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02 アメイジング.com ↗↗


不意に女神様の手により、さささ〜っと異世界に送られてしまった。



 ▷▶▷▶▷▶▷▶▷▶▷▶▷▶▷



そこはさんさんと木洩れ日の差し込む、深い山林がややひらけたその端っこ辺りのようで。


 ここから奥は深い森。

 その反対側の眼下はず〜っと視界がひらけていて、大きな一本の木の先には草原が広がりさらにその先にはまた山林が続いている。眼前の青々とした草花は暖かな風に揺れている。


 そして、左手のずいぶん先にはかすかに人里らしきものが見えるけども…

 

 けっこうな奥地のようだ。

 その部落は… 近代建築物とはかけ離れ、さほど文明は感じられない。


それにしても、この辺りは草木のとても良い匂いがする。

 大好きな森の香り。

 都会も悪くないけど文明よりも豊かな自然が好き。

 人工建造物にあふれた日本の街とは全然違う。


 そう思えば異世界の第一印象は最高にハナマルかな ☆☆


 森林浴は未病(病気の一歩手前の状態)にも効果があるらしいからね。


 こっちの見知らぬ世界でも、元気にすごしていける予感がした。


そうそう、健康といえば一番気になってたのは年齢だったわ。


 「うわっ !」


 それを確かめようとすると、そうイメージしただけで目の前のやや左上に、文字と数字の羅列が現れ、突然のことに驚いてしまった。

 これは、ステータスウィンドウのようだ。


★★アイリ 村娘 16才 女★★

レベル:1 人族 異世界人

攻撃力:1000

守備力:1000

体力 :1000

速さ :1000

魔力 :10000

好運 :1000

HP:10000/10000 MP:10000/10000 SP:100000

スキル:鑑定・アイテムボックス(日本SP・ノーマル)・転移・スキル操作(女神級)・アメイジング.com・異界言語文字理解・強健な身体

❖女神イーリスの加護❖




レベルは1だけどステータスはほとんどが1000と10000だった。


 随分キリの良い数字がずらっと並んでいる。


 う~ん、かなりやっつけ仕事っぽい。


このステータスを決定するまでの時間はきっと最小限。

 10秒から20秒ぐらいでパパパパッと作成された感じがする。


 う~~ん ? 適当に作った感が そこかしこからにじみ出ているわ !


それはそれで良しとして、ずっと下まで見ていくと、ああっ、なんてこと !!! スキルに通販大手のアメイジング.comなんてのがあるよ〜 !!

 試してみないとどんなものなのか分からないけれど、素敵な予感しかしない !!


 「やったー ☆☆☆☆ 女神様ありがとうございます !!」



信心深い ?? 私はパパンと手を叩き、続いてそっと両手を合わせて、さっきまでのやっつけの部分を平謝りしつつ、感謝の意を最大限に込めてお祈りした。



なにしろ御本人にお会いしたのだから…… 祈りにも熱意がこもるってもの。


神様なのに少し軽くって人間味のある女神様だったけどね !


""軽いがよけいよ~~ !""


(え~~~ !?!? 今、ワタシ口にしてた ? してないよね ? これってナンでしょうか〜 ? なにやら思念のようなモノが届いたわよ~ ! こんな遠くの世界で心に思ったことまで伝わってしまうのですか~ ? 神の力、恐るべしっ !!! )


「かしこみ かしこみ あなかしこです~ !!」

 


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



さて、動揺する心を落ち着かせて、兎にも角にも、素敵そうな雰囲気に満ちあふれたアメイジング.comサマを検証することにした。



まず何かウィンドウをタッチするものがないかなと思い浮かべたら、なんと ! 右手の中には自宅にあったはずのタッチペンが現れた。



ええっ ?! それらしきものを想像しただけで出現したわ。スゴっ。なんていう素晴らしいシステムなの ?


 しかも、私の資産をこっちの世界に送るって約束だったけれど……  たぶん、こういったアイテムまで簡単に取り出せるようにしてくれたんだよね。うれしい !



 元の世界の持ち物を思い浮かべて、バッグやスキンケア用品などを何度か出したり、しまったりしてみた。


 う〜〜ん、うんうん。自由自在に出し入れできるし、とても便利。


 アイテムボックスから出てきたのかしら ?


 あっ ! アイテムボックス日本SPの部分が点滅しているわ。

 

 なるほど、きっとここから出たのね ?


 「どこでもドア !!!」

 うん !! 

 試しにドラ○もんの声で言ってみたけど、どこでもドアは持ってなかったわよね ?

 ファンタジーの世界だからもしかしたらって思ったけれど、私が持っていない物は出でこないってことかぁ。


アメイジングは一旦保留しておいて、更にアイテムボックスのSPをタッチしてみると、家、倉庫、くるまから茶碗、はしに買い置きのチョコレートもポテチも、そしてなんと、食べかけのポテチ13分の4まで一覧になっていて取り出すことができそうだった。


 って、イエ ? クルマ ?


