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4話 崖の上でロック鳥散髪・髪型はアナタ次第・生死もアナタ次第【後編】

 

 はぁはぁ……いたいた!

 おーい、アンタ!!


 だめだ、もう崖をあんなとこまで登ってるから声が届かねぇ!

 街を出て少ししか経ってないのに、なんて速さだ!

 ったく。切り立った崖をロープなしで登るたぁ、とんでもないやつだぜ……って、ん!?


 ロック鳥の巣が光ってる!

 あ……ああっ!

 金の卵!

 でっけぇ巣の中に、でっけぇ金の卵が!


 すげぇ……初めて見たぜ。まじで金ピカに光ってやがる……ん?

 でも金色の卵は生みたての証……ということは。


 

 バサバサ!!

 


 ぎゃあああああ、やっぱりロック鳥が近くにいやがった!

 近くで見るとなんてデカさだ! おまけに卵を産んだばかりで気が立ってやがる!

 こんなのに人間が勝てるはずがねぇ!

 

 おーい、アンタ!

 さっさと卵を取って逃げるんだ!

 なに巣のところでボーッとしてんだよ! 

 もしかして、ビビって動けないのか!?

 

 ああ、だめだ!

 ロック鳥が爪で攻撃……って、うおっ!

 あの兄ちゃん、避けやがった!

 普通なら首が崖から転がってるところだぜ……うわっ、また!

 ありえねぇ。ロック鳥の爪を紙一重でかわしまくってやがる!

 どわっ、あぶねっ!

 ふービビった……切れたのは髪の毛か。


 すげぇ、さっきから刈られてるのは髪の毛だけで、体には傷一つ付いちゃいねぇ!

 身体能力えぐすぎだろ!


 いやでも、あんなに長くて膨らんでた髪がどんどん短くなってる!

 これやばくないか?

 ああ、もうあんな長さに!

 このままじゃ皮膚を削ぎ落とされるのも時間の問題……って、ヒューッ!!


 あの兄ちゃん、斧でロック鳥の攻撃を受け止めやがった!

 くぅーっ、衝撃波がここまで来やがる!


 うおっ!

 かと思ったら、今度は斧ごとロック鳥を空に向かってぶん投げたーっ!!


 うわっこれ、どこまで行くんだ!?

 斧と一緒にロック鳥のやつ、雲の中に消えてキラーンなんつって星になったけど……………あっ、落ちてきた落ちてきた。

 どわっ、そのまま思いっきり巣に突っ込んだ!


 ハハハ、あの化け物鳥め!

 目回してやがる。頭の上で星が飛んでるぜ!!

 よし兄ちゃん、今がチャンスだ! 

 化け物鳥を仕留めちまえ……って、あれ!?


 おいおいおい、斧を背中にしまっちゃったよ!

 そいで、あらら! 

 普通に巣を出て崖を降り始めちゃった!!

 

 なんで!?

 ロック鳥を倒せる絶好のチャンスなのに!!

 あ、こっちへ来た。


 おい、兄ちゃん!

 どうして、あのデカ鳥を放っておいたんだよ!!

 しかも巣には金の卵があったのに、それもそのまま置いてきちまって……え?

 髪が短くなった?

 そりゃあ、確かにロック鳥の爪でバサバサ切られてたから……うおっ、兄ちゃん!

 髪が長かった時は気づかなかったけど、こうして見るとイケメンだな!


 いや、なに満足げにしてるんだよ!

 これじゃあ、ただロック鳥の巣に髪切りに行っただけじゃねぇか!

 ロック鳥にトドメは!? 金の卵は!?


 おおおおおおい!!



 ◇◆◇◆◇◆◇



 あれから数ヶ月が経った。

 あのあとロック鳥は、すぐに回復して今も崖の上に巣を作っていやがる。

 

 相変わらず家畜は餌食になるし、たまったもんじゃねぇぜ!


 でも、あの兄ちゃんが街に来たのを境に冒険者が増え始めたんだ。

 しかも連中ときたら、兜も被らずにロック鳥に挑みやがる。


 なんでも「大黒チャレンジ」なんつって、あの兄ちゃんがやったようにロック鳥に髪を切らせるのが流行ってるんだと。

 

 まぁ、案の定というか、ほとんどの冒険者は髪を切るどころか10秒もたずに鋭い爪の餌食。

 今日も崖の周りに連中の首が転がってるぜ。

 

 ほんと、冒険者が考えることは意味不明。

 おかげでコッチは兜が売れずに商売上がったりだ、ちくしょう!

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