておく。
そうしたらその間にロドルフは浴室、自室、ゾエの部屋のそうじを。ゾエは庭に大量に植えてあるハーブの剪定や森の調査を行う。いくつかの採取用の道具と弓矢を持ってゾエは出かけて行った。
ここからはロドルフの腕のなりどころだ。料理の腕は年の差もあるだろうがゾエのほうが上だが、研究者気質であるためか掃除は苦手なのだ。本人曰く「やろうと思えばできるし、師匠には掃除も叩き込まれた」らしいが、いざ掃除を始めるといつ書いたかわからないメモやら隠れていた本やらが出てきてそちらに夢中になってしまっている。結果、基本的に掃除は弟子であるロドルフがしている。
いちごにも効能があります。美味しいだけじゃないんだなあ、と調べながら思いました




