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レンブラント  作者: 福戸瀬
第1章 始まり編
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第十話 「戦闘会議」

 

 初任務後翌日。

 ゆっくりと目を開けた。

 どうやら、いつもと同じ時間に目覚められたようだ。

 窓からは柔らかな朝日が差し込み、部屋を静かに照らしている。

 昨日は初めての任務だったから、もしかしたら寝過ごすかと思っていたが——そんな心配も杞憂に終わったらしい。

 頭はボヤボヤするが軽く支度をして食堂に向かった。


 ーーー


 食堂に着いて、いつものセットを貰った。

 席に座ると、隣にリテルがやってきた。


「オルト、おはよ!」

「おはよう」


 返事を返しながらパンを1口食べる。

 すると、リテルがずいっと俺に近ずいた。


「聞いてよ! 昨日、見習い脱却できたよ!」

「えっ、まじ?」

「まじだよ! これで僕もお給金貰えるよ!」


 リテルは笑顔でガッツポーズをする。


 まじか〜

 先をいかれたか。

 まだまだ時間がかかると踏んでたんだけどなー

 リテルを見るとニヤニヤしながらこっちを見ている。


「ふふっ、悔しい?」


 ぐ、ぐぬぬ……

 めっちゃ悔しい……


「な、何かきっかけとかあったのか? 正式に認められたきっかけ。」

「んーわかんないけど……たまにやる体術の模擬実践が終わったあとに教官に言われたんだー」

「へー、それが試験ってことか。」

「多分ねー。でも前も模擬実戦で勝ったことあるから1回勝ったぐらいじゃ認めて貰えないんだろうね〜」

「ふーん。」


 まあ、1回勝ったくらいじゃ実力は測れないからな。


「それで、オルトの方は順調?」

「うーん、ぼちぼちかなぁ」

「ぼちぼちねえ」


 まあ昨日は付き添いとはいえ、初めての任務だったからな。

 今日を区切りにまた精進してかないと。

 いつまで経っても見習いなんてごめんだ。


「まあ、オルトの方はだいぶ難しそうだしねぇ」

「ああ、ホントだよ。いつになることやら……」

「じゃあさ、相談部行ってみたら? オスカのとこの。」


 あー。

 たしかになんだかんだ言ってまだ行ってなかったな。

 1度オスカに相談してみるのもありだな。

 というか……


「リテルって、オスカのこと知ってるんだな」

「うん、この前相談部行ってみたしね」

「へぇ〜、じゃあ俺も今日行ってみるか」

「じゃあ、僕もついてくよ」

「りょーかい。ルナに一言言ったら行くか。」


 ご飯を食べ終わると、ルナに行くことを言ってから相談部に向かった。

 去り際にルナの口角が少し上がっているのに気づいたが特に気にしなかった。


 ーーー


「久しぶりー」


 相談部の受付で真剣そうに書類を眺めていたオスカに声をかけた。

 相変わらず疲れてそうだ。


「ああ、お前か。それにリテルまで。なんだ?」

「相談しに来た。リテルは付き添い。」


 俺の横からリテルが手を挙げ挨拶する。


「ああ、そうか。了解了解。まあ座れよ。」


 オスカは持っていた書類を端に置くと、裏の扉からどこかに行ってしまった。

 受付の対面の席は1つなので俺が座り、リテルは俺の後ろに立つ。

 しばらくすると、オスカが紙を持って、帰って来る。

 オスカは椅子に座りながら思い出したように声を上げた。


「そういやルナはどうした?」

「ああ。ルナは自分の部屋に戻ってるよ。終わったら呼びに来いって。」

「はあ。単にめんどくさいか、新しい戦闘スタイルの新鮮さを楽しみにしてるか。どっちかだな。」


 あいつは多分めんどくさい方だろ。


「まあ、お前にとっちゃ好都合だな」


 オスカはニヤリと笑いながら俺を見て言った。

 まあ確かにあいつには知られてない方がいい。

 やっぱ何が来るか知ってるのと知らないのとでは全然違うからな。

 俺にとっちゃ好都合だ。


 すると、ふとリテルが声を出す。


「それにしてもオルトの試練って僕たちの普通のよりだいぶ難しいよね……」

「まあな。だが、コイツはmagicの補佐だからしょうがない。心底同情するよ。」


 オスカが可哀想な目で俺を見てくる。

 そんな目で見るな。

 余計なお世話だよ。


「まあそんな事言っててもしょうがない。早く抜け出すためにもお前は強くならないとな。いつまで経ってもルナにボコボコにされるだけだぞ。」

「ああ、その通り。俺だってそんなのごめんだ。」

「ハハッ、そうだな。それじゃ、まずはお前についてだ、オルト。」

「俺?」

「ああ。お前、戦いにおいての自分の秀でてるとこは分かるか?」

「いや、分からん。」


 全く分からん。

 考えたこともなかったな。

 秀でてることか……

 オスカは紙を見ながら語り出す。


「まず、お前は戦闘センスがピカイチだ。他の奴らと比べて圧倒的にな。」

「戦闘センス……」

「具体的には咄嗟の判断力や体や武器の使い方などだな。」


 戦闘センス……

 あまりピンと来ないな。

 言われないと俺も気づかなかったし……


「あとは攻撃力、機動力、魔力量も平均より高い。魅力的なポイントだな。」

