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ある貴族の嘆きと救いの手

 私はクロウ・ナインハルト、私の家は古くから王家に忠誠を誓い今では辺境伯の地位を頂いている。


 しかし、私の代で断絶の危機を迎えている。妻のアイネが妊娠したのは良いがそこからの体の調子がみるみる内に悪くなって行くのだ。


 私だってありとあらゆる手を使って良くならないか試したが全て徒労に終わってしまった。


 そんなある日、本当にもうダメだと思っていたある日になんと女神様が降臨なされたのである。イーリス教教典に描かれている絵と特徴が似ていたのでほぼ間違いないだろう。


「お察しの通りですが私は女神イーリスです。」


 なんでもイーリス様がおっしゃるには身篭っている子供の方に呪いがかけられていることが原因で子供は既に助からない可能性が高いとの事だった。


「私の秘術を使えば母子共に回復するかもしれません。」

 女神様からそんな言葉が出て来るなんて思っても見なかった。だから私は藁にもすがる思いで、

「私どもの尽くせる手では如何にもなりませんでした。私どもに打てる手段というものはもうイーリス様に頼る他ありません。どうぞよろしくお願い致します。」

そう頼み込むと次の瞬間、妻の身体が眩く光輝くと同時に体の調子が良くなっていくのがはっきりと見て取れた。


「これで一先ずは大丈夫でしょう。ただ2人目の子供は出来ない可能性が高いです。」

 イーリス様が仰るには過去に恨みを持った貴族が呪いをかけて現在効力を発揮している。そしてそれは私に色濃く出ていてイーリス様の秘術では如何にもならない、つまり2人目を作った時点でまたアイネに無理をさせてしまう事になってしまうという状態だと言う事を認識させられたのだ。


「本当にありがとうございます。ただここまでして貰って何も返さないと言うのは貴族の名折れ、何か返せる物はないでしょうか?」

「私はこの国の初代王とは縁がありましたが今は時が経ち過ぎて縁が途切れてしまっています。なので今の王に忠誠を、但し諫める事ができないような盲目的な物ではなく本物の忠誠を。

 そしてもう1つ、生まれて来る子が9歳になった時この箱を渡してください。この通り今は何も入っていませんが9年後までには中身が入っていますので。」


 確かにイーリス様が開けた箱には何も入っていなかった。渡す頃には何か入っているのだろうが勝手に見るのは恐らく契約違反になるだろうから、厳重に保管する事にした。


 そうして生まれた子供にはクオンと名を付けた。幸運にも男児であり御家断絶を免れることができたのだった。


 余談になるがイーリスは端末の解析がしたいが為に空箱を用意したのである。そしてその中に物を転送する事なぞ造作もない事なのだった。

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