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番?そんなもの信じられません  作者: はるくうきなこ


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9おばかな王太子リオン


 その頃ピュアリータ国ではリリーシェを勝手に婚約解消した事で第2王太子のリオンは父である国王から大目玉を食らっていた。

 「どういうことだ?リリーシェがこの国にとってどれほど大切な存在かお前はわかってるのか?」

 国王の怒りはすさまじいものでリオンはこんなに苛烈な父の顔を見たことがなかった。

 でも、これだけは譲れないと口を開く。

 「ですが父上。アリーネは私の唯一。番なんですよ。それにリリーシェの事は好きではありませんでした」

 「お前に好きとか嫌いとか言う権利がどこにある?いいかリオン。お前はこの国の王太子、いずれは兄とともにこの国を支えていかねばならんのだぞ。妃にはそれなりの力が必要だ。それにはリリーシェのように精霊の力を持つ女性が一番だ。それに次世代に力を残すためにもリリーシェにはどうしても王家の人間として務めを果たしてもらわねばならんのだ。それがなぜわからん?」

 国王のレイモン・アスパードは忌々し気にリオンを睨む。


 「わかりました。ではリリーシェは側妃と言う事でどうでしょう?子を成せとおっしゃるなら番以外の女性とそのような行為に及ぶ事はものすごく難しい事ですが覚悟を決めます。父上どうか」

 「それで国民が納得すると思うのか?いいか。バカ息子。リリーシェはいわゆる聖女だぞ。お前の言っている事は神をも恐れん所業だなリオン」

 「ひっっ…」

 父の眼光が鋭く光る。その声は地獄の底から響いてくるようなそら恐ろしいほどの声で腹の底をえぐられるような気がした。

 「それに神殿長から報告があった。リリーシェに自由にしていいとお前が言ったそうだな?」

 「そ、それは、自分が勝手を言うのですからそれくらいはいいかと…」

 父はとうとうリオンの目の前に立った。

 ぐっと握り締めた拳はプルプルと震えている。怒りを必死でこらえている事はリオンにもよくわかった。

 「一体お前はいつから国王になった?そんな権限があるのはこの私だけだ。リリーシェのような特別な存在に自由にしていい?そんな事をさせるわけがないだろう」

 「申し訳ありません。すぐにリリーシェを探し出して‥「お前の言い訳など。もういい!いいか。何としてもリリーシェを連れ戻せ。そして婚約をもう一度結んでもらえるように城。それが出来なければお前にはもう用はない」

 「用はない?それは…」 

 「お前は自ら王太子を辞するんだ。いいなリオン!」

 「ひっっ!すぐにリリーシェを連れ戻します」


 *****


 ここは王宮のリオンの部屋~

 リオンは王からそう言われてしょんぼり部屋に帰って来た。

 アリーナがすぐに様子がおかしいと気づく。

 「リオン様どうかされました?」

 「アリーネ頼む。リリーシェを連れ戻すのを手伝ってくれ」

 「どうして?お姉さまは自分から勝手に出て行ったんですよ。それを今さら。いやですわ」

 「父が‥いや、国王からの勅命なんだ。リリーシェは聖女だ。この国にとってとても重要な存在で…そして王族の子を成してもらわねばならない」

 「まっ!殿下。それって、もしかして殿下とお姉さまが…うぐぅ…」

 アリーネは声を詰まらせる。

 唇を噛みしめ眦には薄っすらと涙が滲む。


 リオンはたまらないようにアリーネを抱き寄せる。

 「アリーネ泣かないで。俺の番。君が悲しむところを見たくはない。とにかくリリーシェを連れ戻さなければその後の事は兄上とも相談するつもりだ。俺には番を悲しませるようなことは死んでも出来そうにない。だからリリーシェは兄の側妃にでもしてもらえないか頼んでみる」

 「…でも、お兄さまの妃はオビエン国の姫です。無理ですよ」

 オビエン国はリスロート帝国の反対側にある国でこれまで凶作のたびに、たくさんの援助をしてもらっている大恩のある国だ。

 「いや…では父に」

 「無理です。リオンさまぁ~」

 アリーネは口をとがらせる。

 「いや、絶対何とかする。だからアリーネ。大丈夫だから、兄たちにはまだ子が出来ていない。側妃を迎えるにはいいチャンスかもしれない。ああ、きっとうまく行く。だから」

 「リオンさまぁ。じゃあ、まずは王都から捜索しましょう。頑張って下さい」

 「ああ、アリーネはやっぱり物分かりがいいな。さすがは俺の番だ」

 リオンは嬉しそうにアリーネを見つめる。

 

 「そうだ。リオン様。今日もアリーネの作った特製ドリンク飲んでくださいね。リオン様すごくお疲れモードだから今日は特別にはちみつたっぷり入れちゃいましたよ」

 アリーネは毒々しい色の液体をリオンの口に近づける。

 「ああ、ありがとう。これを飲むとぐっと力が沸き上がるみたいなんだ。アリーネは優しいね」

 ごくごくその液体を飲み干すとリオンは欲が湧き起こりアリーネを抱き寄せ唇を貪った。


 アリーネは口づけされながら思っていた。

 (これって毎日かかせないのよね。リオンに番と勘違いさせるための媚薬。はぁ、早く結婚できないかしら。それにお姉さま。やっとこれで安心を思ったのに‥また私の邪魔をするつもり?もう今度こそ何とかしなきゃ…)

 アリーネは姉の動向を見張らせていた。

 そして今はリスロート帝国にいる事も知っていた。




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