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レンブラント  作者: 福戸瀬
第1章 始まり編
7/11

第六話 「ようこそ王都へ」

 

 ーールナ視点ーー


「ルナ、ルナ。ふふ、起きて」


 柔らかい声が聞こえる。

 暖かい日差しの中、木の下で膝枕されている。

 心地よい体温、周りから聞こえる小さい子たちの笑い声。


 ふ、なんだか懐かしい感じだな。

 あぁ、そろそろ起きなきゃな……



「おーい、だいじょぶー?」


 「ッ!!」


 目を開けると、いつも見る自分の部屋の天井だ。

 ……あぁ、夢か。


 部屋のドアの外からオルトの声が聞こえる。


「おーい、おーい。うわっ、あぁ。開いた。」


 私は軽く着替えて準備すると部屋の扉を開けた。

 ドアを開けるとオルトが居た。

 ふっ、びっくりした時の顔が何ともマヌケな顔だったな。


「お前、いつもの時間になっても食堂来ないから」


 ん?

 あぁ、もうこんな時間か。


 いつも起きる時間から結構経っていた。

 いつまでも朝食を食べに食堂へ行かないから不思議に思ったんだろう。

 いつも食堂で待ち合わせてるからな。


「今日はいつも通りか?」


 オルトが聞いてくる。


「…いや、今日は私は予定がある。お前は今日は休みだ。」

「おぉ!休みか!でも補佐だからついて行かなくていいの?」

「あぁ。」

「了解〜。じゃな」


 そう言うとオルトは去っていった。


 ーーオルト視点ーー



 念願の初休みだ!

 いや〜今日はボコボコにされなくて済むぜぇ。


 そんな事を思いながら食堂へ行く。


 それにしても何しようかな。

 外に出るのは確定として〜


 うーん。

 久しぶりに冒険者ギルドにでも行ってみるかな〜


 いやーでも王都内で行ったことの無いとこの方が案外多いんだよな〜。

 冒険者時代は王都内に住んでるとはいえ、ギルドに張り出されてるクエストと家に帰るので一日が終わってたからなー

 王都内散策でもいいなぁ


 いつものセットを頼み、席に座り食べる。


「あ!オルト!」


 声がした方を見るとリテルが食堂のご飯を持って立っていた。


「珍しいじゃん、ルナさんが居ないなんて」


 リテルは俺の隣に座る。

 コイツとは何回か朝食の時と夕食の時に会う。

 最初こそリテルは緊張で不自然な動作とかしてたがもうそんなことはない。


「そうなんだよ、予定あるらしくてな、今日は初休みだ」

「そーなんだ〜、じゃあ僕も休もうかな〜」

「えっ、そんな軽く休めんの?」

「え、うん。基本的にそういうのは自分で決めれるんだよ」


 何それ超羨ましいんですけど。

 え〜ずる〜

 そんなんなら俺も好きな時に休みたぁい!!

 っていうのはムリだな。


「なんか予定決めてるの?」

「いやぁそれが悩んでてね〜」

「じゃあ王都内を回ろうよ!僕まだしっかりと散策してないんだ〜」


 あ、そうなのか。

 ちょうどいいな。


「いいね、行こう。」

「おっけー、じゃあ準備して行こっか!」



 ーーー



 人族最大の国力を持つエレル王国。

 領土面積は帝国の次に大きく、歴史も古くからある王国。

 商業や文化などは最も栄えていて、世界各国から多くの食料、物、武器、魔道具、人材が集まる。

 そして王都アリュシア。

 エレル王国の中で最も栄えていて、王族や有力貴族が住んでいる場所。


 レンブラントの拠点はそんな王都アリュシアの中心にでかでかとある王城に近い富裕層エリアの一角にある。


 俺たちは一般の服を着て王都アリュシアの商業エリアを歩いていた。


 中央の通りは幅が広く、辺りには露店や酒場、レストラン、武器屋など多くの商業施設がある。


 周辺には数え切れないほどの人がいて、露店の商品を見てたり、荷物を持って歩いてたりする。

 至る所から笑い声や話し声が聞こえ、活気に満ちている感じだ。


「すごい賑わいだな…」


 思わず呟く。


「そうだね!それに色んな人がいるよ。普通にここに住んでる人はもちろんのこと、冒険者や商人、旅人なんかもいるんだろうね。すごい賑わいだ!」


 確かに色んな服装の人がいるな。

 まぁそれほど栄えてるってことだろう。


 ん?

 俺は一際目立つ赤と白の鎧を着た男と女の2人組が歩いてるのを見つけた。

 腰には高そうな剣を腰に携えている。



「おい、一際目立った鎧着てるやつがいるぞ。何もんなんだ?」

「ん?あぁ、あれはエレル王国の騎士団だよ。見回りをしてるのかな?エレル王国の騎士団は名門で最強の騎士団って言われてるんだって。入団の倍率もすごいらしいね〜」


 へぇ〜

 そう考えると確かに強そうな顔してるな〜

 鎧と武器も強そうだし。

 最強の騎士団か〜そりゃ入りたい人も増えるから倍率も高くなるだろうな〜


「噂によると給料やばいらしいよ〜」


 なぬ!

 入りたい!!精一杯働きたい!!

