第三話……徒歩でランスチャージできてこそ真の女!?
暑中お見舞い申し上げます。
毎日暑いですね。
ここにお越しになった皆様が夏バテせず元気でありますように (`・ω・´)ゞ~♪
アーデルハイトが古城に着いたころにはかなり薄暗くなっていたが、古城にいた見張りは彼女の姿に気づく。
「だれか来たぞ!!」
武装した人影が見えるわけだから当然警戒される。
「お前はだれだ!?」
「私の名はアーデルハイト!! 山賊どもめ覚悟しろ!」
そう見張りに答えた後、彼女は古城の山道を猛然と駆け上がった。ハリコフの士官学校で体力は間違いなく首席だった彼女の姿に山賊の見張りは慌てた。
「首領! どうしましょう!?」
「大丈夫だ! きちんと柵も作ってあるしな」
見張りの元へやってきた山賊の首領らしきものが言う通り、彼らの古城は柵などで補強されており簡単には登れないようになっていた。
……が、
彼女は柵などの阻害施設を見るや否や、背中に差していた木製ランスを取り出し、
「らんしゅちゃぁあああぢぃいいいい!!」
((((`・ω・´)/ とりゃぁああ☆彡
一般的にランスチャージとは騎士が騎乗槍を構え馬に乗ったまま突っ込むのであるが、彼女は溢れる体力と運動神経により徒歩でそれを行ったのだ。
メキメキと次々に倒される柵。
横堀竪堀容赦なく踏み越え飛び越えやってくる。
彼女は信じられない速度で坂道を駆けあがってきた。
そんな信じられない彼女の姿を唖然と見ていた山賊たちの前に、ついに彼女はたどり着いてしまった。
「ぜぃぜぃぜぃ、我こそは……ごほっごふぉっ」
あまりの強行軍に流石のアーデルハイトも膝をついた。
「ぇと? どちら様で?」
どうやら侵入者の様だが、その珍妙な様子に小男である山賊の一人が問いかけた。
「わ……われこそは、、アーデルゥゥゥ」
バタリ。
アーデルハイトは古城に籠る山賊の前まで勢いよくたどり着いたが、体力が尽きて倒れ込んでしまった。
(´Д⊂ヽ モゴモゴ。
「今晩はシチューだよ~、たーんとお食べ」
「かたじけない」
目の前にあったシチューをガツガツ食べるアーデルハイト。
「え~ん」
どうやらそのシチューは彼女のモノではなく、隣で泣いている子供のものだったようだ。
……(´・ω・`)
「す……すまない」
「あらあらお腹が減っていたんだね、お嬢さん」
子供をなだめながら、老婆が彼女に話しかけてきた。
「ここはどこでしょうか?」
「お嬢さんがうわ言で言っていた山賊の住処だよ」
Σ( ̄□ ̄|||) シマッタ
こともあろうに山賊に囚われてしまったことを恥じるアーデルハイト。
「おね~ちゃんはここに何しに来たの?」
恥じ入る彼女をよそに子供が話しかけてきた。
「えと、実は……」
とりあえず彼女はアベラルド男爵との約束のことやら、武者修行中であることも話した。
「で……、どうするんだい?」
隣で最後まで話を聞いていた老婆が尋ねた。
「ええとぉ……、私はどうすればいいでしょうか?」
少し涙目になり尋ねてくるアーデルハイトに老婆も困惑した。
「でも、おねーちゃんは僕たち山賊を捕まえなくては約束を果たせないでしょ?」
「いや……、一飯一宿の恩義があるゆえそのようなことは死んでもできぬ」
ギリギリと周りに聞こえるくらいの音で歯噛みするアーデルハイトをみて老婆は爆笑した。
「あはは!! 面白い子!」
(;’∀’) ぇ?
「笑い事ではござらぬ!!」
ちょこっとアーデルハイトはプンスコした表情をみせる。それをみた老婆はさらにもう一呼吸笑ったあとに。
「じゃあね、私達山賊側のお話も聞いてもらおうかね」
老婆は優しくアーデルハイトの美しい髪の毛を撫でながら話し始めた。
内容はこうであった。
ここ数年ハリコフ王国は相次ぐ戦争と不作により小麦価格が毎年年50%を超える急騰。さらにはこの近隣の村々では残った小麦も領主に強制的に買い取られた。更にはその買取りの値段は去年の値段であった。当時の社会として今年の実勢価格が分かりにくいとはいえ、本来の売却値の2/3である。自分たちが食べる小麦を買い戻そうとしてもそれは2/3になる。そのほかの経費にあてるはずの収入も2/3になる計算だった。
現在の我々においても、今年の年収がいきなり2/3になると生活が破綻する。富裕層はともかくとして、社会における人間の生活の支出の殆どは食費、家賃や高熱費、スマホ代や通信費などの固定費である。まさか明日からネットどころかラジオもない藁ぶき屋根で暮らせと言われれば暴動が起きるに違いない。ちなみに著者は冷房がないと夏場は発狂します。
そういった事情で、近隣の村々の人々は領主に逆らい、この古城にて山賊もどきをしているということだった。
「わかったかい? お嬢さん?」
……(・ω・`;) ぇと。
「すいません、わかりません!」
その答えに少し驚いた老婆だが、
「しょうがないなぁ、僕が教えてあげるよ」
「かたじけなし」
幼い孫の説明に熱心に耳を傾けるアーデルハイトの姿に、老婆はだんだんと温かい気持ちになっていった。
……それから30分後。
「許すまじ!! 鬼畜アベラルド男爵! このアーデルハイトが神に代わって鉄槌を食らわせん!!」
「いや、その言葉は嬉しいのだけど」
老婆はあまりの大声を出すアーデルハイトに笑いながらも困惑していた。アーデルハイトの声に驚いて彼女の孫が泣き出してしまったからだ。
さらにそのすぐ後、彼女はすぐに二件隣の山賊の首領の部屋に押し入り、男爵に反旗を翻すことを告げる。
Σ( ̄□ ̄|||)
「ぇぇ……そのお話明日じゃだめかな?」
ちょうど、首領は奥様に愛をささやいている最中であったのだが、
「重大な話だ、今すぐやろう!!」
(`・ω・´)9
眉一つ動かさず、キリッとしたアーデルハイトに渋々机と椅子を用意する首領であった。
作中の買い取り制度は、似たようなものが江戸時代に東北であり、強制的にコメを買い上げられたために農民の生活が大変になり、それが近世にも後をひいて東北地方が後進地域になったという説もあるほどです。
お腹いっぱい食べれないと文化の発展どころじゃないですからね。米だけに頼らず特産品の開発なども根気強く行い収益の多角化を図るべきだったという後世の評価だそうです。