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合同訓練の裏で

 私はアイネ・ナインハルトです。今日はパパもクオンもいない私にとっては完全なオフの日です。

 かわいい息子の為にちょっとお節介をしにクロージット領まで来ています。

「クロージット子爵ごきげんよう。」

「ナインハルト辺境伯夫人わざわざ御足労いただきありがとうございます。本日は如何様でしょうか?」

「ちょっとベアちゃんをお借りしてもよろしいでしょうか?彼女はいずれナインハルト家に嫁ぐ身、ならば我が子も同然です。なので魔法の手解きをしてあげようと思いまして。」

「わかりました。彼女も伸び悩んでるので相談に乗ってあげて下さい。場所はどちらで行うのですか?」

「我がナインハルト領訓練所です。日帰りなので大丈夫ですよ?」

子爵は目が点になっていました。これは信じていませんね……。


「ベアちゃん入りますよー。」

と言ってから返事を待ちますが返ってません。仕方ない壁抜けしますか。扉1枚なら空間魔法ですり抜けるのはイメージが無くても行えます。余りに分厚い扉は無理ですけどね。


 中に入るとベアちゃんはかなりのスピードで一からハンカチを作ったり刺繍を入れたりしています。これだけ集中してたら反応しないのも解ります。

横に座って、

「ベアちゃん。」

と声をかけて漸く気付きました。

「アイネ様いつの間に……?」

「返事が無いので入って来ちゃいました。後これからは義母さんと呼んでね?」

「わ、わかりました……。それで何をしに此方まで……?」

「魔法、伸び悩んでるんでしょ?ちょっと手伝おうかなと思ってね。ささ、家まで行きますよ。」

空間魔法を使う前に私の血を混ぜ込んだ地味なブローチを彼女の机の上に置きます。そして目的地の訓練所にもブローチを置いて来ています。これで簡易ワープの完成です。

後はいつも通りにやって繋げればオッケーです。


「此方と彼方、境界は揺めき捩れて繋ぐ、彼のブローチの元へーーー!!」


「どう?びっくりした?」

「本当にナインハルト領まで来たんですね……。あの一瞬で……。」

「びっくりしてるところ申し訳無いけど時間が惜しいから始めるね?」


 まず簡単に魔法がどう言う仕組みで動いているかをざっくりと説明します。

「つまり、自分の持ってる魔力をイメージしやすいように詠唱があって、詠唱とイメージにズレが出来る事で効果が落ちるって事ですか?」

「そういうこと。逆を言えば完全なイメージが出来る人は詠唱なんて必要無いの。」

講義が終わったら次は実践です。あの時ベアちゃんはクオンが無詠唱で魔法を使っているのを見ているはずなのでそれを参考にしてみましょうか。

「ベアちゃんが拐われた時、クオン魔法使ってなかった?」

「爆発魔法と、後は魔法と言って良いのか分からないですけどリーダーから奪った刀?って言ってたのかな?それで空気の塊を飛ばしてました。」

ふむふむ、生け捕りにする為に斬撃にしなかったみたいね。属性相性的にはこっちの方が良さそうかな?

「私は風魔法はあんまり得意じゃ無いけどこんな感じかしら?」


「杖を振るうままに空気の塊を飛ばせ!烈塊斬!!」


少し小さめだけどでてくれた。これならベアちゃんも打てるんじゃないかな?

「次はベアちゃんの実践ですよ、詠唱のおかげでイメージしやすくなったでしょ?」

「そうですね。ではやってみます。」

同様に呪文を唱えて杖を一閃すると強烈な風の塊が飛んでいきます。実際に見ているし、得意属性なので威力は段違いです。

「え……。私今までこんな威力の魔法出した事無いんですが……。」

「それはクオンの魔法を見てそれを模倣できるように詠唱したからなの。あなたは恐らく4年後クオンと一緒に伝統のアレに参加すると思うけど、その時クオンの魔法をよく見て記憶して応用ができるようになりなさい。

 あの子はこことは違う考え方で魔法をイメージしてそれで正確に魔法を発動させているはずだから。」


 こうして訓練が終わり空間魔法でベアちゃんの部屋に戻って、子爵に挨拶をしてベアちゃんの部屋から自分の住まいに帰るのでした。

アイネママは行動力の化身なのです。

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