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俺の養女に手を出すな!  作者: 杏朱
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第十四章 小母ちゃんに怒られよう 3

エンリは駆けつけた警官の正体をズバリ云い当てた。


彼らは、小母ちゃんの通報を受けて駆け付けた、一般の派出所勤務の警察官ではない。

先頃、人事が一新された監視班から「小鳥遊家に不審者接触」の報を受けて出動した、エンリ警護班の者達なのである。


「その件につきましては、責任者を更迭しましたので、ご容赦願いたく……」

エンリの露骨な皮肉に、苦笑いを浮かべながら、頭を下げる偽装警察官。


その殊勝な態度に、小鳥遊クンは(いた)く感心する。


偽装警察官は、幼い姿のエンリを その見た目で侮る様な事をしない。

これは、エンリの危険性と有益性を十分に理解した者の態度だ。


「ともかく我々は、直ぐに この場から離れましょう。なにぶん周囲の目もありますし……」

「そうですね」


そう云って、偽装警察官の誘導に従って、そっと この場から離れようとする小鳥遊クン達。


だが其処(そこ)に、目立つ黒縁メガネを掛けた、額に大きな黒子(ほくろ)を持つ優男が、慌てて駆け込んで来た。


「大葉さ~ん。こんな所にいたのですね。探しましたよ!」


優男はそう云いながら、小鳥遊クンの脇をすり抜け、未だ喚き散らすのを止めない小母ちゃんの元へと駆け寄った。


小母ちゃんは、駆けつけた優男から何やら耳打ちされると、次第に落ち着きを取り戻し始める。


「すいません。彼女、うちの施設を勝手に抜け出してしまって……。何か ご迷惑をお掛けしませんでしたか?」


警察官と小鳥遊クン達に向かって、すまなそうに(こうべ)を下げる優男。

そんな彼に対して「いえいえ、大丈夫ですよ」と、優しく言葉を掛ける、小鳥遊クン。


すると優男は、「すみません。すみません」と俯いたままペコペコと頭を下げ、浴びせ倒す様な謝罪攻勢を全方向に展開しつつ、そのまま乗って来た車に小母ちゃんを押し込むと、疾風のごとく走り去って行った。


「ちょ! ちょっと待ちなさ……」

一瞬の早業に、警察官が引き留める余地も無い。


呆然と取り残される小鳥遊クン達。


「……いったい何だったんだ?」


それは、この場に残された全員の、共通意見だった。



     ◇◆◇



車は迅速に現場を後にする。

遠ざかる人影をバックミラー越しに眺め、男は安堵の溜息を付いた。


「危ない所だった」


男は そう呟くと、掛けていた目立つ黒縁の眼鏡を外し、さらには額の黒子(ほくろ)をも外した。


手にした付け黒子(ほくろ)と伊達メガネを助手席に投げ捨てると、男は座席シートに体を深々と預ける。


「それにしても……」


やはり今回の相手は、これまでの連中とは違って、一筋縄では いかない。

あの男の周りには、腐敗した権力の匂いがプンプンとする。


優男は、小鳥遊クンと警察官との なあなあの関係を遠目で見ており、そう確信するに至った。


「よもや()()()()()()()()()()()だなんて……」

社会の腐敗を、男は大いに嘆く。


いつだって幼き命は、社会と欲望の犠牲となるのだ。


「しかし、こちらのスタッフを無事に回収できたのは、行幸だった」


正義感に駆られたスタッフが、こちらの了承も得ずに、勝手にターゲットに接触したと聞いた時は、もう駄目かと思った。


あの男。無害そうな外見とは裏腹に、非常に危険な人物だと判明している。

実際、小鳥遊家を探っていた友人が、数日前から音信不通となっているのだ。

状況から考えるに、()()()()()()()()と思って、まず間違いないだろう。


「これからは慎重に慎重を重ねて、事を運ばなければならない」

男はそう独り()ちる。


そして必ず、あの幼女を悪辣なる男の魔の手から、救い出さなくてはならない。

それが友人と最後に交わした約束でもあるのだから。


「例のポスターの手配は済んでいますか?」

男は もう一人(ひとり)の同乗者に向かって声を掛けた。


恙無(つつがな)く。今日中には近隣一帯の主だった施設と路上に掲示される手筈となっております。」

もう一人(ひとり)の同乗者は、男に対して(うやうや)しい態度で回答する。


「協力を要請した例のボランティア団体は?」

「そちらも既に、指示通りにスプレー缶を配り終えています」


男は満足気に頷くと両手をパンと叩いた。


「良し。では、これより救出作戦を敢行する。悪辣なる魔の手から幼い命を救い出すぞ!」

「はい」


<<児童虐待から子供達を守る活動を推進するNPO法人>>に勤める男は、そう決意を新たに宣言した。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

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