 今なら天技もあるし、もしかしたらがありそう!

 でも騎士団って堅苦しそうだな〜

 やっぱいいや。


 そういや天技と言えば、


「そういえば、リテルは天技解放出来たのか?」

「ん?出来たよ、1週間前ぐらいに」


 なぬ。

 昨日解放できたばかりの俺より早い。


「じゃあもう試験完了か?」

「いや、まだだよ。僕は体術が苦手でね〜。オルトは?」

「俺も当分時間がかかりそうだよ。」

「オルトのは僕たちより難しそうだからね〜」


 そうだよそうなんだよ。

 もう誰かに変わって欲しいよ。


「うわ、でかいね」


 そんな事思っていると、リテルが俺たちの横にある建物を見て言った。

 その建物は3階建てぐらいでとても大きく、装備を着た人が頻繁に出入りしている。

 俺がよく知ってるとこだ。


「リテルは冒険者ギルドに来るのは初めてか?」

「いや、他のとこには行ったことはあるけどギルド本部のここは初めてだよ。オルトは本部に来たことあるの?」

「あぁ、よく通ってたよ。」


 ここには冒険者時代毎日来たよ。

 ここは本部だから依頼もピンからキリまである。


 だから誰でもできるようなお使いの依頼とか作業の手伝いの依頼とかもある。

 冒険者は普通そんな依頼はしないんだがな、弱かった俺にはもってこいの依頼だった。


「隣には魔法書店があるんだね。」


 リテルが冒険者ギルドの横にある店の建物を見て言う。


 冒険者ギルドの横には魔法書店がある。

 隣にあるのは客層が冒険者が多いからだろう。


 扱ってるのは名前の通り魔法書。

 魔法書には簡単ないくつかの魔法の詠唱方法やイメージの仕方やらが書いてあるらしい。



 なんで「らしい」っていうのは金がなくて冒険者時代に買ったことがないからだ。


 魔法書は属性別で売ってることが多い。

 火属性魔法の本や、水属性魔法の本やら。


 魔法は使いたい場合、最初は魔法書を読んで詠唱方法やらイメージの仕方やらを学ぶ。

 そんで使っていると慣れてきて詠唱ナシでイメージだけで使えるようになる。

 そして自分独自の魔法に変えていく。


 冒険者の魔法使いなどは大体そうしていくらしい。

 まぁ本を使わず直接教わる人も一定数いるらしいが。


 あとは魔法剣士などは魔法だけでなく剣の練習もしないといけないから魔法の練習時間があまり取れなくて魔法を使う時、簡単な詠唱をするやつが多いとかも聞く。



 まぁ、簡単には上手くいかないってことらしい。


「魔法書店も結構大きいんだね。」

「まあな。冒険者ギルド本部の隣にある店だしね。こんなに大きい魔法書店だから貴重な属性の魔法書とかもあったりするかもな。」

「さすが王都の店って感じだね。」

「だな。」


 そう言いながら店を通り過ぎる。


「そういえばもうすぐお昼だね。」


 リテルが俺を見ながら言った。


「確かにお腹空いたな。どっかで何か食べたいな。」

「ね。でもあんまりお金持ってないよ?」

「ふふふ、安心しろ。安くて普通に量もあるとこを知ってる。」


 俺は立ち止まるとそのまま反転して来た方を戻る。

 リテルは不思議な顔をしながらも俺に着いてくる。


 ーーー


「ここ?」

「ああ。ここだ。」


 俺は冒険者ギルドの前に立ちながら言う。


「ここギルドだよね?」

「中に酒場がみたいなとこがあるんだ。そこで食えるのさ。」


 ふふふ、そうなのだ。

 俺が金もなく冒険者やってた時お世話になったものだよ。


 そうして中に入ってカウンターがあるとこに着く。

 いつも頼んでた注文を2人分頼む。


「ほんとにだいじょぶ?」


 リテルが心配そうに俺に聞く。


「任せなって。」


 しばらく経つと2人分の料理が来る。


「わぁ、確かにまあまあ大きい肉だね。」

「だろ。」


 来た料理は肉の塊だ。

 なんの肉かは未だによく分からない。

 だが、これが美味しいのよ。


 俺らは来た料理を食べ始めるのだった。


 ーーー


「美味かったでしょ?」

「そうだね〜。でもお金ギリギリだったよ。あと少しで足りないとこだった。」

「んぐっ。ふっ、計算通りさ」


 確かにギリギリだったな。

 正確には値段を覚えてなかったからなぁ。

 危ないとこだったぜ。


「これからどうする?夕飯食べれるお金もないけど…」

「んー、帰るか。」



 ーーー



「何あれ?」

「ん?」


 リテルが見ている方向を見る。

 大きな建物に10人程が大きな馬車から荷物を運んでいる。

 忙しない感じだ。


 俺たちは今、歩いて拠点に帰っているところだ。

 まぁ馬車で帰る金も持ってないしな。


 そんで富裕層エリアに入ったところでリテルが言い出した。


「なんだろう、なんかパーティーでもやるんじゃないか?」

「あ〜そうかもね。というか今度から外出る時お金もっと持とうか」

「だな。そのためにはまずは見習い脱却だな。」

「ね。」


 そんな事を言いながら俺らは帰るのであった。


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