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Spiritsoul・Overlay  作者: ゆーしゃエホーマキ
~十神銀花の章~
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第10話【オーバーレイ】

「うっ……ぐ……待て! 矢神孝治!」


すると待田が起き上がる。能力で身体強化をしてなんとか立ち上がったようだ。


「まっ、待田さんっ!」


自分では無理だが、待田が強化で矢神孝治へ攻撃すれば倒せる可能性がある。

の、だが…………。


「全て破壊するッ! ウオリャァアアアアァア!!!」


矢神孝治は大きくジャンプし、急降下する。


「ッ!? 待田さ……!」


直後、矢神孝治がビルを丸ごと破壊する。地面に到達した時には、周りのビルも巻き込んで辺りは瓦礫で埋もれてしまった。


「クックック……ハァーッハッハッハッ!!! 久しぶりだ! こんなに破壊したのは、心が満たされていくッ! さて次は駅にでも向かうか……人が多そうだ…………ん?」


瓦礫で更地となった場所に、1ヶ所……いや3ヶ所、異様に盛り上がった所があった。


「これは……なんだ?」


矢神孝治はその場所に近づくと、銀色の、鉄のようなドームが見えた。

少し経つとドームは消え、中からは待田と美緒が現れた。しかしどちらも気を失っている。


「この能力……お前か……」


そしてもう1ヶ所のドームが消えると、中からは銀花が現れる。

銀花は力なく立ち上がると、白い息を吐く。

銀花……の身体を借りていると言ったほうが良いのだろうか?

雰囲気が違った。


「…………これは、また……随分と荒れていますね……」


「お前……誰だ? さっきの奴じゃないな……?」


「あぁ、申し遅れました……私は“心銀”、あなた方がspiritsoulと呼ぶものですよ」


そう、“心銀”は言った。


「なんだと……? spiritsoul自身? なわけあるか、だって……それはただの能力だろ……?」


「ふふっ、まぁそうでしょうね、あなた方は私達をただの能力としか思ってない……それで結構です、今は」


心銀はそう言うと手を天へ掲げる。


「ですがこの子はまだ殺させませんよ、……ドーム」


心銀はドームで矢神孝治を捕獲する。だが終わりではない。


「私の力は酸素と二酸化炭素を使う……大半が酸素です、その意味がわかりますか?」


「知るか! こんなもん俺の力でッ! あぁっ!? なんだこれ!」


矢神孝治の足元には大量の心銀があった。


「つまりドーム内の酸素を使って心銀を作り出し続ければ、あなたは窒息死しますね」


「クソッ! 破壊! 破壊してやる! お前の骨も内蔵をグチャグチャにしてや……」


「……心銀」


……なんと非道なことか、心銀はドームは急速圧縮し、矢神孝治をそのまま潰し、矢神孝治もろとも消滅させた。


「……ちょっと、やり過ぎましたね……では私はここで、あとは任せましょう」


心銀は最後にそう言うと、銀花の身体の内に引っ込むように消え失せて、銀花はその場に倒れた。



***



数日後、銀花達は何事もない街を見て驚いていた。


「この前、この組織のトップって人が来て……街の人達の能力者についての記憶を全部消したから安心してくれって……」


ハチがそう3人に説明した。


「トップ……となるとあの人か、全くまた無茶をしたなぁ……」


待田は接点があるようでその人物を知っていた。


「私よく覚えてないんだけど、矢神孝治を倒したのは誰なの? というか死体は?」


「矢神孝治は消息不明、オレも追跡しようとしたけどダメだった」


美緒の質問にハチがそう答えた。


「十神君は何か覚えてないかい? 実はボクも記憶が曖昧でね」


待田が銀花にそう聞くが。


「すみません……私には全く……」


銀花自身も、あの時のことは全くわからなかった。

記憶が無い、と言えるだろう。


「まぁわからないならこの件は一度保留だ」


そう言って、この事は保留となった……。



***



「心銀か……また現れたか……名は変わっても性格までは変わらないようだ」


ごく普通のサラリーマン風の男は車の中でそう呟いた。


「見つけたぞ! お前だな憶間(おくま)ってやつは!」


「………“記憶”、君は私のことを知らないし、今後私を探らない……いいね?」


「……は……い…………」


覆面の男が現れたと思ったら憶間というこの男はspiritsoulで覆面男の記憶を書き換える。

そう、この男、憶間総一(おくまそういち)が対ソウルイーター及び能力者の組織の本部のトップ。

spiritsoulは“記憶”。

中央部にある銀花のチーム、そしてもう1つのチームと北と南にあるチーム、それらをまとめている本部……それらを統一して組織名は“SSO”――――。

ソウルイーター、能力者から街を守る。ヒーロー気取りの組織だ。



***



同時刻、雲の上。


「SSO……Spiritsoul・overlay、随分洒落た名だな、憶間よ」


女が一人、雲の上で呟いた。

重力に逆らうように空に浮いていた。背中には天使のような翼が生えている。


「ふふっ、さぁ始めよう! 楽しい楽しい……最悪の時を!」


彼女はそう宣言し、下へ急降下した。

彼女のspiritsoulは“天魔”。

―――――物語は急速に加速する。

登場人物


十神銀花

笹木美緒

八田成之 (ハチ)

待田優人

矢神孝治

心銀

憶間総一

???


多くの魂と魂が重なり合い、今ここに最悪の時が実現する。

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