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23晩さん会


 その夜は晩さん会と言うことでリリーシェは自室で困っていた。

 仮にも王太子の婚約者だったリリーシェ。晩さん会にはそれなりのドレスが必要なことくらい知っている。

 (だからこんな所に来るのは嫌だったのよ…もうどうすればいいのよ。服はこれが一番いいくらいなんだし)

 昨日ユーリと出かけるときに来た青いワンピースが今のリリーシェの一番の服だ。


 そこに女性が訪れた。続いて侍女も2人入って来た。

 「リリーシェさん?」

 「はい、そうですが、あなたは…」

 「突然ごめんなさい。私はユーリの母でセリーシアと言うものです」

 「ユーリ様のお母様。この度はユーリ様には本当にお世話になりましてありがとうございます。宮殿で保護までして頂いて…あの、でも、もう大丈夫です。私はそろそろ家に帰ろうと思っていますので…よければユーリ様に伝言していただければ…」

 リリーシェはユーリの母が怒って部屋に来たと思った。

 「まあ、そうなの。残念だわ。あなたにはぜひ晩さん会にご一緒していただこうと思ってわたし…ドレスをお持ちしたのよ。ユーリもきっと帰ってはだめだと言うはずだわ。今日はもうゆっくりして明日また考えたらどうかしら?侍女をつけるから支度の準備は心配しないで…ねリリーシェさん」

 ドレスはリリースの髪色にあうように考えられたのか、淡い紫色でマーメイドラインのドレスの胸元には小さな真珠がついていて裾に向かうにつれて色合いが濃くなっているそれは美しいドレスだった。

 

 「セリーシア様…いいんですか?」

 (ユーリ様のお母様の申し出を断れるはずがないわ。それにこんな美しいドレス着てみたかったのよ)

 「遠慮しないで」

 「では、ありがたくドレスをお借りします。本当に助かりました。ありがとうございます」

 「いいの。マーサ。あなたはリリーシェの仕度を手伝ってあげて」

 「はい、奥様。マーサと申します。リリーシェ様お支度のお手伝いをさせていただきますのでよろしくお願いします」

 「ええ、よろしくお願いします。マーサ」

 マーサは40代くらいの女性でてきぱきとしてしっかりした感じの侍女だった。

 

 そんなわけでリリーシェはマーサにドレスをきせてもらい髪を緩いシニヨンに結ってもらって晩さん会に参加した。

 

 晩さん会にはすでに竜帝のフレバーとジェスとセリーシアが席についていて、その隣にウルム反対側にユーリと続いた。

 リリーシェは挨拶をすると使用人が引いてくれた椅子に腰を下ろした。

 場所はウルムの隣の席だった。

 「やあ、リリーシェとても綺麗だよ」

 ウルムが定型文のような挨拶をした。

 「あの…ユーリ様がふたり?えっ?」

 「ああ、まだ会ったことなかったよね。リリーシェ」ユーリが慌てて言う。

 ウルムは少し意地悪そうな笑みを浮かべている。

 「ユーリ様って双子だったんですか?」

 「どっちがユーリかわかる?」

 「えっと…あなたがウルム様ですよね?」

 リリーシェは隣の席に座っている人に聞く。

 ウルムが驚く。

 ユーリは面白そうに口元に手を当ててくすりと笑う。

 「どうしてわかったんだ?…俺達よく間違われるんだけどな…ユーリと似てるだろう?」

 ちょッと当てが外れて残念みたいな顔でリリーシェを見つめる。

 「はい、ほんとに瓜二つですね。でもウルム様の左目の下、ほくろがありますよね」

 リリーシェがほくろを指さす。

 「ああ、さすがよく気づいたね。なぁユーリ、俺達の違いを見分けるなんてリリーシェは見所があるな」

 「そんな、だってユーリ様とは毎日顔を合わせているんですもの。気づかないと怒られそうです。ふふっ」

 「ユーリはそんなに顔を出しているのか?」

 「兄さん、それは仕事で…」

 ユーリの頬が薄く染まる。

 「ああ、もちろんわかってる。もしかしてふたりともその気があるとか?」

 ウルムがふたりを交互に見る。

 「もっ、やだ。ウルム様ったら、ユーリ様が困ってますから」

 リリーシェも顔が熱くなってしまう。

 「そんなわけないだろう。兄さん言葉が過ぎますよ。なぁリリーシェ」

 「ええ、そうですよ。そう言えばこのドレス、ユーリ様のお母様が用意して下さったんです。セリーシア様すごく素敵なドレスありがとうございます」

 この場でセリーシア様にもお礼を言う。

 「リリーシェ思った通り良く似合ってるわ」

 セリーシア様は嬉しそうにほほ笑んだ。


 和やかに談笑しているとリオン殿下とアリーネが現れた。

 リオンはグリーンの上着にクラバット、トラウザーズと言ういで立ちでアリーネは翡翠色のドレスにエメラルドのネックレスとあのリリーシェがデザインした指輪をつけていた。

 席はリオンがユーリの隣、アリーネはリリーシェの隣の席に座った。

 「お待たせしました」

 「では、始めようか」

 そして食事が始まった。

 








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