「へぇー」


 あまりピンと来ないが何となく頷く。


「あとはタフネスだな。天技も相まってこれも相当高い。」


 あっ、それは分かるかも。

 天技を解放してからルナの殴りやら魔法やらが軽く感じる。

 肉弾戦の中で、あいつの魔力操作を阻害しているからだろう。


「総合的に言うと、火力が高いって所だな。ルナにそっくりだ。違うとこと言えば、戦闘センスはお前の方が高く、攻撃力はあいつの方が高いってとこだな。」


 へぇ、火力ねぇ。


「次に魔法だな。」


 続けてオスカが語り出す。


「面白いことにお前の天技は魔法にも適応してるらしい。」

「魔法にも?」

「つまり、お前の魔法を食らうと見事に魔力操作が鈍るってことだな。」


 へぇ、それは凄いな。

 それは魔法を使うべきだな。


「と言っても、魔法には適性がある。使えるやつもあれば使えないやつもあるって訳だ。」


 オスカがメガネを弄りながら言った。

 するとリテルが口を開く。


「僕の場合、結構使えないやつあったんだよねー。だから魔法はあまり使わないことにしたんだ〜」

「へー、そうなのか。オスカ、俺はどうなんだ?」

「お前はな……」


 オスカが紙を見ながら間をあける。

 なんだよ。

 使えないやつが多いのか……

 別にそれはそれでいいけど——


「ほとんど使えるぞ。使えないやつはあまりないな。」

「なんだよ、びっくりしたな。」


 間をあけるなよ……

 心配するだろ。


「えーいいな〜。使いたい放題じゃん。」


 リテルが後ろから俺に乗りかかってきて言った。


「確かにそうだが、俺の経験上、魔法は1属性を極めるのが1番いい。オルト、お前選択肢は広いが、最後は1つに絞るのがおすすめだぞ。」


 確かに、ルナもそんな事言ってたな。

 広く浅くより1つを深くの方が良さそうだ。

 と言ってもな……


「うーん、どうせ極めるなら俺の魔力相殺の天技と相性のいい属性とかがいいなー」

「あー確かにねー」

「確かにそうだな……」


 3人とも顎に手を置いて、眉間にしわ寄せて悩む。

 うーん……

 何がいいんだろう……

 悩んでると、オスカが口を開く。


「例えばだが、お前みたいなタフで素早さ、攻撃力もあるやつは小出しで火力が高い属性を使うやつが多い。火とか土とかだな。幸いお前は魔力も多い方だし、おすすめだ。」


 なるほどな。

 確かに、俺は肉弾戦が多そうだからちょこちょこ魔法を打つのは強そうだな。

 戦いの間を埋めれるのも良い所だ。

 うーん……


 とその時、ビビっと閃いた。


「風魔法なんていいんじゃないか?」


 そう、風だ。

 オスカが顎に手を置く。


「……、確かにいいかもな。風魔法で適当にそよ風を発生させても、敵からしたら十分脅威だしな。なんせ、魔力阻害させる風だからな。ずっと魔力阻害を受けてるようなもんだ。風だから避けることも難しいだろうし……」


 オスカがボソボソと呟く。


 そう、俺が閃いたのは風魔法。

 なんせ、風は避けにくいからな。

 我ながら天才だな。


「雷属性もいいんじゃない?」


 ふと突然、オスカでもリテルでもない声が聞こえた。

 声のする方を振り向く。

 すると、後ろに金髪の女の子が立っていた。

 リリだ。


「遠くから見えたから来ちゃった」


 そう言ってリリはニコッとする。

 それに応じてサイドテールもぴょこっと動く。


「確かに雷もいいな……」


 リリの言葉にオスカが再び呟いた。

 すると、リテルが口を開く。


「でも、なんで? 風属性がいいのはすぐに理解出来たけど、なんで雷?」


 確かに。

 なんで雷なんだ?


「君は……」


 リリがリテルの方を見た。


「リテルです。よ、よろしく」


 そういや緊張しいだったなこいつ。

 今「よ」を2回言ったぞ。


「私リリ、よろしくね。で、話を戻すけど、リテル君は雷魔法食らったことある?」

「いや、ないです……」

「雷魔法ってね、食らうと初撃がドンと来て、その後、広範囲にじんわりと痛みが体中に広がるんだよね。」

「……なるほど。つまり、それをオルトが使うと……」

「そう。恐らくだけど、魔力阻害が広範囲に作用されるんじゃないかな?」


 なるほど……

 雷魔法を使うとヒットした時に魔力阻害が広がりやすいってことか。

 確かに俺と相性抜群だな。

 ってことは……


「2つから1つを選ぶってことか……」


「いや——」


 俺の言葉にオスカが反応した。

 続けて語り出した。


「——せっかく適性が広いんだ。それに戦闘センスも高い。2つとも練習してみたらいいんじゃないか?」

「私もそう思うよ!」


 それに続いてリリも反応した。


 確かに。

 せっかくどっちも相性いいんだからどっちも使えばいいか。

 絞るなんて勿体ないしな。


「よし。風と雷を練習するよ。」

「そうか。まあ、お前なら使いこなせるだろう、頑張れよ。魔法書は書庫で借りれるから、今日中にでも行って借りてくればいい。」

「分かった。ありがとう。」


 そう言って、俺は魔法書を借りに書庫へ向かった。


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