26話 エロエロ通りで散髪無双、エロと散髪サンドイッチ【5】
【冒険家:モニカ・ランド】
「お兄さ~ん」
「また来てくれたんですね」
ぎゃああああああ!!
さっきのJKコスプレ二人組。
その二人に左右から腕組みされて、先輩は店に入っていく!
先輩ったら!
マダムだけじゃなく、JKたちもおかわりっスか!?
あんなアタイにお尻叩かれて、アンアン言ってた連中のどこがいいっスか!?
はっ!
また、さっきのマダムの店みたいにJKたちの店も窓が空いている、そこから聞こえてくるのは、
チョキチョキ。
さっきと同じようなハサミの音。
「まさか!」
スススと窓にトカゲのように張り付いて中を見ると、ああああああ!!
「また……」
また先輩が髪切ってるっスうううう!!
さっきのマダムの店内とは打って変わって、ぬいぐるみやコスメなんかが散りばめられたファンシーな空間。
でも壁際には大きな鏡と洗面台、部屋の真ん中に椅子という配置は先程のマダムの店と一緒。
その椅子にミチミチになりながら首に白いケープを巻きつけられた先輩が座っていて、それを左右から挟み込むようにしてJKコスプレ二人組が髪を切ってるっス。
座ってもなお先輩の頭には届かないのか、二人は足元にデコった木板を置いて、時折それを移動させながら、チョキチョキ。
にしても見事な手際。
二人だから散髪時間も短くて済むとか、そういう問題じゃない。
例えばクエストにしても人数が多ければ早くクリアできるっていう話じゃなくて、そこはやはりコンビネーションというか、仲間同士の阿吽の呼吸がモノをいう世界。
それに至っては、JKコンビ二人はまるで息のあった餅つきのような手際の良さ。
互いのハサミは決して交わることなく、一人が先輩の前髪を切ったら、一人は襟足、みたいな感じで見事な連携プレイと共に鬼のようなスピードで髪を切りまくっていく。
結果、即席ラーメンくらいの時間で先輩の髪はビシッと短髪に。
てか、あれ!?
さっきマダムの店で散髪してもらったはずなのに、先輩ったらまた髪が伸びてる!?
その証拠に、JKたちが切った髪が椅子の周りに巨大ドーナツのように円形に
一体、先輩の髪はどうなってんスか!?
はっ!
そんなこと考えてる間に、JKたちは洗面台に先輩の頭を入れてシャンプー。
合計四つの手で、わしゃわしゃと豪快に洗っていく。
ていうか、勢いありすぎてめっちゃ石鹸の泡が飛び散ってるっスけど!
アタイの方まで泡の粒が飛んできてるし。
まぁ、いいや。
ついでに汗だらけの顔を洗ったろ。
あ、シャンプーが終わったっス。
その後、先輩はJK二人組に左右からドライヤーで髪を乾かしてもらって、そこから再び椅子を倒されかと思うと、今度は髭剃り。
同じように一人に顔の右半分、もう一人に左半分を剃ってもらいツルツル(驚くべきことに、先輩は髪だけじゃなくて髭もモジャモジャに伸びていたっス!)。
「ねぇねぇ、どっちの髭剃りが気持ちよかった?」
「もちろん私ですよね、ほら私の剃った方はこんなにツルツル」
「あら! こっちだって負けてないわよ、ツルツル~!」
なんて頬擦りしてくる二人を適当にあしらって、先輩はお金を払って店を出たっス。
またもやアタイは、バトルフォックスにつままれたような感覚。
結局、先輩はまたもやエッチなことをせずに退店。
マダムの店でもJKたちの店でも、やったこと言えば散髪オンリー。
窓際でアタイは考える。
これって、
「ねぇ、あの窓際にいるのって、お姉様じゃない?」
「ああ、ほんと! 私たちをMの虜にしたお姉様だわ!」
まさか……!
「でも、どうしてまた店の前に?」
「きっと、私たちのことが忘れられないのよ」
「そっか! お姉様ー!!」
「もっと私たちを虐めてえええええ!!」
ええい!
「うるさいっス! こちとら色々考え事してるっスよ! それなのに、なんスかあんたらは! 何が『私たちのことが忘れられない』っスか! アンタらの尻をしばいたことなんて一刻も早く忘れたいっスよ! あと、さり気にさっき先輩に頬擦りかましやがって!」
ああああ!
なんてことやってるうちに、先輩が声をかけたのは、例の黒テープ女の店に。
サササ。
再び抜き足差し足ムーブで窓から中を見ると、
チョキチョキ!
やっぱり髪切ってるっスうううう!
てっきり黒テープ女の身なりから先輩を黒テープでグルグル巻きにしてSMプレイをかましているかと思いきや!
確かに先輩はパッと見、黒テープを体に巻いてるようだけど、それは黒いケープと膝掛け。
椅子に座って気持ちよさそうに散髪を満喫しちゃって、まぁ。
てっきり天井から吊るされてるのかと思いきや、さっきのマダムやJKたちの店と構造は同じ。
壁際に鏡と洗面台。
ただ所々に人の代わりにマネキンが吊るされたり、拷問器具らしきものがチラチラしてて、余談を許さない雰囲気。
それでも、黒テープは先輩を拷問することなく、逆にもてなすように丁寧に散髪からのシャンプー。
そのまま髭剃りへ。
そこでも、蒸しタオルが釜茹で拷問でもしているかのような鍋から取り出されたり、巨大な剃刀を悪魔のオブジェからベロのようにぶら下がっている皮で研いだり、干し首をあしらったような柄のブラシで石鹸を泡立てたりと、一定の禍々しい要素はありつつも、至って普通に石鹸泡を髭全体に塗りたくって、テキパキと髭を剃り剃り。
そのあとは、推して知るべし。
髪をオイルで整えたり、襟足についた毛を箒ではらったりして、見違えるようになった先輩。
お金を払って、店をでたっス。
むむむ。
ここでも、やはりエロエロ行為なしで散髪だけ。
ということは、やっぱり!!
あああああああああああ!!
なんてことっスか!!
このカラブキ大通りは、エッチな店じゃなくて散髪屋さんが軒を連ねるストリートだったってコトっスうううううう!!
【続く】




