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番?そんなもの信じられません  作者: はるくうきなこ


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30/37

30リリーシェ行動開始する


 リリーシェは翌朝一番にユーリの容体を確かめた。

 まだ意識は戻っていないらしい。

 もしかしたらとほんの少し期待していたがやっぱり無理なようだ。

 そしてやっぱりヴェネリオ家を訪ねるしかないと覚悟を決めた。

 急いで支度をするとこっそり部屋を抜け出した。

 何と言っても前世の小坂未来の記憶を持つリリーシェ。きっと何か方法があるはずだと考えたのだ。

 (こうなったら当たって砕けろよ)

 みんなが心配するといけないのでメモを残した。

 ~ヴェネリオ家に行ってきます。もしかしたら何かわかるかも知れません。すぐに帰ります。心配しないで。リリーシェ~


 使用人にはセリーシア様に許可を貰っていると話してヴェネリオ家の場所を聞いて宮殿を後にした。

 服は昨日来ていた青色のワンピースだった。

 表で馬車に乗るとヴェネリオ家まで行くよう伝えた。

 馬車はヴェネリオ家まで走り止まった。

 リリーシェは前触れもなく突然訪れる事に少し戸惑ったが今はそんな事を言っている場合ではないと思い切って門で祖母の名前を出して面会を求めた。


 「急にそんな事を言われても、まあ取り次いでみるから待ってて」

 使用人は迷惑そうな顔をしたが取り次いでくれた。

 しばらくすると同じ使用人が来て中に入るように言った。リリーシェはほっとして屋敷の中に入る。


 屋敷の入り口で年配の男性が応対に出た。

 「私はこの家の執事をしておりますロバートと言います。リリーシェ様はピュアリータ国の、ケルヴェス男爵令嬢とか祖母がメリーナ様と言う事でしたがお間違いないでしょうか?」

 「はい、私はリリーシェ・ケルヴェスと申します。母の名はマリアンで祖母はメリーナと言います。私は祖母とは面識がないのですが、実は折り入ってお願いがあって参りました。…その…レックス・ヴェネリオ様の事を少しお聞きしたいのですが」

 ロバートの顔色がさっと変わる。

 きっとレックスの事はヴェネリオ家でもあまり大ぴらに話すべきことではないらしい。

 「申し訳ありません。そのお話をどうしてお聞きになりたいのか伺ってもよろしいでしょうか?あまり大きな声では言えませんがレックス様の事はわがヴェネリオ家でもあまり表に出さない話ですので…」

 「ええ、存じております。今の竜帝がキャリス家の竜人と言うことはご存知でしょう?その孫にあたるユーリ様と私は番だと分かったんです。それで」

 ロバートの顔は真っ青になった。

 「もしやあの呪いが?」

 リリーシェはゆっくり頷く。

 

 「申し訳ありません。取り乱したりして…とにかく中にお入りください。旦那様は今お出かけで屋敷にはいらっしゃらないのですぐに奥様をお呼びしますので」

 リリーシェはすぐに使用人に案内されてリビングルームに通された。

 間もなくヴェネリオ夫人が部屋に入って来た。

 「リリーシェ・ケルヴェス嬢でしょうか?お話は聞きましたが」

 「急に申し訳ありません。実は私と竜帝の孫であるユーリ様が番と分かって…」

 リリーシェは4年前にあった事と今回アリーネが薬を使った事を話した。そのせいでリリーシェが仮死状態に陥った事もユーリがリリーシェが番だと言うことを思い出し、助けるために命を分け与えた事までそして今、命の危機に瀕していることも伝えた。


 「レックス様がどのような呪いをかけたのか分かれば解く方法が分かるかもしれないのです。何か書き残されたものとか言い伝えられている事でもいいんです。わかりませんか?お医者様が言われるには私が倒れたのは呪い返しではないかと言われてまして…」

 「まあ、あれはでたらめだと思っていました。本当に呪いをかけていたなんて…そうだわ。もしかしたら息子のゲイブが何かわかるかも知れません。あの子古い書物とか本を読むのが好きで我が家の書物も片っ端から呼んでいて…もう、学園から帰っている頃です。ちょっと待っていて下さい。すぐに呼んでみましょう」

 奥様は侍女に頼んでゲイブ令息を呼んでくれた。


 彼に事情を説明する。

 「じゃあ、リリーシェさんが言うのは番同士で一度呪いが発動してその後はお互い記憶がなくてまた今回出会って、今度はもう一人の兄の方と番の誤認があったってことですよね?それでリリーシェさんは倒れた。その後は?」

 「私は助かりましたが今度はユーリ様が倒れられて…」

 「本物の番であるユーリさんが仮死状態に陥っているって事ですか?」

 「ええ、そうなんです。ゲイブ様何かわかりますか?」

 「ちょっと待ってて、そう言えばちょっと前にレックスの書いた日記の中から折りたたんだ紙があって…」

 ゲイブ令息は急いでそれを取りに行ってくれた。


 「これなんだけど…」

 リリーシェはその紙きれに恐る恐る目を落とした。

 

 






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