 うわ〜 ! スゴい。


試しに食べかけのポテチ13分の4をタッチすると本当にポテチが現れた。


 「ふええーーーーーーーーーーーー、ホントに昨日の食べかけのポテチだ~ !! 最高です !」



「出したついでに食べちゃお !」



パリパリッ、バリバリッ、ボリボリ。



 う〜ん、美味しい !


 そうか~、タッチしても思い描いても取り出せるってことね。


そして後回しになってしまったアメイジング.comにタッチペンで触れると、見事にアメイジングのサイトがオープンした。


 わああああ~ !! 良し良し !

 では、最初にお願いしていた水と食料を試しに出してみようかな ?


 食料は今回、クロワッサン10個入りと甘栗800g入りとミックスナッツ1キロ、そしてペットボトル入りの水、2リットルを購入してみたんだ。

 お買物の方法は〜、ほとんど元世界のPCやスマホと同じでかんたん、かんたん ⤴


食料の合計金額の6286円を支払うと…… どういうことなのか残高が380億5536万8790円 になっていた。  


「さんびゃく〜~~ ¯\($$$驚$$$)/¯ なっ、なんじゃこりゃあ~~ !!! 」



 ……ああそっか。


 これはひょっとすると前の世界の土地や金融資産や資金などを合わせて計算した金額じゃないのかしら ?

 だいたいこれぐらいになる気がするわぁ。

     

 チーーーン ▷▷▷▷▷▷▷▷▷▷

   

うわあっ、ペットボトルとかの商品が箱に入って、地面にドドドンッとでました~ !


スゴいシステムね ! 送料は東京都と同じくらいだったけど実際はスゴい金額になりそうだわ。


どうやら、いつでもアメイジングのサイトから取り寄せができるようね。


 これで飢え死にはしなさそう。未知の世界だし、助かるわ。


 と、いうことで早速、開封してみた。どうやら、アメイジングとまったく同様の梱包で、かたよりも無いしパンもつぶれていない。


本当はこのクロワッサンをトースターで温めてサクッとさせてからバターをつけて食べるのが最高なんだけど、それは落ち着いてからね !



「食べかけでも保管できそうだから、クロワッサン一個だけ食べちゃお ! 甘栗も、あっ、あと、ナッツもひと掴み食べちゃお〜っと。へへっ ! ……うん、シアワセ~ ♪♪♪」



それじゃあ、パンやお水とかは一旦しまっておいてと、ひとまずアメイジングの検証はこれで終了 !!



続いては、ナンだかスゴそうな予感のするスキル操作というスキル ?? をいただいたので試してみましょうか ?!


初めてのことで、使い方が良く分からないんだけど… とりあえず、スキル操作と、念じてみた。


 ……………何も起こらない。


 だったらどうしたら良いのだろうか ? わからない。まあ、出たとこ勝負でタッチペンで適当にスキル操作のところを触れてみるとSPの部分が点滅しだした。



おおっ ! ならばと、今度は点滅したSPの部分に触れると、設定可能スキルと表示され、見出しが一覧でズラズラズラ~っと表示された。



「むむむむむ〜~ !!! 一覧がたくさんありすぎて、テンでわかんないよ~~ !」



ちなみに、SPのポイントは10000かと思っていたら、驚くべきことに100000だった。


 こんなにあったらスキルは何でも取り放題じゃないのだろうか ?



実のところ、スキルなんて見事にさっぱり分からないから、とにかく魔物から逃げられそうな、駿足と身体強化、それと、もしもの為の回復魔法と火魔法、更に生活魔法をひとまずは選択した。



すると全てLV1と表示されレベルアップさせるのにSPが20必要のようだ。

 問題ないので、全てをレベル2にした。

 その上に、レベル3に上げるのに30、4は40、レベル5は50必要だった。



SPは死ぬほどたくさんあるし、いちいちめんどくさいので、全部最高レベルの10にしてしまった。

 別に、大丈夫だよね ?



すると、ジョブの選択可能なモノが白、赤魔法使い、魔術師、武闘家、拳闘士、運び屋、土建屋、採掘士、神官、治癒師、聖女、大聖女、などなど、たくさん現れたのでこれまた悩まされてしまう。

 だけど、良く見れば武闘家や土建屋、採掘士などのこれは無いなという系を除くと消去法で残りはそれほど多くなかった。


 そこから適当に、一番良さげな大聖女を選択した。

 一番モテそうだしね ! 

 大聖女、モテるよね ?! 

 間違いないよね ?

 手前みそだけど、顔もそこそこには可愛いはずだし、あとはメンタルだと思うのよね。

 それかお金じゃない ?

 恋愛力はゼロだから正解はわかんないけど… 大聖女の威光に掛けてみるしかないわ !


 けれども、こんなにスキルレベル上げちゃって良かったのかなぁ ? その結果、普通の人ではあり得ないような能力になっていないかな ? 


 とはいえ、それはそれ。常識的じゃなくても、どうにかしてモテなきゃならないんだから !!!

 自分の中では恋は絶対 !! なんだからね。


 そこはさ、自分で自分に言い聞かせて切り替えよう。 


 さてと、では、何か魔法を使ってみよう !

