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第三章『授業』
連作の詩『高校』、第三章です。
第二章を書いた時期とこれを書いた時期の間は、だいぶあいています。
第三章は、最後の通常授業の日付近で書いたので12月くらいです。
今となっては号令やチョークの音も愛おしい。
『授業』
黒板に張りついた文字に ちいさな夢を見る
一つ一つの目に映る未来は 同じものではないけれど
たしかに今だけはここにいよう
かすかに瞬く声に運ばれ 休み時間がやってくる
ほろりと解けた空気の糸を 丁寧に紡いでほほえみを描いた
たとえその絵はきえてしまうとしても
絵の具の名残は心にしみて 優しいなみだに変わるだろう
この瞬間をまとう時計と
それを見るいつかの私、あの日のわたしよ
想いを封じ込めた月に祈れ、忘れないように。