21心変わり
お茶が運ばれてきてアリーネはそれを口に運ぶ。
(もう、すぐに眠らせようかと思っていたけど気が変わったわ。先に指輪を買ってもらってからでも遅くはないし…昨晩『番騙し』も飲ませてあるし問題はないはずね)
すぐに店主が入って来ると聞いたとばかりにアリーネに目配せして、普段通りの対応をし始める。
すぐに店で一番の品物をずらりとテーブルの上に並べた。
「アリーネ。何か気に入ったものはないか?」
どれも大粒の宝石ばかりだ。その中でひときわ目立つダイアモンドがあった。
「これは?」アリーネはそのダイアモンドを手に取る。
「さすがはお目が高い。こちらのダイアモンドはつい最近宝石彫刻師として名を上げたリリーシェと言うもののデザインでして、海外からもこの商品が欲しいと引く手あまたの品物でございます。いかがです?この輝きは今まで誰も作れなかったものでございますよ」
「どれ?」リオンがダイアモンドを覗き込む。
アリーネは店主の言った事を考える。
「殿下。もしかしてこれを作ったのはリリーシェお姉さまではないでしょうか?」
「まさか」
「でも、今リリーシェって?」
「はい、何でもここ最近ピュアリータ国から移って来たらしいです。うちの会長もリリーシェを高く買ってまして是非家で働いてもらいたいと言ってるんです」
「あっ」
アリーネがナージャの知り合いと伝えたことでリリーシェの事が知りたいのだろうと気を利かせたらしい。
(そういう事なの?お姉さまがこんなものを作れるなんて知らなかったわ。だから殺さずに生かしているのね。だったら計画をかえなくちゃね…)
「リオン殿下ぁ。私これがすごく気に入りました」
アリーネは殿下とお揃いがいいですぅなんて言っていた事などすっかり頭からなくなっていた。
「ああ、それはいいが‥なぁアリーネ。リリーシェがこれを作ったと思うか?」
リオンは顔をしかめる。もちろんお揃いの指輪の事などリオンもすっかり忘れていた。
「だとしたら絶対に連れ戻しましょうね殿下」
「ああ、そうだな。店主、これを貰おう。お揃いにはならないがアリーネが気に入ったなら…アリーネはめてみて」
「ええ、殿下ありがとうございます」
アリーネは早速婚約指輪をはめている指にそのダイアモンドの指輪をはめてみる。
「良く似合う」
「ほんとに?うれしい~」
アリーネは婚約指輪とは別に母から貰った指輪もはめている。母から貰った指輪は中に薬一粒くらいは入る仕掛けになっていて、気づかれないように指輪から睡眠薬を取り出していた。
リオンに抱きつき唇に唇を押し当てる。激しく吸ってリオンの唇を開かせると小さな粒を口の中に押し込んだ。
番と思っているリオンに取ったらこのような場所で激しいキスをすることなど何でもない事だった。
そしてリオンはあっけなくアリーネにもたれかかってソファーでうとうとし始めた。
(もうすこしこのまま…)
そしてやっとぐっすり眠り始めた。
(まったく。世話がやけるんだから)
アリーネは眠ったリオンの身体を押しやった。