 じゃ~ん、まずは最初に軽く ? 少し泥がついて汚れた服を生活魔法でキレイにしてみようかな。


 でも、魔法なんてどうして良いのか分からないわ。

 どうするんだろ ??


それなら〜、ありきたりだけど…… そうよ、魔法はイメージが大切だったよね ! やってみよう !!



「お願い、洋服をキレイにして !」



と、適当に言ってみたらシュワシュワッとキレイになってしまった。


 こんなんでイイのなら意外と簡単だわ !


クリーン ! とかでもいけそうな気がするわ !

 ってなことで、初めての魔法はそれなりに上手くできてしまった。



 しかし、それがいけなかった。


 せっかくなので、調子に乗ってスゴい火魔法も使ってみたくなった。

 異世界転生などで良く聞く、定番の強力火魔法ね。スキルレベルは10まで上げたから、この魔法が存在するならいけるはず。



「いくわよ~~ ! 空を焼き尽くせ ! 煉獄の業火〜〜~ !!!!!」





……ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー !!!!!!! ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーーーーン !!!!!!!




「うわっ、わわわわわっ、 ヤバいヤバいヤバい ! ストップ ! スト~~~~プ !!!」




まるで、本当の本当に空を焼き尽くすのではないかと思えるような、大きな火魔法の塊が上空に向けて放たれた。


 

 危なくこの辺りの木々が丸焼きになってしまうところだったよ。木々どころか、森も山林も丸ごと焼き払ってしまうくらいだった。ホントに危なかった。たまたまここは拓けた場所だったから。たまたま周りに何もなかったから。たまたま大きな木の先っちょがプスプスと焦げる程度で済んだみたい ! ホッ。



なんて危ないのかしら。異世界の魔法は取扱いに注意が必要ねっ !



女神のつぶやき)///危ないのは魔法ではなくてアイリ、貴女じゃないのかしら ?



さあ、スキルも魔法も万全だし、これで大丈夫でしょう !?


 少し楽観的な思考かもしれないけれど、自信満々で一面の草原に足を踏み入れていった。


 ここから未知の異世界の物語が始まるのね。



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



少し進んでみた。


草原といっても足元には案外草木が生い茂っている。


こんなふうに地面が見えないと、何がいるか分かったもんじゃなくて案外怖いわ !


 ドキドキワクワクの楽しい異世界ストーリーは、思っていたよりも良いことばかりでは無かったりもした。


 それに、草が素足に触れるとなんだか痒い。


だからできるだけ草の少ないところを選んで進むんだけど、それでも気味が悪い。



頑張って恐る恐る足を出してみた。



「ギッ、グギギギギーー !」



足元ばかりに気をとられていたら、突然木陰から緑の魔物が現れた。



「イヤーー ! ニタニタと笑って気持ち悪〜い」



 後ずさるが、ソレとの距離は近い。

 ソレからは、生々しい害意と性欲の入り混ざった凄まじい迫力を感じる !



鑑定してみたらゴブリンだった。



「ゴブリンかぁ ?!」



か弱い人間のメスに出会って、ゴブリンはとても興奮し喜んでいた。



「グモー ギャッ ギャッ ギャッ !!」



「うへえ~ !


ヤバい、ヤバい、ヤバいよ~〜〜


 こっちに来ないで~~~~~ !」



ゴブリンは意外と素早く私に駆け寄ってきた。



 そしてなんと抱き付かれてしまった。


 「うわわわっ」


 「グギャギャギャ ! グギャ、ギャッ !」


 とても動揺してしまい、接近を防ぐことがまったくできなかった。

 ○スキルやステータスはとんでもないものだったがアイリは戦闘などしたこともなく、ただの普通の女のコで、戦いはズブの素人。こうなってしまうのも当然だ。


 こんなのって、ありえない !

 なんか、引き離そうとして青い胸のへんを押したんだけど、コイツの体表面がベタベタのヌチョヌチョだよ〜 !


 「あんたいったい何日お風呂に入らなかったらこんなになるの、まったく !」


 ○当然ゴブリンは風呂など生まれてから一度も入ったことなどないであろう。


 気持ち悪い、気持ち悪い。

 もう触りたくないし、引き離すこともできない。

 今までの人生で最大のピンチだ。

 前世では痴漢にあったこともないのに。


「ナニナニナニナニ ?!?!


 うわあああ~~〜~~~~ !!! 」



 腰を私の足に擦り付けて “クニクニクニクニ” としている。


 その事象はとても受け入れることができる範ちゅうのモノではなかった。まるでエイリアンか何かの映画のワンシーンのようで、自分の思考内ではあり得ない、最低最悪の事態だった。


 それが視覚ばかりでなく、とても強い力で抱きつかれ、足に腰にベチョベチョの体表をグイグイグニグニこすりつけられ、その感触が直に伝わってくるのだ。

 とても堪えられない。半狂乱になりそうだった。



 「あっ!! うわっ !! うえええ〜〜〜~ !!!!!

 

 オマエなんて燃えちゃえっ、業火ああ~〜~~~ !!!!!!」





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