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初デートを邪魔する奴は Sideベアトリーチェ

間に合いましたので投稿です。今回はベアトリーチェ視点でのお話です。

 城下町の散策はやはり良い物ですわね。

 民の声が直に聞こえますし、この領は国境付近にありながらもこんなに賑やかなんですもの。

 案内してくれているクオン様も城下町に慣れていらっしゃいますし、何度も降りて来てるのでしょうね。


 正直国境の領で許嫁は2つ下と言われてどうなる事かと思いましたが、この街なら嫁げと言われても問題は無さそうですわね、と思っているととある事に気付く。

「ところで護衛の方はなぜいらっしゃらないんですの?」

「ああ、それはですね……。」

彼が理由を言おうとした瞬間、強い衝撃を受けて悲鳴を上げる。

「キャアァァァァァ!!」

「嬢ちゃん返して欲しけりゃ外れの倉庫まで来な!」

明らかに私を釣り餌にして彼も拐うつもりなのが見て取れます。

「離して・・・んー!!」

口に縄を無理やり咥えさせられてしまいこれでは何も出来ません。抵抗しようにも腕も足も縛られて文字通り手も足も出ません。


 暫く経って馬車が止まり倉庫らしき所に私は放り出されました。

「嬢ちゃんにはあの坊主の釣り餌になって貰うんでな。じっとしてるんなら傷は付けねぇ、まぁその状態で動けるなら動いてみろってんだ。」

ガッハッハと笑いながら下卑た目で私を見下ろしています。


 クオン様が来たのは思った以上に早く、単身で来たのはほぼ間違いないでしょう。

「んー!んー!!」(ダメ!人を呼んで!)

「よく1人でここまで来たな坊主。憲兵隊とか呼ばなくても良かったのか?まぁ呼んでる時間でこの嬢ちゃんで遊んでたんだかな。」

「黙れ。憲兵隊もボクに護衛がついていないのも理由があるのを知らしめてやる。」


 そこからの彼はまさに疾風が如くでした。目の前のリーダーから白雪と呼ばれていた異国の剣を奪うと、そのまま正面に居た3人を剣から出た衝撃波で一気に吹き飛ばし壁に叩き付けていました。

「「「なにぃ!?」」」

そのまま驚いている背後から襲いかかっている3人もなぎ倒していきます。

そして最初に剣を奪われて吹き飛ばされていたリーダーが逃げようとしている所に彼は、

「こんなに良い刀なのに使い手があれじゃ刀が泣いちゃうよ。それから我が辺境伯家に手を出した事を後悔するといい。」

と言い放ちリーダーの意識を刈り取ります。


 その後、彼はリーダーから刀と呼ばれていた剣の鞘を奪うと私の拘束を解いてから、

「こんな危ない目に遭わせて本当にごめんなさい。初めての事で警戒が薄くなっちゃったんだ……。それから拘束解いてすぐで申し訳ないんだけど近場の4人を魔法を使って一纏めに動かせないかな?ボクは向こうに吹き飛ばした3人をこっちに持ってくるから。」

私は1人ずつ風魔法を使い動かしていると、彼はなんと3人まとめて動かしています。途轍も無くすごい魔法制御力で私は唖然としてしまいました。


「犯人グループはこれで良し、あとは他に捕われている4人を助けつつどうやって知らせるか……。」

私はこれを聞いて納得しました。自分で索敵も出来てあの強さなら確かに護衛は必要ありません。

「そうだ!この手を使おう!ちょっとボクの後ろに立っててね。」

従っていると彼は爆発魔法を撃ち物を吹き飛ばしました。その下には鉄板が敷かれています。隠し通路の入り口でしょうか?


 爆発魔法の音を聞き父上達が駆けつけて、誘拐グループは確保、捕われていた4人の子供達は解放され、憲兵隊の人達に保護されて行きました。


 辺境伯家への帰りの馬車の中アイネ様から話しかけられました。

「こんな目に遭わせて本当にごめんなさい。でも率直な感想を聴きたいから今聞いても良いかしら?」

謝罪を受け入れ、どうぞと促します。

「クオンとはどう?仲良くやって行けそう?」

「会った初日だからまだすれ違う事もあるかもしれません。ですが、私の為に真っ先に助けに来てくれる彼に、私の為に敵に怒りを持って殲滅してくれた彼に、仲良くできないなんて到底言えません。これで答えにならないでしょうか?」

「大丈夫。それだけ聞ければ充分よ。」

(これは相当な脈ありですわねぇ……)


こうして波乱に満ちた顔合わせの長い1日が終わったのでした。


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